サルでもわかるNISA講座 その14「複利の力 再投資型でいいんだけど」

単利と複利の違いが分からない人はいるかな?昔話で有名な「一粒の米」だな。殿様からほうびをもらうことになって「明日一粒の米を下さい。そして毎翌日にはその倍の米を30日間下さい」って、「なんだ、そんなんでいいんだ」とケチな殿様は喜んだけど、30日の間にどえりゃー量になったってやつね。単利だったら30日間で30粒のリターンだけど、複利だったら(ってざっと計算すると)だいたい400俵。あと有名なのは、厚さ0.1mmの紙を折りたたんでいくと26回目には富士山の高さを越えるってのもあるな(26回も折りたためないけど)。

投資信託でその複利の効果を享受するためには再投資型を選ぶといい。分配金をもらうと元金が増えないから、単利の効果しか得られないけど、払い出されるべき分配金を再投資すると元金+分配金が元手となって複利でリターンが増えていくわけ。

金融庁は新NISAの制度を設定する際に、「つみたて枠」で投資できる対象銘柄をかなり絞り込んでる。そりゃ投資なんてしたこともないよちよち歩きの投資家が、「なんかニーサっていいみたいよ」みたいな雰囲気だけで大挙して投資という大海に泳ぎ出すわけだから、その相当数が途中で溺れることは避けようがない。でも少しでもその犠牲者を減らそうという親心で(それ以前に年金制度をどうにかするべきだったんだろうけど)、初心者でもそれほど怪我をしないような投資対象を選定している。個別株はつみたて枠では投資できなくて、成長投資枠でしか買えないってのはそういう事情。そして投資信託でもつみたて枠では購入できないと除外されたのが、レバレッジファンドと毎月分配型。レバレッジファンドは、インデックス型投信の一種だけれどリターンが指数 x2倍とか x3倍とかになるように設計されている。あくまで短期売買に適したリスクが高い商品ってことね。そして毎月分配金を払い出す毎月分配型もリスクが高いとされてんだな。それはいわゆる「タコ足配当」ってリスクがあるから。本来分配金ってのは配当金と売却益から払い出されるものなんだけど、それらがない状況でも無理して払い出すとなると、タコが「腹減ったあ。でも食うもんねえ」って言って自分の足を食うように、資産を売却して充当するってのがそれ。期中の分配金は払われていても基準価額はどんどん下がるってのが危険なパターン。再投資型はそもそも払い出す分配金がなければ再投資もされないけど、無理に分配金を払い出す必要がないから、運用者にとってより安定的に運用できるんだな。

「えー、でももし保有している投信が値下がりした時点で売ることになったら、結局何ももらえなくて損するだけだけど、分配金をもらってたら、それはプラスだからなんとなく安心なんだけど」って思う人がいるかもしれないな。でも分配金は払い出した時点で基準価額はその分下がるから、そちらが得ということはないので心配無用。

また、課税口座で再投資型の投資信託を保有する場合、払い出されるべき分配金は課税された後の金額で再投資されるんだけど、NISA口座の場合、課税されることはないから全額再投資されて、複利の効果は更に高いと言える。

ってことは分かってたから、銘柄を選ぼうとして「あれ?」ってなったわけ。分配のタイプで分類すると、確かに分配型ってのはあるけど、再投資型ってのはあまりなくて、ほとんどが「分配/再投資型」ってなってて、「分配するか再投資するかは運用者に任されてます」ってのがほとんどなんだな。

「なぬ、複利の効果を得たいから分配してほしくないんですけど」って人は、ここでもう一工夫必要。必ず過去の分配実績ってのが公表されているから、それを参照して分配金が払い出されていない銘柄を選べばいいんだな。運用が振るわなかったバブル後の「運用がうまくいかなかったので分配金はありません」ってイメージがあるかもだけど、リターンが高いのに分配金を払い出してないってのは、再投資されてる以外の何ものでもないのでこれも心配無用ね。

(Face Book 2/3/24の投稿を転載)

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