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日本はなぜ芸術家に冷たいのか/ミュージシャン側の問題点

この文は、とあるミュージシャンの方が、「なんでこの国はこんなに芸術家に冷たいんだろう」と書いていたので、それに対して書いたものです。かなり厳しいこと書いてますので、芸術家/ミュージシャンの方は気を悪くするかもしれませんし、反論も多いと思いますが、こんな時なのでハッキリ書いた方がいいと思いました。

なぜ芸術家に冷たいのか。それは、音楽家の団体が政治家にロビー活動をすることもなく、音楽家がJASRACなどの問題に声を上げたり行動を起こしたりすることもなく、政治問題にも口をつぐんだままだからです。

日本の音楽家の方々は、ミュージシャンは政治に口を出すものじゃないと思っている人が多いと思うのですが、政治とはその国にとっての日常であり、社会活動です。国民全員が有する権利です。そこから一歩引いたスタンスを取り続ける限り、「音楽をやってるだけで社会には関心のない人たち」だと思われても仕方ないと思います。フリーランスという立場の人も多いですし、事務所やレコード会社に所属していても、いわゆる会社員とは違う。だから余計に組織の一員ではないアウトロー的なイメージももたれやすいのでしょう。

ミュージシャンも社会の中で自分たちの権利を守り、そのために声を上げるということをしていかないと、社会的な存在感は得られません。欧米のミュージシャンは自分たちの権利を守るために動き、その姿を多くの人々が認知している。そういうことではないでしょうか。過去によくあった「LIVE AID」などのチャリティ・フェスもその一環ですね。やはり、海外のミュージシャンは、社会問題に関心を持っている人が日本に比べて多いとおもいます。

そもそも、欧米と日本ではバックグラウンドがいろいろ違うので、同じようには比べられません。例えば、欧米では人種差別問題と戦ってきた歴史があります。それは音楽とも密接な関係をもってきました。契約問題に関しても、日本よりはるかに細かく厳しいと聞きます。それを自分に有利に進めるには、賢く戦うしかないんです。そこで弁護士とも連携します。細かくは書きませんが、ラジオ局やレコード会社の成り立ちも違います。日本の方が声を上げにくい環境だということは確かでしょう。

ただ、どんな問題でも、最後にそれを動かすのは人の力なんです。今回のライブハウス問題も、業界団体がロビー活動をし、ミュージシャンを含む代表者たちがテレビ局などに申し入れ、自分たちの主張を伝える場を作っていればここまでひどくならなかったと思います。議員やテレビ局にも音楽が大好きでなんとかしたいと思っている人はたくさんいるはずです。そういう人たちと普段から繋がっておくことは必要だと思います。事実、クラブの摘発問題では、業界団体を作ってロビー活動を始めましたよね。

ほかの業界も、ロビー活動とかやってますからね。ミュージシャンは群れて行動するのが苦手な人が多いと思うのですが、ノン・ミュージシャンが旗振り役になって、スポークスマンとして弁の立つミュージシャンが看板になればいいんです。そういうのイヤだな~と思う人は多いと思うんですが、自分たちから声を上げない限りは、社会的な立場として力を持つことはないと思います。

社会的な力とはなにか。それはもうハッキリと、政治への影響力です。もはや、音楽の力で!とか、力を合わせてがんばろう!みたいなメッセージは、思考停止と取られかねません。音楽の力で!というのなら、楽曲にハッキリと明確なメッセージを込める必要がありますし、力を合わせて!というなら、まず自分たちが力を合わせて動いているところを見せなくてはいけません。それと同時に政治への働きかけをしないと、結局は民間での自主的で局地的な取り組みに終わってしまいます。

厳しいようですが、ミュージシャンや芸術家の社会的な立場を変えたいのであれば、こういった活動は必須だと思います。

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