8月28日(月)~9月1日(金)の見通し
※特段断らない限り、すべてのイベントに関する日時は日本時間基準でお話しています。
また、チャートでは単純移動平均線 (Simple Moving Average、以下MA) を用いており、25MA (緑線)、91MA (赤線)、200MA (黄土色線)としています。
チャート内のオシレーターであるRSIの期間は14であり、MACDは短期12と長期26、シグナルは9としています (オシレーターはほとんどのチャートソフトでの初期値を用いています)
主要指数はすべて現物取引のチャートを用いています。
ティッカーシンボルは個別銘柄とETF以外、TradingView内のものを使用しています。
※今週は簡易版とさせていただきます。
■今週の見通し
先週最も警戒されたジャクソンホール会合のイベントはほぼ無風で過ぎ一時の安心感が流れていますが、今週は30日(水)の国内総生産 (GDP)、31日(木)の個人消費支出価格指数 (PCE)、そして9月1日(金)の雇用統計は見逃せない指標となるでしょう。
9月4日(月)のレイバーデー以降、企業の起債やIPOの再開等で例年は株の需給が崩れやすく、それに伴い株価もグダグダしやすい時期に突入します。
今年は特に久々の大型IPO (新規株式公開) として半導体企業のARM (アーム、現在はソフトバンググループの傘下) が予定されています。
ARMは半導体の様々な機能を持つ回路ブロックを作成、それらを設計資産 (Intellectual Property) として各半導体設計・製造企業 (例としてスマホ関連ではAppleやサムスン電子など) にライセンスしています。
スマホのCPUからUSB、スーパーコンピュータまでありとあらゆる回路を知的な財産として売り出す一方、昨今のAIブームにおけるNVIDIAのAIチップ (高単価・高効率) には利用されておらず、どちらかと言えばスマホなどモバイル端末向けの低消費電力チップに力を入れるビジネスを取っています。
半導体業界はNVIDIAを筆頭としたAI旋風で底上げされており、今後しばらくこの流れは変わらないと考えられますが、一括りに半導体と言ってもARMが恩恵を受けにくいブームであり、ARMのIPOが成功と呼べない結果を引き起こすリスクが目先に広がっています。
株式の季節柄弱く、また年初から一辺倒に上昇した関係で少なくとも9月後半までは横ばいまたは緩やかな下落相場に移行したと見るのが無難と思われます。
◆ナスダック100 (NDQ)
ナスダック100は現在調整中ですが、先週金曜のジャクソンホール会合において急落せずに耐えたことは好ましい値動きだと考えられます。
今週は未だレイバーデー前ですが、すでに株式の調整が始まっている可能性が高く、ロングを行うより緩やかな下落トレンドに則ったショート、もしくは現金待機がベストな選択肢だと思われます。
現在地から言えば下値は14560、上値は15270となりますが、上値付近に戻ってきた場合はロングでついていくより、保有している買いポジションを決済するかショートを仕掛けることが良いと考えています。
15270を超えた場合、今年の最高値である15950付近までの上昇を警戒しつつも、その年初来最高値付近では自信を持って強気の「ショート」が良いと考えられます。
また10月までの下値目途として14200付近 (今後の展開で更なる下落を見込む可能性があります) を見ている関係で、2022年のような「数千ポイントの下落」よりも「グダグダする展開」が来る可能性が高いと見ています。
想定レンジ: 14300~15700
◆S&P 500 (SPX)
こちらも、年初から上昇した分の調整期間にすでに突入していると考えられます。
ジャクソンホール会合ではパウエル議長がデータ次第で追加利上げの準備があるとしながらも、「慎重に政策を進める」旨を強調していました。
またFRBが掲げる2%のインフレ目標にするにはトレンド以下の経済成長及び労働市場の軟化、すなわち未だ経済が強すぎる現在よりももう少しマイルドな不況が必要であると改めて発言しており、FRBから株式への明確な「援護射撃」(株価が上昇するような金融政策) はほぼ無いと見ることが出来ます。
これは株式が昨年のベア相場を切り抜け今年1年通して強いものの、季節的に弱い9月~10月で今年も調整を挟みやすいことに他なりません。
10月付近までの下値目途は4210付近と見ていますが、こちらもグダグダした展開を迎えると見ています。
想定レンジ: 4270~4500
◆米国10年債利回り (US10Y)
こちらは昨年の最高値付近で一度跳ね返っており、ダブルトップによる反落を警戒する局面だと考えています。
大局は上であり、現在の米国経済が強いことからも金利が下がりにくいことは明らかですが、今週の雇用統計にてどちらかに大きく動く可能性が高いです。
FRBパウエル議長の意思は「追加の利上げをする用意がありながら、すぐには利下げをせず長く据え置く」であり、これは10年債利回りにとってネガティブ (金利が落ちる要因) に働きやすいです。
また中立的な金利水準である 「r*」(アールスター = 自然利子率) も短期では5%ほどを維持しつつも長期では1%台となっており、利上げを維持することは米国経済に対し確実にブレーキを踏んでいる (同時に長期金利は上がりにくい)、と見て良いと考えられます。
目先の大きな金利変動イベントは今週金曜の雇用統計ですが、このまま利上げの金融政策を維持する場合は10年債利回りも頭打ちし、緩やかな下落となりやすいでしょう。
想定レンジ: 4.10%~4.35%
◆香港ハンセン指数 (HSI)
昨今の中国不動産不況に端を発するデフレ懸念により、香港ハンセン指数は下落トレンド入りしています。
図中、水色線は重要な水準 (18200付近) でしたが、すでにこの水準を抜け一度戻すも再度反落しています。
現在、中国は世界中の国がインフレにあえぐ中で珍しく長期金利が下落している国でもあります。
同国内での不動産不況や習近平の独裁強化等により、デフレへの懸念及び海外投資家が資金を引き上げる現象が継続的に起きており、株式へのネガティブな影響も避けられません。
また今週月曜から香港市場にて中国恒大集団 (エバーグランデ) が株式取引を再開する報道も出ており、問題を多数抱えた同社が再び株式を公開すれば香港市場全体への悪影響も考える必要が出てきます。
これら問題とは別に、中国本土内の深セン市場において既に昨年安値の10000付近まで下落しており、10000を切るようであればその下落が香港ハンセン指数にも多少波及するでしょう。
すでに下落トレンドに突入していますが、今後もこのトレンドはしばらく続くと考えられます。
基本は売り目線で見つつ、一時的に下落が止まる水準を16850付近と見ています。
想定レンジ: 16850~19000
◆米ドル円 (USDJPY)
ドル円は上昇トレンドの途中と見られます。
直近の高値は146.60付近ですが、この水準で止まるとは考えづらいです。
今週に限り143.00を下限とし、146.60をしっかり超えると149.00及び152.00付近で止まりやすいと考えられます。
円安が進むかどうかは米国長期金利 (10年債利回り) も一因であり、もし上で述べたように10年債利回りが昨年の高値を超えるようであれば149円及び152円への円安、逆に10年債利回りが反落するようであれば143円付近までの調整後、日本の10年債利回りの動向次第で円安 or 円高が決まると考えられます。
目線をロングにしつつも「限定的な値幅」を取るイメージが良いかと思われます。
想定レンジ: 143.00~149.00
◆日経225 (NI225)
日経225は押し目を形成しながら日足91MAに到達し、31300付近の支持線もあり買い支えられやすい場所にあります。
しかし世界を取り巻く環境として、日本経済と未だ密接にかかわっている中国がデフレ懸念で軟調にあること、米国も失速気味であることから大きくロングとは言いづらい状況に置かれています。
直近の31300は買われやすいですが、更に下には30800があり念のためそこまでの下落には注意したいところです。
また現状、日足では上から25MA、下から91MAと挟み込まれており、ここから上下に行くかは様子をうかがってからアクションを起こすとより安全なトレードになりそうです。
上に行く場合、今週に限り33200付近を見ていますがかなり低確率だと思われます。
想定レンジ: 30800~32900
◆原油 (CL1!)・ゴールド (GOLD)・天然ガス (NG1!)
【原油】は以前付けた84.89ドルを超えずに再び反落しており、横ばい相場 (63.5~84.9ドル) となっています。
この傾向はしばらく続くと考えられ、何らかの影響で70ドル以下への回帰も考えられるため、買いは一旦様子を見ると良いトレードになるかと思われます。
想定レンジは74.00~85ドルです。
【ゴールド】は冴えない展開を迎えており、再び低迷しそうな勢いとなっています。
1985ドルを上限とし、現在の位置からは1950ドルも売られやすい水準になっています。
下落した際の当面の目標は1800ドルと見ています。
想定レンジは1850~1950ドルです。
【天然ガス】は横ばい相場 (1.95~3.00) が続いています。
トレンドをつかむスイングトレードは難しく、当面は方向感が無いと見られます。
今週に限り、買い方向で2.80ドルまでの流れを掴みに行くのも良いかもしれません (2.425を下回れば損切り+様子見)。
想定レンジは2.425~3.00です。