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008 沖田浩之「俺をよろしく」(1981年)

作詞:阿木燿子 作曲:筒美京平 編曲:鷺巣詩郎

京平さんの曲って、なんでこんなパートがくっついてるの?ってのたまにありません?京平さんがいろんなレコードを聴いてそこからネタを拾ってくることは良く知られてますが、どうしてもそのネタを使いたかったんだろうなぁっていう結果なのかなと想像しているのですが。

ヒロくんの4枚目のシングルは、曲は普通のアイドルポップスといったらアレだけど、けっこうそつなく作ったちょっとファンキーな普通にいい曲って感じなんですが、問題はそのイントロです。

本編イントロの前に導入パートみたいなのが2小節だけくっついてるんですが、これがシックあたりがやってそうなバキバキにバックビートを効かせたファンキーなベースラインのブレイクビーツなんです。しかも、この2小節の切り取り方が、まるでシュガーヒルあたりが初期ヒップホップでやっていたサンプリングの感覚に近いものを感じる。

普通ならこの2小節の繰り返しでディスコビートが作られていくわけですが、確かに、この2小節のビートを楽曲の中心に据えたら、さすがにやりすぎというか、時代的にまだ理解されなかったでしょうね。

これは想像ですが、実はこのパートは、最初はもっと長かったんじゃないかと。でも、アレンジを担当した鷺巣詩郎さん(当時24歳!)がバランスをとって2小節に短縮したんじゃないか。鷺巣さんってけっこうぶっとんだ音作りするんだけど、全体のバランスにはすごく気を使ってる印象があります。

あと、2コーラス目が終わった後のギターソロの出だしのバックにこのビートを入れ込もうとしたんじゃないかなって気もします。ここも鷺巣さんが回避したんじゃないか。で、結局、楽曲の最後までこの2小節のパートは1回も出てこなくなってしまった。だからここだけ浮いて聴こえます。

逆に、船山基紀さんがよくやるように、インパクトを高めるために、本イントロの前にもう1つのイントロをつけてしまったというのも考えられます。その場合は鷺巣さんの仕業ですね。

なんにせよ、この浮いて聴こえる2小節、腕に自信のあるDJの方は2枚使いでループしてみたらカッコいいと思いますので、誰かチャレンジしてみてください。


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