【建築】「フリースペース」(建築基準法上)って居室じゃないの?
この質問は普段からよくある質問です。
住宅などで、使用目的が決まっていない時や階段を上がってすぐのひらけたスペースなどがある場合に「フリースペース」と表現をしてあることが多いです。
結論からいいますと
「フリースペースと言われても居室かどうかの判断できません」
というのが回答となります。
って、答えになってなーい!
ですよね、私もそう思います(^^;
相手の方もこの回答では納得していただけない場合がほとんどです。
でもね、建築基準法では「居室」の定義はちゃんと決まっていて
「居住、執務、 作業、 集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」(建築基準法第2条第四号)
と書かれています。
その中でも
「継続的に使用する」という部分の解釈が重要になってきます。
特定の方がずっーと使用するだけではなく、不特定の人が入れかわり立ちかわり継続的に使用される場合を含みます。
その上で、じゃぁ
「フリースペース」はどうなると思いますか?
・・・やっぱり用途を決めないと判断できないということになりますよね。
基本的には
「実際には何かをするためのスペースなので居室です。」という回答になります。
「フリースペースにはただ物を置くだけですよー」と言われれば、
「それはフリースペースではなく倉庫とか物置になりますので、用途は『倉庫』(非居室)と記載してください。」
とお願いするようになります。
「たまーに、何か作業するぐらいですよ。」
ということであれば
「『作業場』となりますので、居室としてください。」
となります。
そんな感じで居室か非居室かが決まります。
ところで何でそんなに居室にこだわるのか?という疑問が出てきた方にご説明します。
建築基準法では「居室」か「非居室」かで適用されるものが全く違います。
例えば住宅の居室といえば、部屋の面積に応じて必要な窓の大きさが1/7以上と決められています。まぁ当たり前のことですが、窓のない部屋にはあまり長時間いたくないですよね。でも、非居室であれば、その法律は適用されないので、窓はなくてもいいということになります。
なので、「居室」かどうかは重要なことなので、今まで色々と議論がされてきました。
代表的な「居室」と「非居室」の例をあげておきますので参考にしてください。
◆「居室」の例
○住宅の居間、寝室、応接室、書斎
○工場の作業場
○ホテルのロビー
○映画館の客席ホール
○喫茶店の客席、厨房
○公衆浴場の脱衣室、浴室
○ホテルの配膳室
○病院等の待合室
○病院等のX線室、 操作室及び暗室 (小規模なものを除く。)
◆「非居室の例」
●住宅の玄関、廊下、階段室、便所、手洗所、浴室、物置、納戸等
●住宅の台所・家事室で小規模なもの(他の部屋と間仕切等で明確に区画されている)
はい、これを見ると想像が出来るようになりますよね。
ほとんど居室じゃん・・・。
そうなんです。ほとんどが居室なのです(^^;
私から最後にお伝えしたいのは、昔に比べ公的な書籍が出てくるようになり、そこに載ってある内容と同じであれば、民間機関では通常すんなり通ると思います。しかし、同じ内容でなく、審査機関と相違する内容であれば、一度法令集に戻って確認することをおすすめします。
何事もそうですが、やっぱり知らないと、損をすることがあります。私も毎日仕事で相談を受けますが、「採光について全く分からないので教えてください」という質問と「採光補正係数がマイナスになったのですが、どういう意味でしょうか?」という質問では、回答が全然変わってきます。
前者では一般的な採光についての話をして終わりますが、後者では、一般的は内容はすでに知っている上での質問なので、ピンポイントで説明することができます。(この質問はもちろんどちらの方も設計に携わっている前提ですよ。)
そうは言っても、苦手な法文等もあるでしょう。
上司や先輩方に教えてもらうのが一番ですが、そうはならない状況があるの仕事をしながら感じているのでわかります。
そんな時はこちらにコメントやTwitterのメッセージ欄にでも送っていただけたら可能な限り説明をしますよー。
みんなで建築業界を少しでもより良いものしていきましょう!
設計も施工も審査機関もみな対等です!(^^)v