005 平山三紀/あなたが来る店
作詞:荒井由実 作曲:筒美京平 編曲:萩田光雄
両面とも荒井時代のユーミンが作詞していることで知られるシングルです。
A面の「やさしい都会」はまた今度に譲るとして、今回はB面に収録の「あなたが来る店」を。
ソニー移籍後は、「熟れた果実」など、フィリー・ソウル的なアレンジの楽曲が印象に残りますが、この曲はその最たるもの。
フィリーというより、かなりイケイケなディスコ的な楽曲といったほうがいいかもしれません。
この押しの強さは、いかにも平山向け。
さすが京平さんよくわかってます。
アレンジは萩田さん。
京平さんだったらもっとヨーロッパっぽい、ポール・モーリア的なムード・ミュージック感が出そうなところを、フィリー・ソウル色を強めに、ボトムは太く、ストリングスも厚くという、なかなか重厚な仕上がり。
サウンド的な仕上がりからいえば、A面の「やさしい都会」よりもいい出来かも。
問題はユーミンの歌詞なんです。
平山三紀はあの声や歌い方もあって、どんな曲を歌ってもアクが強くなってしまう。
そこに強引に都会的なライフスタイルをぶつけたのがユーミンでした。
この曲の主人公は、自分を振った男を追い続けるストーカーのような女性。
<濡れたコースターにはメッセージも書けない>というフレーズには、ユーミンの作詞マジックの代表作のように言われる「海を見ていた午後」を思わせるセンスが感じられますが、じゃあ、これが平山三紀と合っているかと言われるとちょっと微妙。
この翌77年、平山はばんばひろふみと結婚し、出産などもあって、活動が散発的になっていきます。
もしかして、ユーミンはそういう<女>の一面を当時の平山から嗅ぎ取っていたのでしょうか。
そういえば、ユーミンは平山に先駆けて、このシングルが出た少し後に結婚してますから、何か感じるものがあったのかもしれません。
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