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52枚目 The Comes「NO SIDE」(1983年)/初期ハードコア四天王の1つ、女性ヴォーカルのハードコア・パンク・バンド

#jrock #80s #comes #カムズ #チトセ

ギズム、ガーゼ、カムズ、エクスキュート。日本のハードコア四天王と呼ばれるこの4バンドは、日本のハードコアシーンの黎明期を支え、その血は80年代を通してシーンの中に息づいていました。
ギズムとガーゼはそれぞれのスタイルを確立させ、息の長い活動をしましたが(ガーゼは今でも健在!)、カムズとエクスキュートは比較的短命で終わってしまいました。しかし、この2バンドから輩出されたメンバーたちは近い人脈で絡み合いながら、リップ・クリームとGASTUNKというバンドに形を変えて、80年代後半のアンダーグラウンド・シーンの中心となる存在となっていきます。

さて、カムズも実に個性的なバンドでした。ハードコア・バンドなのに、ヴォーカルは女性。それが、80年代のパンク・クイーンとして絶大な人気を誇っていたチトセさんです。黒髪に革ジャン、硬派な佇まいのようでいて、笑顔がキュート。ハードコアの女性ヴォーカルはただでさえ珍しいので、それだけでも凄まじい人気があったであろうことが分かります。しかも、ハイトーン・ヴォイスでのたうちまわるようなスクリームを聞かせるヴォーカルのインパクトはなかなかのものです。

「NO SIDE」は、ハードコア時代のカムズのオリジナル・アルバムとしては唯一のもので、日本のハードコアを代表する名盤として名高い作品です。なぜこのアルバムの人気が現在に至るまで衰えないのか、それは、このアルバムのサウンドが(後のリップ・クリームを経て)日本のハードコアの基本形の1つになったからということが考えられます。

オムニバス形式のアルバムやフレキシ(ソノシート)、7インチなどで作品を発表することが多いハードコア・バンドの中で、いち早くフル・アルバムという形で作品を発表したのがギズムとカムズでした。もちろん、当時のインディーズなんて規模が小さいですから、それほどの枚数が売れたわけではないと思いますが(だからレアになるわけです)、そのインパクトたるや相当なものだったでしょう。

カムズの曲は、リフの繰り返しだけでなく、どこかハードロックを感じるコード進行があって(ギターソロがあったりもする)、長くても2分ちょいという曲の長さの中で、ある種のキャッチーさがあるのです。曲の速さも適度で(ライヴではめちゃくちゃ早くなったりしますが)、演奏にドライブ感がある。そこに女性ヴォーカルが乗るんだから、音がどんなに激しくても、実は親しみやすかった。歌詞も「バカコケ」だの「人間狩り」だの、怒りというよりも、なんかファニーな感じがしませんか。さらに、このアルバムはハードコアにしては録音状態がいいんです。ちゃんと音が分離してダンゴになってないしw そういったある種の分かりやすさが支持を広めた理由の1つであるといってもいいでしょう。

その後、第1次カムズは84年に解散。チトセはカムズを85年に復活させ、ハードコアから脱したよりヘヴィなロックンロール・アルバムを作りますが、一瞬で失速。間髪入れずにヴァージン・ロックス(バッド・メサイアの佐野昌樹が在籍)を結成します。ほかのメンバーは、先に書いた通り、ギターのナオキとベースのミノルがリップ・クリームを結成。ドラムのマツムラはGASTUNKへ。そのこともカムズのレジェンド化を後押しします。そして、リップ・クリームのサウンドは、カムズのハードロック的側面をより明確に打ち出したことで、多くのフォロワーを生み出します。

なお、CD版の「NO SIDE」にはボーナストラックを3曲収録。これがあの「OUTSIDER」に入っていたもの。シティ・ロッカーの盤はぜんぜん再発されそうにもないので、これは嬉しい。そして、オールド・ファン狂喜の、全盛期のカムズをCD2枚分たっぷり堪能できる発掘ライヴ音源集「LIVE 1982-1984」もリリース。いやー、いい時代になったもんです。

【収録曲】

A1. No Side
A2. Case
A3. Public Cicle
A4. Wa-Ka-Me
A5. さらけだせ
A6. 究極
B1. バカコケ
B2. 人間狩り
B3. Panic
B4. 工場
B5. Medium

※CD Bonus Tracks
12. 金
13. I LOVE YOU
14. DEAD BODY















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