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トレーナー「クリークは絵を描くのが苦手だと言ってなかったか?」


スーパークリーク
「……ふぅ。こんなものでいいかしら」

トレーナー
「おお、クリーク、何してるんだ?」

スーパークリーク
「今日は天皇賞春ですからね。
 ちょっとした落書きを描いてたんです♪」

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画像引用元:ウマ娘プロジェクト公式アカウント(@uma_musu)


トレーナー
「ちょっ! これ、落書きってレベルじゃないだろ?!」

スーパークリーク
「そうですか~?」

トレーナー
「そもそも、クリークは絵を描くのが苦手だと言ってなかったか?」

画像2

スーパークリーク
「……そうでしたっけ?
 まあ、私にも苦手ジャンルがありますし…」

トレーナー
「いや、謙遜しすぎだろ」

スーパークリーク
「例えば、私、最近の子を描くのは苦手で…」

トレーナー
「ああ。自分が思い入れのあるウマ娘を描きたいよなあ」

スーパークリーク
「…だから、最近の子の絵を発注されても、描ける自信がないんです~」

トレーナー
「発注なんていうな! プロの言うことだろそれ!」

スーパークリーク
「しかしですね、神絵師たちはどんなオーダーにも応じられるはずなんですよ♪」

トレーナー
「目標が高すぎるだろクリーク!
 でも…お絵描きが得意と言うと、自分を描けと迫るヤツがいるからなあ。
 ゴルシとかゴルシとか…」

スーパークリーク
「それで、私の落書き、どうですか~?」

トレーナー
「ツッコミどころ満載なんだが…」

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スーパークリーク
「オグリちゃんはうまく描けたと思います♪」

トレーナー
「自信満々に言うな!
 たしかに、オグリは天皇賞春に出られなかったけれども!」

オグリキャップ

画像引用元:ウマ娘公式サイト


トレーナー
「オグリが怪我をして天皇賞春に出られなかったとき、温泉で必死に治療してたはずだ」

スーパークリーク
「だからそれを、涙ながらにご飯を食べるポーズで表現してみました♪」

トレーナー
「いや、せめて包帯を巻くとかしないと…。
 これじゃ、ただの食いしん坊じゃねえか!」

スーパークリーク
「まあまあ、涙ながらにご飯を食べながら天皇賞春を見るのがオグリちゃんらしいと思ったわけですよ~」

トレーナー
「…で、問題はあとの二人だ。
 これ、イナリワンとタマモクロスだよな?」

タマとイナリ

スーパークリーク
「ええ、そうですよ。イナリちゃんとタマちゃんの激闘は熱かったですね♪」

トレーナー
「ちょっと待った! この二人は対戦してないぞ!
 史実ではこうだ!」

1988年天皇賞春 タマモクロス1着
1989年天皇賞春 イナリワン1着
1990年天皇賞春 スーパークリーク1着 イナリワン2着

トレーナー
「1988年、イナリワンは大井競馬場所属で中央には出ていない!
 1989年、すでにタマモクロスは引退済!
 そして、1990年にイナリワンと激闘したのは、スーパークリーク、お前だろ!」

スーパークリーク
「ち、ちがいます!」

トレーナー
「なにが違うんだ? 俺はWikipediaをもとに引用してるから間違ってないぞ?」

スーパークリーク
「私はオバサンじゃありませんから!」

トレーナー
「そっちかよ!」

スーパークリーク
「西暦を出すと、年がバレるじゃないですか!」

トレーナー
「ま、まあ、これはウマ娘の世界だからな。
 史実はあくまでもモデルだし…」

スーパークリーク
「ゲームだと、タマちゃんと私が天皇賞春で戦ってますからね~」

画像6

トレーナー
「史実だとタマモクロスとスーパークリークが対戦したのは、有馬記念だけなんだよな」

スーパークリーク
「だから、あんまり気にせずに楽しめばいいと思いますよ~」

トレーナー
「かなり昔の話だから、いろいろ記憶が混じっても仕方ないし。
 それが物語ってものだろ? な、クリーク?」

スーパークリーク
「誰がオバサンですかっ!」


【終わり】

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 今回は、公式ツイッターのお絵描きが苦手なはずのスーパークリークが天皇賞春のウマ娘公式絵でお絵描きしている件をネタにしてみました。

 前にも書きましたが、『ウマ娘』という世界は競走馬の物語を美少女学園ものの文体で表現したものです。
 この「美少女学園もの」というのが曲者で、キャラクターの個性を引き立てるために公式設定は絶対化されており、ファンアートは公式設定に忠実でなければならない文化になっています。
 ところが、『ウマ娘』の場合、モデルとなった競走馬の物語を伝えることを、第一目的としています。
 だから、設定に忠実にすることで物語が生まれる「美少女学園もの」と『ウマ娘』は、やや毛並みが異なるんですよね。

 今回の件に関しても、公式がミスしたというよりも、『ウマ娘』はこういうもんだ、とファンに知らしめてくれた気がします。
 ということで、便乗してこんなSSを書いてみました。

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