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高血圧の症状と原因とは?初心者でもわかるリスクと対策
「健康診断で高血圧と言われたけれど、症状がなくて実感が湧きません」「でも放置すると怖い病気になると聞いて、不安です。どうすればいいのでしょうか?」
そう思う方も多いかもしれません。
高血圧は自覚症状がない場合が多いですが、放置すると脳卒中や心疾患などの深刻な疾患につながる危険性があります。ただし、正しい知識を身につけて生活習慣を見直せばリスクを大幅に下げることができます。
この記事では、高血圧の原因や症状をわかりやすく解説し、初心者でもすぐに取り組める改善策をご紹介します。
高血圧とは?初心者向け基礎知識
高血圧ってどんな状態ですか。何が問題なの。そんな疑問を抱える初心者の方へ、高血圧の基本をやさしく解説します。
高血圧の定義と基準値
高血圧とは、心臓が血液を送り出す際に血管にかかる圧力が基準値を超えて持続的に高くなる状態です。診察室血圧や家庭血圧によって定義されます。
血圧とは何か?
血圧とは、心臓が血液を全身に送り出す際に、血管にかかる圧力のことです。
血圧は、心臓が収縮して血液を送り出すときにもっとも高くなり、収縮期血圧(上の血圧)と呼びます。収縮期血圧は、血管にかかる圧力の最大値を表します。
一方、心臓が拡張して血液を溜め込むときには血管にかかる圧力が低くなり、拡張期血圧(下の血圧)と呼びます。拡張期血圧は、血管にかかる圧力の最小値を表します。
これらの二つの血圧を組み合わせた「収縮期血圧/拡張期血圧(mmHg)」という形で血圧は表示されます。
例えるなら、家庭の水道で水を出すときに、蛇口をひねると水圧が高くなり、蛇口を閉めると水圧が低くなるようなものです。
血圧は常に変動するものですが、高い状態が続くと、血管や臓器に負担がかかります。動脈硬化を促進させたり、心疾患や脳卒中など、さまざまな健康上の問題を引き起こす可能性があります。
高血圧を正しく理解するためには、血圧の基本的な仕組みを知ることが重要となるでしょう。
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高血圧の基準値
高血圧かどうかを判断するための基準値は、日本高血圧学会が公表している「高血圧治療ガイドライン」によって定められています。
血圧は、測定する場所や時間帯、体の状態によって変動します。そのため医療機関で測定する血圧(診察室血圧)と、自宅で測定する血圧(家庭血圧)では、基準値が同じではありません。
診察室血圧では、収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。
一方で、家庭血圧では、収縮期血圧が135mmHg以上、または拡張期血圧が85mmHg以上の場合を高血圧と診断します。
また、健康な状態の血圧の目安として、収縮期血圧が120mmHg未満、かつ拡張期血圧が80mmHg未満が、正常血圧とされています。
これらの基準値は、血圧を管理する上で重要となります。
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高血圧が発見される背景
高血圧は初期段階で自覚症状がほとんどないため、健康診断を機会に発見されるケースが多いです。そのまま放置すると命に関わる疾患へと進行する可能性があります。
健康診断での発見が多い理由
高血圧は、初期段階では自覚症状がほとんどないため、健康診断をきっかけにみつかることが多いです。
健康診断では、血圧測定が必須項目として含まれております。これにより高血圧を早期に発見することが可能です。
症状がないため、血圧が高い状態を放置してしまう人も少なくありません。
そのため、自覚症状がない場合でも、定期的に健康診断を受けて血圧を測定することにより、高血圧を早期に発見し、早期に対処することができるでしょう。
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自覚症状がない「サイレントキラー」
高血圧が「サイレントキラー」と呼ばれるのは、自覚症状がないまま進行することが多いためです。
高血圧の状態が長く続くと、血管の壁が硬くなったり(動脈硬化)、血管が傷ついたりして、心臓や脳、腎臓などの臓器に大きな負担がかかります。
しかし、このような変化は初期段階では症状として現れにくいため、気づかないうちに病状が進行してしまいます。
高血圧を放置すると、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる重篤な疾患を引き起こすリスクが高まります。
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高血圧の原因とリスク
高血圧は、なぜ起こるのでしょうか。また、そのままにするとどんな危険があるのでしょうか。
この章では、高血圧の原因と、放置した場合のリスクについて詳しく解説します。
高血圧を引き起こす主な原因
高血圧は、偏った生活習慣や遺伝、加齢、ストレス、ホルモンバランスの乱れなど、様々な原因によって引き起こされます。
生活習慣が原因となるケース
高血圧の主な原因の一つとして、不健康な生活習慣が挙げられます。
特に、偏った食生活、運動不足、そして肥満は、高血圧を引き起こす大きな原因となります。
過剰な塩分摂取は、(ナトリウム濃度を下げるために)血液量が増えます。その結果、血管に負担がかかり血圧が上昇してしまいます。また、運動不足は血管の柔軟性を低下させ、血流を悪化させることで、血圧が上がりやすくなります。
さらに、肥満は体脂肪の増加によって、血圧をコントロールする機能が低下することで血圧があがります。
普段から塩分の多い食事を続けており、運動習慣がなく、肥満傾向の方は、高血圧になるリスクが高いといえるでしょう。
高血圧を予防し、改善していくためには、これらの生活習慣を見直すことをおすすめします。
遺伝や年齢の影響
高血圧は、遺伝的な要因や加齢によっても発症するリスクが高まります。
ご家族に高血圧の方がいらっしゃる場合、血圧が高くなりやすい体質が遺伝する傾向がみられます。また、年齢を重ねるにつれて、血管は弾力性を失い硬くなり、血液の流れが悪くなるため、血圧が上昇しやすいです。
これらの要因は、完全に避けることはできませんが、生活習慣を整えることで、発症を遅らせたり、リスクを軽減させたりすることが可能です。
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ストレスやホルモンバランスの乱れ
日常生活で感じるストレスや、ホルモンバランスの乱れも、高血圧の原因となることがあります。
ストレスを感じると、交感神経が刺激され、一時的に血圧が上昇します。これが慢性的に繰り返されると、高血圧につながる可能性があるでしょう。
また、女性は更年期を迎えると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少します。ホルモンバランスが乱れることで、血圧が変動しやすくなることがあります。
日頃からストレスを溜めないように、自分なりのストレス解消法を見つけることは、高血圧予防には大切でしょう。
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高血圧が引き起こす主なリスク
高血圧は、心臓や脳、腎臓などの臓器にダメージを与え、深刻な疾患を引き起こすリスクがみられます。
心臓への影響(心筋梗塞、心不全など)
高血圧のままでいると、心臓に大きな負担がかかり、心疾患を引き起こす可能性があります。
長期間にわたり血圧が高い状態が続くと、血管が硬くなり(動脈硬化)、心臓はより強い力で血液を送り出そうとします。
それにより心臓の筋肉が肥大化したり、ポンプ機能が低下してしまいます。その結果、心筋梗塞や心不全といった、命に関わる病気を引き起こすリスクが高まるでしょう。
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脳血管疾患(脳卒中、くも膜下出血)
高血圧は、脳の血管にもダメージを与え、脳卒中やくも膜下出血といった、生命に関わる脳血管疾患の可能性も高めてしまいます。
高血圧の状態が続くと、脳の血管がもろくなり、血管が詰まって血流が途絶えたり(脳梗塞)、血管が破れて出血する(脳出血、くも膜下出血)ことがあります。
脳卒中は、半身麻痺や言語障害など、重い後遺症を残す危険性があり、日常生活に大きな影響を及ぼしかねません。
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腎臓疾患(慢性腎臓病、透析のリスク)
高血圧は、腎臓にも大きな負担をかけ、慢性腎臓病を引き起こしやすくなります。
腎臓は、血液中の老廃物をろ過して体外に排出する役割を担っています。高血圧によって腎臓の血管が傷つくと、腎臓の機能が低下し、老廃物をうまくろ過できなくなってしまいます。
慢性腎臓病が進行すると、最終的には透析が必要になる場合もあるでしょう。
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高血圧の改善策と予防法
高血圧を改善し、予防するためには、毎日の生活の中で無理なく取り組める対策を知り、実践していくことが大切です。
この章では、食事、運動、ストレスケアという3つの側面から、初心者の方でも実践しやすい改善策を詳しくご紹介します。
日常生活でできる改善策
高血圧を予防・改善するには、食事や運動、ストレスケアなど、日常生活の中で取り組める具体的な方法を習慣化することが必要です。
食事改善のポイント
高血圧改善のためには、まず食事を見直すことが非常に重要です。
なぜなら、高血圧の大きな原因の一つに、食生活の乱れ、特に塩分の過剰摂取があるからです。
塩分を過剰に摂取すると、体内の水分バランスが崩れ、血管内の血液量が増加し、血圧を上昇させてしまうのです。一方で、カリウムは体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出するのを助ける働きがあるため、血圧を下げる効果が期待できます。
食事改善の方法としては、まず、減塩を意識することが必要です。加工食品や外食には塩分が多く含まれているため、できるだけ避けるようにしましょう。
ご自身で調理する際は、調味料の使用量を減らし、素材本来の味を活かした薄味を心がけてください。醤油やソースはかけすぎないように、お酢やレモン、ハーブなどを活用して風味を補うのがおすすめです。
また、カリウムを多く含む食品として、ほうれん草、ブロッコリー、トマト、バナナ、キウイ、リンゴなどが挙げられます。これらの食品を毎日の食事に積極的に取り入れるようにしましょう。
カリウムは、体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出するのを助け、血圧を下げる効果が期待できます。
また、食物繊維も積極的に摂るように心がけましょう。食物繊維は、血糖値やコレステロール値を安定させる効果があるため、高血圧による血管への負担を軽くします。
毎日の食生活を見直し、減塩を意識しながらバランスの取れた食事を心がけることが、高血圧改善への第一歩となるでしょう。
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適度な運動
適度な運動は、血圧を下げるだけでなく、血管を柔らかく保ち、心臓の働きを助けることにより、高血圧の改善と予防に役立ちます。
運動不足は、血流を悪くし、血管を硬くしてしまう原因の一つです。
そのため、適度な運動をすることをお勧めします
ウォーキングなどの有酸素運動がおすすめです。有酸素運動は、全身の血行を促進し、血管を拡張する効果が期待できます。
運動習慣がない方は、まずウォーキングから始めてみましょう。毎日30分程度の早歩きを、週に3~5日以上行うのが理想的です。
またエスカレーターの代わりに階段を使ったり、少し遠回りをして歩いたりするなど、日常生活の中で無理なく運動を取り入れる工夫も大切です。
運動は、無理のない範囲で、長く継続することが重要となるでしょう。
※ウォーキングは早歩きのほうが有酸素運動としての効果が出やすいです。
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ストレスケア
ストレスも、高血圧を悪化させる要因の一つです。
ストレスを感じると、交感神経が活発になり、血管が収縮して血圧が上がりやすくなります。
慢性的なストレスは、血圧をコントロールする自律神経のバランスを崩し、高血圧を悪化させる可能性があります。
そこで、ストレスを解消するためには、趣味を楽しんだり、音楽を聴いたり、自然の中でリラックスしたりするなど、自分に合った方法を見つけることが大切でしょう。
また、ヨガやマインドフルネス、深呼吸などは、心身をリラックスさせる効果が高く、高血圧対策に役立ちます。
毎日少しずつでも良いので、リラックスする時間を作るように心がけ、心身ともに健康な状態を保つことが、血圧の安定につながるでしょう。
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医師に相談するべきタイミング
高血圧は早期発見と早期治療が重要です。基準値を超えた場合や自覚症状がある場合は、医療機関(内科)を受診することをおすすめします。
健診で基準値を超えた場合の対策
健康診断で高血圧を指摘された場合は、医師に相談することが必要になるでしょう。
医師は、専門家としての判断のもと、適切な治療計画を考えてくれます。
高血圧の原因を特定したり、生活習慣の改善だけで良いのか、薬物療法が必要なのかなど、個々の状態に合わせて治療法を検討します。
早期に適切な治療を開始することで、合併症のリスクを大幅に減らすことができます。
自覚症状がある場合の注意点
高血圧は自覚症状がないことが多いです。しかし中には頭痛やめまい、動悸などの症状が出る場合もあります。
これらの症状は、高血圧が原因で、他の疾患が引き起こされているサインである可能性も考えられるため注意が必要です。
頭痛やめまいが頻繁に起こる、動悸や息切れが気になるといった自覚症状が現れた場合は専門医を受診しましょう。早期の対応が、重症化を防ぐ上で最も重要です。
血圧管理を継続するためのコツ
血圧の管理は、日々の積み重ねが大切です。この章では、血圧測定を習慣化し、モチベーションを維持しながら継続していくためのコツを解説します。
血圧測定を習慣化しよう
血圧を測り記録する習慣は、高血圧の予防や管理に役立ちます。
正しい血圧の測り方
正確な血圧を測るためには、正しい測定方法を理解することが大切です。
血圧は、測る時間帯や姿勢、環境によって変動するため、測定方法を統一する必要があるからです。
例えば、朝起きてから1時間以内、夜寝る前など、できるだけ毎日同じ時間帯に、リラックスした状態で測定するように心がけましょう。
朝の血圧は、起床後の活動開始前の状態を把握でき、夜の血圧は、日中の活動による影響が少ない状態での血圧を知るのに役立ちます。
測定時の姿勢も重要です。椅子に座って背筋を伸ばし、腕を心臓の高さに保って測りましょう。
また、測定前には5分程度の安静時間をとるようにしましょう。家庭用血圧計を選ぶ際には、上腕式が推奨されています。
手首式血圧計は測定値が変動しやすい傾向があるため、上腕式血圧計の方がより正確に測定できます。購入した血圧計の使用方法も必ず確認し、正しく使うようにしましょう。
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血圧を記録するメリット
血圧を記録することは、自身の健康状態を把握するために非常に重要です。
血圧を日々記録することで、自分の血圧がいつ、どのように変動しているのかを客観的に見ることができます。
また、生活習慣の改善や治療の効果を評価する上でも、血圧記録は欠かせません。例えば、減塩を心がけた食生活を続けた結果、血圧がどのように変化したのかを数値で確認することができます。
血圧記録は、医師と連携して治療方針を決める際にも役立ちます。診察の際に医師に記録を見せることで、より正確な状況を伝えられ、適切なアドバイスを受けることができます。
高血圧を防ぐために今すぐできること
高血圧を予防するためには、毎日の生活習慣を少しずつ見直すことが何よりも重要です。
高血圧は、毎日の生活習慣と密接に関わっております。ほんの少しの心がけで血圧を改善できるからです。
食事の塩分を控えたり、エレベーターではなく階段を使ったり、少しでも運動する時間を設けたり、ストレスを溜めないように意識したりなど、今すぐできることから始めましょう。
例えば、外食を控えて自炊を心がける、コンビニやスーパーで買い物をする時に、食品の成分表示をよく確認する、積極的に野菜や果物を摂取するなどです。普段の生活の中で無理なく続けられることを実践してみましょう。
また、通勤時間を利用して一駅分歩いたり、昼休みに軽いストレッチをするなど、日常生活に運動を取り入れる工夫も効果的です。
さらに、趣味の時間を作ったり、リラックスできる空間で音楽を聴いたり、十分な睡眠時間を確保したりするなど、ストレスを溜め込まないように意識することも必要でしょう。
毎日の小さな積み重ねが大切です。今日からできることを始めましょう。
まとめ
高血圧は、自覚症状がないまま進行し、放置すると危険な病気です。しかし正しい知識を持ち、適切な対策をすることでコントロールできます。
高血圧の管理は決して難しいことではありません。今からできることを一つずつ始めましょう。この記事を読んだことをきっかけに、ぜひ行動に移してみてください。