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アジア最大級のスタートアップフェス「Meet Taipei」で学ぶ台湾のイノベーションー台湾留学記⑤
11月21日から23日に台北市内で開催された、アジア最大級のスタートアップイベント「Meet Taipei」に参加しました。もともとマーケティングの授業の課題でここに参加したレポートを書かなくてはならなかったのですが、富山にいた時にインキュベーションオフィスでアルバイトをしていたのもあって、とっかかりやすいテーマというか、なんなら「日本の地方のスタートアップ推進施設でバイトをしてました」なんてセリフを引っ提げ、ドヤりながらブースを回っていました。
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そもそも大都市で暮らすのが初めての私、このようなスタートアップフェスに参加したことが日本でもなかったのでそのキラキラ(ギラギラ)感に圧倒されながらも、日本と台湾のイノベーションの風土やスタートアップの土壌の相違点を感じることができたのでまとめていこうと思います。
スタートアップやベンチャーの方々が見ればそんなこと知っとるわ!な内容かもしれないんですが、一文系学生がどのように台湾、ひいてはアジアのスタートアップエコシステムをとらえたのか、あたたかい目でお読みいただけると幸いです🥹
1.はじめに:Meet Taipeiって?
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台湾で開催されるアジア最大級のスタートアップイベント「Meet Taipei」は、国内外のスタートアップ、投資家、政府機関、業界関係者が一堂に会する重要な場です。
2014年から始まり、今年で11回目。過去10年で来場者は30万人以上、出展数は3600以上とのこと。(日本で同規模のものだと、Startup JAPANとかになるのでしょうか..?目的が微妙に違うので一概に比較できませんが、それでもMeet Taipeiがアジア最大級のようです)
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今年のテーマは「Taipei +1」。未来技術やソフトパワーを軸に、サステナビリティやグローバルといったキーワードが目立ちました。
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開催場所である「花博公園」は市内中心部に位置し、カルチャーとビジネスと伝統が交差するような場所。国籍問わずさまざまな年齢層の方が行き来していました。
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2.台湾スタートアップエコシステムとMeet Taipeiの役割
台湾は2016年から国家プロジェクトとして「Asia Sillicon Vally Development Plan」を始めています。loTとイノベーションの推進を主軸としており、グローバル市場をターゲットとしながらAI技術への集中投資を行っています。
対して、Meet Taipeiは主に民間主導で草の根的に開催されました。初開催が2014年なので、Meet Taipeiは政府主導のシリコンバレー計画が追い風になり規模を拡大してきたという経緯でしょうか。
(ここからは完全な仮説ですが)
そもそも台湾におけるスタートアップシーンの起点は、半導体産業の始まりにとらえることができそうです。1980-1990年代における黎明期を経て、2000年代には圧倒的な地位を築いた台湾の半導体産業。しかしそこには「グローバル企業の受注生産」という製造業モデルがあり、ブランド構築や販売といった高付加価値の部分を担うことが少ないという弱点がありました(今も)。GDPの割に低賃金なのはここが理由です。早くにイノベーターの必要性をアメリカなどとは違った文脈で見出したのが、台湾におけるスタートアップの根幹ではないのかと考えています。
まとめるとこんな感じなのでは?というのが色々調べた中での私なりの結論です。
日本:課題先進国としての強みを活かした社会課題解決型のスタートアップ。(ヘルステック、スマートシティ、地域課題解決型が多い)
台湾:グローバルなサプライチェーン(国内市場が小さいから)の中で、製造業から高付加価値産業へシフトする中でのスタートアップ。
アメリカ:冷戦期の技術投資が民間転用へ。技術者・研究者(大学等研究機関)中心のエコシステムとカルチャーとしての起業家精神が結びついたスタートアップ。
国内市場が小さい台湾は、そもそもビジネスを考える段階で視野はグローバルマーケットであるという話を台湾人起業家の方から聞きました。Meet Taipeiではほとんど全てのブースで中国語・英語(+数言語)でのセッションが行われています。(これが!とても!スピーキングの勉強になる!)
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3.Meet Taipei 2024展示内容と出会った人、話したこと
各企業ごとのブースとは別に、いくつかのステージもあり、タイムテーブルに沿ったプレゼンやピッチ、表彰などが行われていました。
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ブースの熱量も高かったです。日本人の方が日本のイベントと比べて、「実直な人が多い。みんながきちんとブースで自分のプロダクトやサービスをアピールしている。」とおっしゃっていたのが印象的でした。さらには「日本でのこういうイベントシーンでは飲食を片手にだったり、すでに派閥化していたり、既得権益だったりする。」との厳しい指摘も。ぶっちゃけ日本のものに参加したことないのでなんとも言えないですが、スタートアップに限らず日本のビジネスシーンの形骸化は就活していた時に感じる部分がありました(悪口)。
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各ブースで話をしていると、起業に至った課題背景は日本もきっと一緒だよね、という話題にしばしばなりました。実際、このビジネスモデル、どこかで聞いたことあるぞ、、?というものもあり、台湾での既存のサービスは、より市場が大きい日本において適用や応用が可能だと感じました。
何よりも参考になった価値観はプロトタイプ投入までのスピード感。何かアイデアがあったら、先に製品を作ってみて市場調査をする、という軽やかさとサイクルの速さが本当に優れているなと感じました。
これは留学先の大学にいても感じることで、ファッションマーケティングの授業では仮ブランド立ち上げの課題で、「とりあえず知り合いに頼んで製品作ってみるね」と初回の授業で言う子がいたり、プレゼン発表でも、仮説検証の中における実際に起こしたアクション(アンケートやインタビュー)が日本と比べて圧倒的に多いなと思います。
話逸れてきましたが、日本人の友達と話していて共感した、台湾のここが一番好き!というのが、他人とのちょうどいい距離感です。ルッキズムが少ないし、変な格好してても馴染んじゃうし、人を白い目で見るようなことがないから、挑戦する(好きなことを突き詰める)カルチャーも生まれるのかなと思います。スタートアップも同様に、挑戦というより好きなことをする感覚に近いから、結果的に始めやすいのかな〜なんてことを思ったりしました。
4.日本からの出展と連携の可能性
とはいえ私は生粋の日本人なので、日本企業ブースを楽しみまくりました。
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福岡からは県の方も市の方もいらっしゃっていて(台北と姉妹都市なのだそうで!)具体的な行政支援についてお話しを聞いたりしました。
職員の方がおっしゃっていたのは「プロダクトの強み」。日本ではサービスやアプリといったスタートアップが多いのに対し、台湾はハードウェア等の製品開発に強みを持っています。「これは台湾が優れているという話ではなくて、相互補完をしあえる可能性があるということだよね」ということもおっしゃっていて印象に残っています。
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5.おわりに:Meet Taipei2024で感じたスタートアップの未来
先に述べたような連携で、日本と台湾がこれからのアジアのスタートアップエコシステムを牽引するような形になればいいなと思いましたし、中国や東南アジアのテックやイノベーションといった分野も、もっと学んでいこうと思いました。そして、どのような経緯のもと、スタートアップが必要とされているのか、なぜ今トレンドになっているのかを、ただシリコンバレーの急成長モデルと比べるのではなく、自国の産業の歴史を読み解きながら需要を理解することがインキュベーターやアクセラレーターにとって重要だなということも、日台比較をして感じました。
外に出てみて気づくことが多いのはもちろん、そこへの興味の根幹は地元や富山での経験だったりするので、改めて素晴らしい経験をさせてもらっていたんだなということを再認識しました🥺
ちなみに、Meet Taipeiから徒歩10分ほどのところにある臺北孔子廟。
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その近くにあるティーハウスでこの記事を書きました。台湾本当に魅力的な場所なので、ぜひ遊びに来てください🫶おすすめをたくさん送りつけます🙌
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