6月24日~6月26日までの米主要企業決算【週前半決算振り返り】

■6月25日 (火)

●フェデックス (FDX)

火曜引け後、FedEx (FDX) は決算を発表しました。全体として良い決算でした。

第4四半期の非GAAP EPSは5.41ドルで、予想を0.04ドル上回りました。
前年同期比でわずかに増加した決算ですが、DRIVEプログラム (同社が開発したコスト削減と業務効率の改善を図るプログラム) の継続的な実行により、構造的コストが低下し、営業利益と利益率が改善しました。

売上高は221億ドル (前年同期比+0.9%) で、予想を4000万ドル上回りました。
過去8四半期のすべてで売上高が予想を下回っていましたが、今回ようやく予想をビートする (上回る) 売上高をたたき出しました。

また2025年度において、FedExは25億ドルの自社株買いを行う予定で、そのうち10億ドルは第1四半期中に実施されます。

これとは別に、普通株の年間配当率を10% (1株当たり0.48ドル) 引き上げ、1株当たり5.52ドルとすることを発表しました。

●2025年度の見通し

同社の売上高は前年比にて、低~中程度の一桁%成長を見込んでいます。

調整後EPSは、事業最適化イニシアチブ関連コストを除外後で20.00ドルから22.00ドルとしました。なおコンセンサス予想は20.75ドルでした。

DRIVEプログラムによる恒久的なコスト削減効果は22億ドルとされています。

設備投資は52億ドルを見込み、ネットワークの最適化と効率改善への投資 (機材・施設の近代化や自動化を含む) を優先するとしました。

決算発表後、同株は+13.8%と大きく上昇しています。
ただし同社はテクニカル的に何度も上値を抑えられるゾーンに突入しており、2021年に付けた最高値である319ドルに近付くにつれ売られやすくなります。

逆に319ドルを超えれば、7年以上もみ合ってきた抵抗帯を抜ける関係で上昇に弾みが付きやすいと考えられます。


●カーニバル (CCL)

同日、Carnival (CCL) も決算を発表しました。全体として良い決算でした。

第2四半期の非GAAP EPSは0.11ドルで、予想を0.13ドル上回りました。

売上高は57.8億ドル(前年同期比+17.7%)で、予想を9000万ドル上回りました。

顧客預り金総額は過去最高の83億ドルに達し、前回の記録 (2023年第2四半期時点の72億ドル) を11億ドル上回りました。
ただし2023年以降、やや顧客預かり金総額の伸びが鈍いことに注意が必要です。

2024年通期の見通し

株式の益利回り (一定の為替レートにて) は2023年比で約10.25%上昇する見込みです。
これは需要の継続的な強さと過去の水準に近い稼働率に基づいたものですが、3月のガイダンスより約0.75%改善しています。

燃料を除く調整後クルーズコスト (利用可能な下位寝台日数 = ALBD当たり、一定の為替レートにて) は3月のガイダンスより約0.5パーセントポイントの改善を予測しています。

調整後EBITDAは約58.3億ドルを見込んでいます。これは2023年比で約40%増加しており、3月のガイダンスより約2億ドル改善しています。

調整後純利益は約15.5億ドルと予測していますが、これは3月のガイダンスよりも約2.75億ドル改善しています。

調整後投下資本利益率 (ROIC) は約10%を見込みます。

●2024年第3四半期の見通し

株式の益利回り (一定の為替レートにて) は2023年同期比で約8%の上昇を予測しています。

燃料を除く調整後クルーズコスト (ALBD当たり、一定為替レート) は2023年第3四半期比で約4.5%上昇と見込んでいます。

調整後EBITDAは約26.6億ドルで、前年同期比で20%増加と見込んでいます。

調整後純利益は約15.8億ドルで、前年同期比で35%増加と見込んでいます。

決算発表後、同社の株価は上昇しています。
ただし2020年のコロナショック、続く2022年の高インフレに起因する株安によりダメージを受けており、同分野で最高値を更新するロイヤルカリビアン (RCL) と見比べると出遅れ感が拭えません。

テクニカル的には20ドルに上値の壁が見られます。
ここで一度はじかれる可能性がありますが、超えると31ドル付近までじわじわと上昇する土壌が出来上がりそうです。

ただし収益構造の劇的な改善、及び株価の素直な反応を見せるRCLの方が直近では高値を追えそうです。


●TDシネックス (SNX)

同日、TD SYNNEX (SNX) も決算を発表しました。全体として悪い決算でした。

第2四半期の非GAAP EPSは2.73ドルで、予想を0.09ドル下回りました。

売上高は139億ドル (前年同期比-0.8%) で、予想を2億ドル下回りました。

非GAAPの総請求額は193億ドルで、当社の見通しである184億ドルから196億ドルの範囲の上限に近い結果となりました。

●2024年度第3四半期の見通し

売上高は133億ドルから149億ドルを見込んでいます。

非GAAP総請求額は189億ドルから201億ドルを見ています。

純利益は1億5200万ドルから1億9400万ドル、非GAAP純利益は2億1900万ドルから2億6100万ドルを見込んでいます。

1株当たり希薄化後利益は1.77ドルから2.27ドル、非GAAP調整後EPSは2.55ドルから3.05ドルと予想されています。

また、予想希薄化後加重平均株式数は8500万株としています。

同社の株価は決算発表後、大きく下落しています。

同社はITエコシステムを提供する会社であり、ハードウェアからソフトウェア、インフラやその他様々なソリューションをビジネスとしています。

最近ではオンプレミス (自社内にサーバやネットワークなどを構築すること) とパブリッククラウド (いわゆる通常のクラウド) の良いとこどりをした「ITインフラのハイブリッドサービス」(オンプレミスを前提とし、従量課金の形式をとることでコストを抑えながら最新の性能を試せるサービス) を売りにしており、ITのエコシステムを提供する会社としては大規模の分類に入ります。

時価総額では小さく今回の決算で下落しましたが、2021年8月に高値を付けてから綺麗な「ソーサーボトム」を付けており、仮に最高値を更新するのであれば (相場環境が良いことは大前提として) 力強く上昇していく銘柄だと思われます。

目標株価は130ドルをしっかり超えれば、190~200ドルが当面の目標と見られるでしょう。


■6月26日 (水)

●マイクロン・テクノロジー (MU)

26日、Micron Technology (MU) は決算を発表しました。全体として良い決算でした。

第3四半期の非GAAP EPSは0.62ドルで、予想を0.09ドル上回りました。

売上高は68.1億ドル (前年同期比+81.6%) で、予想を1.4億ドル上回りました。

営業キャッシュフローは24.8億ドルで、前四半期の12.2億ドル、前年同期の2400万ドルを大きく上回りました。

Micronのサンジェイ・メロートラCEOは「AIの堅調な需要と強力な実行により、Micronは第3四半期に17%の四半期連続収益成長を達成し、ガイダンス範囲を上回った」とし、「2025年度には大幅な収益記録を達成する良好な位置にある」と語りました。

●2024年度非GAAP第4四半期の見通し

売上高は76億ドル (±2億ドル) と見込んでいますが、コンセンサス予想の75.8億ドルを上回りました。

粗利益率は34.5% (±1.0%)、EPSは1.08ドル (±0.08ドル) とのガイダンスを出しコンセンサス予想の1.04ドルを上回りました。

同社は半導体メモリのDRAM及びNANDを主力としており、最近ではHBM (広帯域幅メモリ) の生産に力を入れることでAIブームの需要に追い付こうとしています。

DRAM部門は2023年第3四半期に底を付けたあと順調に回復していますが、未だ2022年第2・第3四半期の売上高を超えられずにいます。
一方のNAND部門は伸びも拡大しています。

マイクロン・テクノロジーの売上高推移

同社はデータセンターにおける四半期連続の売上成長の50%がAI需要によってけん引されているとし、また先端的なノード (線幅が細く、性能が高いチップ) の需要もひっ迫しているとしました。

チャートの形を見れば現在も上昇相場の最中にあり、また半導体サイクルを考えればそこまで大きな心配は必要ないと考えられます。

ただし現在、半導体企業に対する投資家の目が「期待を大きく超える企業に投資する!」となっており、予想を単に超えるだけでは新高値を取るほどのインパクトを作り出せない可能性が高いです。

また2022年初頭から2024年にかけてソーサーボトムという強い形を作っており、このソーサーボトムから上放れた目標値がおおよそ150ドルであることから、ここから横ばい相場に移行することも考えなくてはならないと思われます。


●ペイチェックス (PAYX)

同日、Paychex (PAYX) は決算を発表しました。全体として良い決算でした。

第4四半期の非GAAP EPSは1.12ドルで、予想を0.02ドル上回りました。

売上高は13億ドル(前年同期比+5.7%)で、予想を1000万ドル上回りました。

●2025年度の事業見通し

総売上高は54.9億ドル〜55.7億ドルの範囲で成長すると予想されています。コンセンサス予想の55.4億ドルでした。

調整後EPSは4.95ドル〜5.05ドルの範囲と予想されています。コンセンサス予想は4.98ドルでした。

マネジメントソリューションの売上高は3.0%から4.0%の範囲で成長すると予想されています。
PEO(専門雇用者組織)および保険ソリューションの売上高は7.0%から9.0%の範囲で成長すると見込まれています。
クライアント預り金の利息収入は1億5000万ドルから1億6000万ドルの範囲になるとのガイダンスが出されています。

営業利益率は42%から43%の範囲になると予想されています。

その他の収益(純額)は3500万ドルから4000万ドルの範囲になると予想されています。

2025年度の実効税率は24%から25%の範囲になると予想されています。

Paychexは米国や欧州、インドの中小企業向けに人事や給与計算、保険サービスなど総合的な人的資本管理システムを提供しています。
同社株価は2022年に高値を付けてから動意が無く、事業見通しにおける売上高の予測が弱いことも相まって当面横ばい相場 (105~141ドル) が続くと考えられます。


●ジェネラルミルズ (GIS)

同日、General Mills (GIS) は決算を発表しました。全体としてそこそこの決算でした。

第4四半期の非GAAP EPSは1.01ドルで、予想を0.02ドル上回りました。

売上高は47.1億ドル(前年同期比-6.4%)で、予想を1.5億ドル下回りました。

純売上高は47億ドルで6%減少し、オーガニック純売上高も6%の減少となりました。

●2025年度の見通し

オーガニック純売上高は、横ばいから1%増の範囲になると予想されています。
なおコンセンサスは+1.2%であり、会社予測は下回っています。

調整後営業利益は、2024年度に報告された36億ドルを基準として (為替変動除き) -2%~0%の範囲になると予想されています。
ただしこれは前年、インセンティブ報酬のリセットによる2%分のマイナスが含まれています。

調整後EPSは2024年度に獲得した4.52ドルを基準として、為替変動の影響を除いて-1%~+1%の範囲になると予想されています。

フリーキャッシュフロー転換率は、調整後及び税引後利益の少なくとも95%になると予想されています。

同社はシリアルやスナック、ペットフードなど多岐にわたる食品を取り扱っていますが、現在は下落トレンドの中腹にあると考えられます。
今後も下落が続きやすく、明確な成長への道筋が示されなければ軟調となりやすいでしょう。


※当記事はファンダメンタルズにおいて事実の正確さを満たすために尽力していますが、万一事実と異なる点等ございましたらお気軽にご教示ください。

※企業決算は売上高やEPS、ガイダンスを考慮し、更に市場の反応とトレンドなど総合的な観点から「良い」「そこそこ」「悪い」と三段階評価としています。
この評価は飽くまでも個人の評価であること、見る方によって十人十色の受け止め方があることをご了承ください。



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