6月27日~6月28日までの米主要企業決算【週後半決算振り返り】
※6月28日は主要企業決算が無いため、当記事は27日分に限ります。
■6月27日 (木)
●ナイキ (NKE)
木曜日引け後、ナイキ (NKE) は決算を発表しました。全体としてそこそこの決算でした。
第4四半期のEPSは1.01ドルで、コンセンサス予想を0.17ドル上回りました。 これは予想を大きく上回る結果となりました。
売上高は126.1億ドル(前年同期比-1.7%)で、予想を2.5億ドル下回りました。 売上高の減少と予想未達は株価にネガティブと考えられます。
第4四半期のNIKE Direct (直販) の売上高は51億ドルでしたが、報告ベースで8%減少、為替変動の影響を除くと7%の減少となりました。
一方、卸売売上高は71億ドルで、報告ベースで5%増加、為替変動の影響を除くと8%の増加となりました。
第4四半期の粗利益率は44.7%であり、前年同期比にて1.1%上昇しました。
ナイキ社の在庫は75億ドルであり、前年同期比にて11%減少しました。
現金および現金同等物と短期投資は116億ドルで、前年から9億ドル増加しました。
これは営業活動によるキャッシュ創出が、自社株買い、配当金支払い、設備投資によって一部相殺されたためです。
決算発表中、CFOのマシュー・フレンドは「ナイキをより競争力のある状態に再配置し、持続可能で収益性の高い長期的成長を推進するための行動を取る」と発言しましたが、これが来期以降のガイダンス引き下げにつながるのではないか?と見られた形で株価は下落しています。
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靴類はおよそ同社の7割、衣料品と合わせれば
95%の売上を占めるため重要
直近では伸び悩んでいることがうかがえ、成長性には疑問が残る
同社は週単位にて下落トレンドにあり、決算発表後の下落で2022年の安値まで肉薄しています。
短期的には上への反発が期待できますが、本格的な上昇反転までは相当の時間を要すると考えられます。
●マコーミック (MKC)
同日引け前、マコーミック (MKC) は決算を発表しました。全体としてそこそこの決算でした。
第2四半期のEPSは0.69ドルで、コンセンサス予想を0.10ドル上回りました。 これは予想を大きく上回る結果となりました。
売上高は16.4億ドル (前年同期比-1.2%) で、予想を1000万ドル上回りました。 わずかな減収ながらも予想を上回る結果となりました。
第2四半期までの営業活動によるキャッシュフローは3億200万ドルで、前年同期の3億9400万ドルから減少しました。
ただしこの減少は主にインセンティブ報酬の支払いの増加と法人税支払いのタイミングに起因したことを考慮する必要があります。
同社には二つの部門がありますが、コンシューマー部門の成長分がフレーバーソリューション部門の売上減少によって相殺されたことを反映しています。
●2024年度の見通し
同社は2024年度のEPSを2.76ドル~2.81ドルの範囲と予想しています。
これは2023年度の調整後1株当たり利益2.70ドルと比較して4%から6%の増加、為替変動の影響を除くと5%から7%の増加を見込んでいますが、コンセンサス予想の2.86ドル、及び以前の2.80~2.85ドルを下回っています。
2024年度において、同社は利益とワーキングキャピタルの取り組みによる強力なキャッシュフローを期待しており、配当を通じてキャッシュフローの大部分を株主に還元することを予想しています。
マコーミックはスパイスや調味料などを製造し販売する企業ですが、主に米国での売上が主となります。
フレーバーソリューション部門では業務用の調味料を開発・卸売しており、比較的業績の振れ幅も安定しています。
同社は当日+4.3%ほどで引けましたが、週足で見ればまだ下落トレンドが抜けていないように見えます。
4月の高値78.4ドル付近を上抜けて行くともう一段上が見えてくると考えられます。
●ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス (WBA)
木曜日引け前、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス (WBA) は第3四半期の決算を発表しました。全体として悪い決算でした。
第3四半期のEPSは0.63ドルで、コンセンサス予想を0.08ドル下回りました。
売上高は363.5億ドル (前年同期比+2.6%) で、予想を4.2億ドル上回りました。
売上高は予想を上回りましたが利益面での弱さが目立ちます。
●2024年度の見通し
同社は2024年度の調整後EPS見通しを2.80ドル~2.95ドルに引き下げました。コンセンサス予想は3.22ドルでした。
この引き下げは、厳しい薬局業界のトレンドと予想以上に悪化した米国の消費者環境を反映しています。
同社のCEOであるティム・ウェントワースは「米国の消費者に対する持続的な圧力や、薬局の利益率を侵食している最近の市場動向の影響など、依然として厳しい事業環境に直面している」とし、業界自体の厳しさ、とりわけ自社の経営環境が良くないことを示唆し、株価は-22%となりました。
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスは1909年に設立された古い企業であり、主にドラッグストアや専門・宅配薬局サービスを取り扱っています。
2015年にピークを付けた後株価は一貫して下落トレンドであり、フリーキャッシュフローは前年比7億7800万ドル増加したものの、収益に見込みのない店舗の4分の1を閉鎖する情報も出ており、成長に対し投資を行うよりはこれからも事業の縮小傾向が続くと考えられます。
株価チャートを見ても特段保有する理由が見当たりませんが、あまりにも投げ売りされたため短期~中期的な反発が起こる可能性がやや高いと見られます (ただし投資はおすすめできません)。
※当記事はファンダメンタルズにおいて事実の正確さを満たすために尽力していますが、万一事実と異なる点等ございましたらお気軽にご教示ください。
※企業決算は売上高やEPS、ガイダンスを考慮し、更に市場の反応とトレンドなど総合的な観点から「良い」「そこそこ」「悪い」と三段階評価としています。
この評価は飽くまでも個人の評価であること、見る方によって十人十色の受け止め方があることをご了承ください。