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9月11日(月)~9月15日(金)の見通し
※特段断らない限り、すべてのイベントに関する日時は日本時間基準でお話しています。
また、チャートでは単純移動平均線 (Simple Moving Average、以下MA) を用いており、25MA (緑線)、91MA (赤線)、200MA (黄土色線)としています。
チャート内のオシレーターであるRSIの期間は14であり、MACDは短期12と長期26、シグナルは9としています (オシレーターはほとんどのチャートソフトでの初期値を用いています)
主要指数はすべて現物取引のチャートを用いています。
ティッカーシンボルは個別銘柄とETF以外、TradingView内のものを使用しています。
※時間の都合上、9月いっぱいまでは「先週の振り返り」をスキップさせていただきます。
そのため今週も簡易版とさせていただきます。
■今週の見通し
今週の重要指標の一つに欧州中央銀行 (ECB) による政策金利発表が予定されています。
欧州における政策金利 ("MRO"と呼ばれるオペ金利) は既に4.25%に達しており、ECBは最初に利上げをしてから9会合連続で利上げしています。
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同地域では昨年11月にインフレ率 (CPI) が10.6%を記録して以降およそ半分の水準まで順調に下がっており (最新の結果は5.3%)、これを鑑みてECBが今回の会合において一旦利上げをストップするかどうかが着眼点となりそうです。
ただしユーロ圏では原油などのエネルギー価格主導のインフレ後退でありインフレ基調 (大きな流れ) は依然として高止まりしています。
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エネルギーがインフレ鎮静に寄与しているが、サービスや食品は高いまま
引用: 外務省資料より
当日は特に為替相場 (ユーロドルなど) に影響が出るため、特にユーロドルやユーロクロス (ユーロドル以外のユーロが絡む通貨ペア) のポジションを持っている方は急な変動にご注意ください。
他方、米国では13日(水)に消費者物価指数 (CPI) の発表、14日(木)に生産者物価指数 (PPI) の発表がそれぞれ予定されていますが、直近のサウジアラビアによる2023年末までの自主減産延長等で原油はじわじわと上向いており、エネルギー価格の上昇に伴うインフレ率の若干の反発が予測されると考えられます。
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どちらも前月に一度反発している
しかしFRBによる米国の高い政策金利の維持、中国の不動産不況によるデフレがそれぞれじわじわと来ることにより、2022年のように再び高い水準を目指すよりも踊り場的な上昇にとどまり、特に2024年初め以降は世界的なインフレ鎮静が再び出やすくなると考えられます。
ここでのインフレ上昇、またそれに伴う相場の下落は長い目で見れば買い場となりやすいでしょう。
しかし相場の時期的な要因もあり、現時点では買いを忘れ防御の姿勢 (現金待機など) を取ることをお勧めしています。
また14日(木)は半導体企業であるARMのIPO (新規株式公開) が予定されており、前日に消費者物価指数 (CPI) で揺れた後に再び相場を動かす材料となることは間違いないでしょう。
来週はFOMCもあり、いよいよ相場が本格的に動く時期となりそうです。
◆ナスダック100 (NDQ)
ナスダック100は先週に一旦下落しましたが、現在は日足25MA (緑線) で包まれるように耐えており、目線は下落ながら週前半の上昇に注意したいところです。
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ナスダック100を構成する大型銘柄としてAppleが挙げられますが、(現時点で中国公式の発表ではないものの) 先週後半に中国政府の政府系企業、および国有機関においてiPhoneの使用を禁ずる指令が出されたとの記事が出ています。
翻って米国は中国への半導体輸出を2019年5月頃より部分的に規制している経緯があります。
トランプ政権時、米国は中国のスマートフォンや基地局等を開発・製造する代表的な企業であるファーウェイに対し、事実上の禁輸措置となる「エンティティリスト」に追加したことが話題となりました。
これは日本も含め世界中で「米国が指定した技術及び製品を用いたもの」をファーウェイに輸出することを禁止するものであり、当時破竹の勢いで業績や技術を培っていたファーウェイが中国政府と暗に癒着し、米国の技術等を軍事面に利用する恐れがあるために取られた措置でもあります。
ここから米国の中国に対する半導体規制は強まり、昨年10月には米国商務省産業安全保障局 (BIS) による取り決めで米国からAI (人工知能) やスパコンなどの最先端半導体、および関連部品を中国に輸出しないことで中国軍の現代化 (最先端の半導体を利用した高度な進化) を阻止する試みが行われています。
もちろん中国も黙ったままとはいきません。
これら米国の (中国からすれば) 理不尽な措置に少しでも対抗するために、中国は今年5月からDRAM (一般的にパソコンのRAMと呼ばれるもの) 及びフラッシュメモリー (SSDやSDカードなどの記憶用半導体) 大手であるマイクロン・テクノロジーの製品を調達禁止にしたことから始まり、8月からは半導体製造に重要なゲルマニウム及びガリウムの (事実上の) 輸出禁止措置を取っています。
ただし中国による今回の「iPhone締め出し」のような一種の報復は同製品が中国に及ぼす経済効果 (雇用など) を考えれば短期的にデメリットになる点が多く、Apple製品に対して根強いファンである消費者に購入させないことは事実上不可能であり、一辺倒に締め出しが上手く行くとは考えにくいと思われます。
また米国による過度の半導体規制は世界的な需要減退を起こしかねません。
米国単体で見ればまだしも、日本や欧州などの経済圏は中国に深く根差す関係で容易に半導体規制に対して「イエス」と答えにくく、米国主導の急速なデカップリング (中国と関係を断つ方向に向くこと) は世界的にも好ましくないと言われています。
このような米中の半導体規制合戦は急速に進むより、大きな変化が長い時間をかけて顕現すると考えることが自然だと思われます。
株価における「半導体サイクル」なるものが昨年の大きな調整を経て回復局面の初期にある中、今回のニュースはApple単体にはダメージとなる可能性がありますが、半導体や相場全体で見ると (株価の観点から) 大きな懸念となる可能性は少ないと考えられます。
サプライチェーンにおける供給面の細りは発生すると思われますが、半導体自体の需要は依然として旺盛であり、また相場の時期的にも一時的な調整の材料として使われた向きが大きく、このへこみは押し目の可能性が高いと考えられます。
チャートに話を戻せば、平均線は未だ下向きながら値動きはその上にあり、週前半の動きが重要になりそうです。
週前半における下限を15050、上限を15700と見ながら、週前半に15050をしっかり下回るようであれば続落する可能性が高いと考えられます。
現時点では短期的に上下どちらも可能性があり明言しづらいため、引き続き目線を下にしながら有利な価格でショートに持ち替えるなどが良いと思われます。
想定レンジ: 14700~15700
◆S&P 500 (SPX)
ナスダック100に比べ、S&P 500は下落しやすい形になっています。
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図中の白線は意識されやすい (値動きが一旦止まり、反発か貫通を市場参加者が決めやすい) 水準ですが、週前半は4410を下限とした右肩上がりの線が値動きを下支えしやすいです。
週半ばのCPI、木曜のPPIおよびARMの株式公開による影響がポジティブと出るかは不明ですが、4570までの戻りを考えながらショートを仕込む、などがトレード戦略として良いと思われます。
この水準から追いかけショートを行っても大ケガしにくいですが、「今年の9月~10月は横ばい or 緩やかな下落相場」における横ばい相場の可能性も考えながらより安全な立ち回りが求められると考えられます。
想定レンジ: 4355~4570
◆米国10年債利回り (US10Y)
米国10年債利回りは下値が堅く、今週半ばのCPIで上へ突き抜ける可能性が大きくなりつつあります。
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今週発表のCPIにおいて予想及び前回より高い数値が出れば上振れしやすく、この金利上昇は間接的に株価に対しネガティブとなりやすいです。
もちろんCPIの結果が低く出れば再び下落しやすいですが、現状は金利上昇の確率がやや高いと見ています。
テクニカル的には25MAがさらに鋭角になりながら値動きを下から支えており、また上値 (〇部、過去3年の最高値) でしばらく滞空している事実は上昇圧力が存在していることを示しています。
FRBが早期利下げを示唆しなければ急速に金利が上昇する可能性は低いですが、ヒタヒタと金利が上昇する可能性が少なからず存在することには注意したいです。
想定レンジ: 3.95%~4.45%
◆香港ハンセン指数 (HSI)
香港ハンセン指数は引き続き下落を見ています。
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直近では日足・週足が下落しやすい形となり、今週も軟調な展開を迎えると見ています。
もう少し巨視的に見れば、現状チャネル (上図の白線で囲まれたエリア) の中を推移する形となっています。
中国における不動産不況が同国経済に暗い影を落とす話はすでに周知の事実ですが、中国政府は徐々に金融緩和に舵を切る方向に向かっています。
事実上の政策金利であるローンプライムレート (LPR) は先月に今年2回目となる利下げが行われており、世界が利上げを行う中で真逆のことを行うほどに根深い問題を抱えているとも言い換えられるでしょう。
一方で不動産業界に対しては比較的厳しい姿勢を維持しており、行き過ぎた不動産価格を是正する意味も込めて中国政府は大きな援助策を行っていません。
もちろん一部では住宅購入時の補助金やローンの緩和など行われていますが、例えば大きな損失を抱えた投資家への救済は (恒大集団の放漫な経営を再建してきた経緯を踏まえて) 安易に行わない政府の姿勢が垣間見えています。
以上よりある程度の経済へのダメージは避けられないものと考えられ、引き続き下落トレンドと言えるでしょう。
ただしショック的な下落より、じわじわとボディーブローのように効いてくる下落 (大きな値幅で急速に落ちるより、一定期間の上昇を挟みながらの下落) と見ています。
具体的な値動きを見ると、先週に18900付近で上昇が止まったのちに下落に転じており、今週も下落しやすい形と見られます。
もし先週の高値である18900付近を超える動きが見られれば下落がストップしやすいですが、目先は先月の安値である17550付近まで下落しやすい環境が整っています。
想定レンジ: 17000~19000
◆米ドル円 (USDJPY)
米ドル円は147円台を抜けかけ、最初のターゲットである149円に肉薄しています。
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米国10年債 (米国長期債) 利回りに値動きが依存しやすいドル円ですが、長期債の利回りが上昇への姿勢を整えている関係で149円までの上昇が現実的なものとなりつつあります。
基本は上昇目線でいながら、149円→152円への動きが来る可能性が高いと見るのが自然だと見ています。
他方、日本の神田財務官は先週半ばに「(足元の急激な円安に対し) あらゆる選択肢を排除せずに適切に対処したい」とし介入前の力強い警告を市場に放ちましたが、ことドル円の相場は現時点で発言によるけん制をものともしていない様子になっています。
今後近い将来、ドル円に対する政府の介入 (ドル売り円買いによって円高への圧力をかけること) があるならば、介入前の (事実上の) 最終的な警告になる「レートチェック」が行われる可能性が高いです。
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為替介入自体が非常に慎重に行われるため、一般にはコメントで市場をけん制する段階を挟む
現在は口先介入の中でも最も強い水準であり、レートチェックまで行けば
為替介入まであと一歩と捉えられる (ただし実際に行われるかは別)
引用: 日本経済新聞様より
レートチェックとは政府の為替介入前に、日銀が民間銀行 (みずほ銀行や三井住友銀行など) に「今、ドルはどの水準にあるか」を聞くことで政府がどの水準で介入を行うかを決めることを指します。
今週以降、もし日銀がレートチェックを行ったとの報道がなされれば円安に対する最終警告となり、それでも円安が止まらないのであれば実際に円を買い戻す介入 (円高への圧力) が行われると考えられます。
ただしレートチェックを行っただけでは介入が確実とは言えず、過去を振り返ればレートチェックまでで終了したことも結構な数あるため一概に介入とは言えないのも事実です。
昨年はたった半年で30円以上円安になった経緯もあり、また世界的にドル高が進んだ関係で円買い介入をせざるを得ない状況でしたが、今年は20円ほどの円安が約9か月かけて進んだ関係で比較的緩やかな動きとなっています。
ドル円レートも昨年の最高値まで若干余裕があることから喫緊の問題とまではいかないような雰囲気が漂っています。
また円安へ持っていく介入、すなわち円売り介入の場合は円の供給を増やせば良い (極端に言えば「日本円を印刷する」) ため難易度が低いのですが、円買い介入の場合は政府が保有するドルを売る関係で介入にも限界があり、ドルの在庫が尽きることを避けたい政府はより慎重にならざるを得ません。
値動きではまず一旦の下限を今月安値の144.40付近とし、基本は上昇すると見るのがよさそうです。
想定レンジ: 144.40~149.00
◆日経225 (NI225)
日経225は先週お伝えした33100付近で押し返されていますが、平均線から見た上昇トレンドは崩れていません。
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図中、25MA (緑線) と91MA (赤線) がこれから上昇に向かう中、右肩下がりのトレンドラインが一度上値を阻んだ形をしています。
ここからは下値が止まりやすい32000、およびその下の31800付近を下限とし、もう一度斜めのトレンドラインを超えるかどうか (今週で言えば33300を超えるかどうか) が試されそうです。
トレードは買いの方向で考えつつ、上記の水準で下落が止まるのを確認してエントリーするのが良いでしょう。
もし31800を下回る場合は31300・31000の順で下値が止まりやすく、数週間ほどは31000が強烈な買い水準になると思われます。
想定レンジ: 31300~33500
◆原油 (CL1!)・ゴールド (GOLD)・天然ガス (NG1!)
【原油】はレイバーデーが明けた後も堅調に推移しており、これは原油に対し上昇が本物である確率を高めています。
今週はCPIもあり、CPIにおいて予想より高い数値が出れば更なる上昇も十分考えられるでしょう。
下落する場合は85ドル (以前のレンジ上限) を目安に価格が支えるかを見て、もう一度上昇を始めるようであれば強い買いで良いかと思われます。
想定レンジ: 85.00~90.00
【ゴールド】は引き続き下落しやすい環境が整っており、数か月単位で1800ドルまで下落しやすいと考えられます。
ゴールドは米ドルと反比例の関係になりやすく、米ドルの強さを表すドルインデックス (DXY) は7月より急速に上昇しておりゴールドにとってネガティブな材料となりやすいです。
しかしながら現実的な動きとして、値動きが急速に進むよりも小幅な上げ下げを挟みながら総合的に下落が優勢になるイメージが適していると思われます。
想定レンジ: 1860~1950
【天然ガス】は横ばい相場 (1.95~3.00) が続いています。
現在地から見れば横ばい相場の中でも一度下落に向かいかけており、2.48ドルを下に割れば緩やかに2.38ドル付近、更に下はレンジ下限の1.95ドルまで目指しやすい環境が整いそうです。
上昇と仮定するならば週前半でしっかりと現在の水準より高い位置でとどまる必要があり、その場合3.00ドルを目指す可能性も十分考えられます。
横ばい相場と考えながら、2.48ドル割れに伴った更なる下落に注意しながら立ち回ると良いと思われます。
なお天然ガスはトレードが難しいため、無理に行う必要はないと考えています。
想定レンジ: 2.38~3.00