【建築】私は(「共同住宅」ではなく)「長屋」に住んでます! 古いイメージが拭いきれない。
(1621文字)こんにちは、たかしです。
「共同住宅」というと、中高層のマンションを思いうかべますよね。そして一方、「長屋」といえば、古くからある木造のもので、4、5軒ぐらいが続いているものをみかけたりします。
ところが建築確認申請に提出する物件の割合を見ると、「長屋」の方が圧倒的に多いです。
3階建ての長屋なんかもあったりして、外観だけでは分からない場合もあります。(入口が見えたらさすがに分かりますが(^^;)
それでは大きく3つに分けてお話します。
(1)形態上の違い
(2)法規制上の違い
(3)グレーな違い
(1)形態上の違い
「一戸建ての住宅」を含めて「長屋」と「共同住宅」の違いとは何でしょうか。
例を3つあげます。
①玄関は一緒に使うけど、台所・食堂などは世帯ごとに分かれているもの
②玄関は別々で、世帯ごとの使用部分は基本的に分かれているけど、ドアなどで互いに行き来できるもの
③玄関を別々で、世帯ごとの使用部分が完全に分かれているもの
どうでしょうか。
①は、「一戸建ての住宅」ですね。
②も、「一戸建ての住宅」ですね。「二世帯住宅」なんて言ったりもします。
③は、「長屋」も「共同住宅」もどちらとも該当します。
「長屋」については③のタイプで、住宅が構造的に連続しているもので、壁や床は共用していても、廊下や階段などの共用部分をもっていないものになります。
「共同住宅」は、③のタイプで、住戸の玄関に至る廊下、階段などの共用部分をもっているものということになります。
(2)法規制上の違い
「長屋」と「共同住宅」に共通する規定は、たったひとつ「界壁」の構造だけです。
・建築基準法第30条
・建築基準法施行令第22条の3
・建築基準法施行令第114条1項
ところが「共同住宅」には、
・2階の床面積が300r㎡以上で準耐火建築物
・3階建以上(3階建200r㎡未満で警報設備設置等を除く。)で耐火建築物(法第27条、令第110条)
・階段の幅、けあげ、踏面(令第23条)
・廊下幅(令第119条)
・直通階段の設置(令第120条)
・2以上の直通階段(令第121条)
って、数えだしたらきりがないわー!
なんで似てるのに、こんなに違うんだー!
って叫びたくなります。
まぁ冷静に考えてみればそれは仕方のないことで・・・。
「長屋」は独立した住宅が連続しているだけなので、避難通路は各戸で確保できます。
それに対して「共同住宅」、廊下や階段などの共用部分を通らなければ避難ができないからなんですよね。
それにしてもこの差は大きい。
(3)グレーな違い
あくまで一般論ですので、用法用量を守って正しく利用してください。
Q1
住宅を意匠的に連続した計画をしたいのですが、法的に何か問題がありますか? 屋根をくっつけたりとか、梁だけくっつけたりとしたデザインにしたいです。
A1:「一戸建ての住宅」ではなくなります。共用部分があれば「共同住宅」、なければ「長屋」扱いとなります。屋根を接続した場合は、小屋裏空間が発生する可能性がありますので、どちらかの壁を小屋裏まで達する界壁としてください。梁だけを接続する場合は、意匠的なものとしてであっても1棟とみなしますので、界壁が発生しなくても「長屋」扱いとなります。
Q2
一戸建ての住宅で計画をしているのですが、どうしても相互に行き来できる扉はつけたくないので、押入から行き来できるような扉を設置しても良いでしょうか
A2:行き来できるのなら一戸建ての住宅と考えます。
ひっぱった割に、あんまりありませんでした(^^;
すみませんでした。
事例が増えましたらその都度追加していきますね。
最後に付け加えるさせてください。
各都道府県の条例によっては、「長屋、共同住宅の出入口と道路の関係」等で、階数・規模に応じて、耐火・準耐火建築物にする条件があったりしますので、計画される場合には必ず条例には目を通しておいてくださいね。
最後まで読んでくれてありがとう!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?