効かない抗生剤,低血糖をおこす抗生剤が、中耳炎で処方されることがあります。
あなたは今まで、効かない抗生剤を飲まされていました。3年前に、次の投稿をしました。抗生剤の多くは、飲んでも吸収されずに、便に排泄されてしまいます。略して、だいたいウンコ薬(DU薬)と言われています。
うちの病院でも、「3世代セフェム薬の使用中止」勧告が出ました。昭和から続く慣習をやめられない先生もいたのでしょう。数年かけて、3世代セフェムが排除されてきました。処方が減ってきたので、ついに「本当に、これで3世代セフェム薬がなくなるけど良いですね」アンケートが回ってきました。
セフゾン、メイアクト、トミロン、フロモックス。いづれも、協和発酵、明治製薬、富山薬品、塩野義製薬など日本のメーカー。いっぱい奢ってもらって、「先生うちの抗生剤出してくださいね」と言われた、思い出のある薬です。
恥ずかしながら、耳鼻科を名指しで「小児急性中耳炎のガイドラインでは、メイアクトとトミロン推奨されていますが、良いですね。」の但し書きがありました。当時、このガイドラインを策定した、耳鼻科の教授陣が、これらの製薬会社から袖の下をもらって採用したと噂されてます。2023年度版ガイドラインで削除すれば良いのに、まだ薬を推奨しているのが、あ・や・し・いと言われてしまうのです。同じ学会員として、ああ、恥ずかしい。
これらの薬は、飲んでもほとんど吸収されないのです。新しい3世代セフェム抗生剤は、実験室の試験官の中で、殺菌効果を強めるように、分子構造を変化させました。試験管の中では、よく効いたのです。そのかわり、人のお腹の中で吸収されなくなってしまいました。試験管での結果が良いので、厚生省は認可しました。でも、吸収されなければ、細菌に薬は届きません。
対して、古い抗生剤は、よく吸収されて、今でも、細菌にはよく効きます。アモキシリン、ワイドシリン、ケフレックス、ケフラールです。
これからは、効果のある抗生剤を処方するよう宣言します。製薬会社によく奢ってもらったのは、もう10年以上も前の話で、時効にしてください。
しかし問題は、新しい情報が入りにくい開業医さんです。病院に紹介される前に、今だにメイアクトやフロモックスを処方されています。効かない薬をダラダラ飲まされて、細菌は耐性を獲得して強くなっています。飲み屋で製薬会社に奢られた時は、「効きますよ」と言われたので、まさか吸収されないとは思っていませんでした。都合の悪いデータは、会社は言わないからね。奢り酒で記憶が強化されているので、いまだに3世代のセフェムを処方し続けています。なんとかしないといけませんが、学会も研究資金を製薬会社からもらっている以上、「明治や塩野義の抗生剤はいけません」の声明は出せないのです。こういう裏事情を知らない開業医さん、まだまだ多いです。
患者が賢くならなければなりません。
その1:風邪でかかって「先生、抗生剤を出してください」と言わないこと。風邪には抗生剤は効かないし、出る時は、効果のない抗生剤を出されます。
その2:○○シリン、ケフ○○と名前がつく抗生剤だけもらいます。フロモックス、メイアクト、トミロン、セフゾンが出たら、3世代セフェムはやめてください。と先生に言いましょう。
以上、3世代セフェムの内服抗生剤は効かない!と言ってきました。誤解ないように説明しますが、効かないのは、お腹で吸収されない「内服」の3世代セフェムです。点滴の2世代、3世代セフェム抗生剤は、直接血管に入れるので、よく効きます。子供には処方できませんが、ニューキノロン抗生剤の内服も、吸収が良いのでよく効きます。内服でも、効く抗生剤はあります。効かない内服抗生剤はやめましょう。
追記:メイアクトで低血糖になった中耳炎の子供が入院しました。
DU(だいたいウンコ)薬は、効果が乏しい(吸収されない)だけでなく、弱っている子供さんは、低血糖になります。中耳炎で休日当番の耳鼻科を受診して、ガイドラインどおりの量でメイアクトを処方されました。翌日から、ぐったりして意識朦朧、小児科に緊急入院すると、血糖値が30しかありませんでした。
この子は、持病を持っていて、中耳炎で耳鼻科にかかるたびに具合が悪くなっていたようです。かかりつけの耳鼻科の先生に、小児科の先生から手紙が出され、母親に渡されました。「今度、中耳炎になったら、この手紙を見せてください。」耳鼻科の先生、知らない人が多いからね。
お手紙:抗菌薬について
いまだにこれらの薬を出している先生、気をつけましょう。病院では、第3世代のセフェム内服薬を採用中止にしていますよ。