2012年夏、バルセロナ ヨーロッパのファッション流通の激戦地を歩く②
夏のインスピレーショントリップ初年度、2つめの都市はバルセロナ。
バルセロナを選んだのは2009年、米GAPの売上高を抜いて、世界一のアパレルチェーン企業となったZARAのインディテックスグループの本拠地であるスペインの中核都市であったからです。
地元での戦略、そして、まだ見ぬ同社が展開するブランドを含め、全8ブランドをひと通り見たいと思ったため、でした。
インディテックスグループのブランドポートフォリオ
バルセロナのほぼ中心にあたるカタールニャ広場の前にはスペイン全土に展開する百貨店、El Corte Ingres(エル・コルテ・イングレス)が。
そこから続くショッピングストリートはグラシア通りのような大通りも、狭い道でも、どこに向かっても大小のインディテックスグループ、MANGO、H&Mらの店舗に陣取り合戦されているように埋め尽くされている感じです。さすがご当地ですね。
※2017年グラシア通りのZARA旗艦店とH&M旗艦店の真向かいにUNIQLOが旗艦店をオープンしました。
ダウンタウン、ハイストリート(大通り)の路面だけでなく、少し離れたショッピングモール Diagonal Mallに行っても、インディテックス、MANGO、C&A、H&M、プライマーク・・・まさに路面店の競合関係の縮図でした(笑)
ここまでで、ほぼインディテックスのお店をひと通り見ることができたので順を追ってご紹介しましょう。
同社は1975年都心の働く女性のためのトレンドファッションを提供するZARAを創業後、第2の業態、PULL&BEAR(プルアンドベア;日本未進出)を1991年に立ち上げます。こちらはアメカジ風のヤングカジュアル、郊外向けという感じです。
1995年にはトレンディなZARAと棲み分けできる、コンサバな大人のヨーロピアントラディショナルMassimoDutti(マッシモ・デュッティ;日本未進出)を第3のブランドとして買収します。
4つめのブランドは1998年創業のBershka(ベルシュカ;日本上陸済み)です。オルテガさんの娘さんが、ZARAのTRFはコンサバすぎて着れない、と言ったので開発したストリートファッションブランドだとか。
続いて、1999年にベルシュカのライバルになりそうなstradivarius(ストラディバリウス;日本上陸済み) を買収してしまい、両者を棲み分けします。
以上5ブランドで、1990年代、株式上場前までに、マス化しそうなアパレルマーケットは一通りカバーした、という感じではないでしょうか?
2000年代に入ると、2001年に6番目のブランド、インナー&ホームウエアのOYSHO(オイショ;日本未進出)を開発し、2003年にはZARAの客層の家の中を彩るホームファッションのZARA HOMEを立ち上げます。
インナー、ホームと来て、2008年に8番目のラグジュアリーレザーアイテム(バッグ、シューズ、革小物など)っぽい?UTERQUE(ウテルケ;日本未進出)をスタートします。
都心、郊外、トレンディ、ベーシック、アダルト、ヤング、インナー、ホーム、服飾雑貨。
世界展開する上でニッチは狙わない、あくまでもマスマーケットであれば、ファッション系カテゴリーは網羅したと言ってもよいかも知れません。
日本未進出ブランドはいつやって来るか?
ご紹介した8つのブランドのうち、現在、日本に進出済なのは、ZARA、ZARA HOME、Bershka、stradivariusの4つです。
中国ではすべて進出済みで、残りは日本にいつ来ると思いますか?という質問をメディアの方から受けることがあります。
僕の予測だと、これから日本に来るのは、MassimoDutti だけだと思います。それ以外は、日本にすでにそのポジションを取っているチェーン店がいくつもあると思いますので
同社は 勝ち目のない戦(いくさ)はしないのではないか?と見ています。
ZARAはスペインが最も安い
以前、「ユニクロ対ZARA」を執筆する際に、ZARAの内外価格差を調べたことがありましたが、同社は進出マーケットにあわせて価格帯を変えているのがわかりました。
主に出店国の百貨店の価格帯を市場価格として参考にしていることが多いようで、その時日本が最も高かったのを覚えています。もちろん、輸送コストの問題もあると思いますが。
一方、一番安いのはスペインです。
スペインで値札を見るとよくわかるのですが、2重値札になっていて、同じ€(ユーロ)価格でもスペイン用が上にあり、ちぎって下を見せるとスペイン以外のユーロ価格になっており、その価格がスペインの値段よりも5€くらい高かったのを覚えています。
また、このトリップ中も各店で価格をチェックしましたが、夏のセールもあって、値下げ価格は3€や5€まで落ちているものも結構ありました。
激安価格です。
基本的には、必要以上の在庫は各国に送り込まない方針の同社ですが、
おそらく事情があって(FC国など)、出店国で処分できない在庫の最終処分はスペインで行っているのだろうなと想像がつきます。
ちなみに、スペインには体の不自由な方に雇用機会をつくって運営する同社のアウトレットチェーン(for&from)もあるそうです。
以前、商社でアパレル生産をしているころ、「サンプル購入はパリでも、ロンドンでもなく、バルセロナに行く」、とおっしゃっていたメーカーの方々がたくさんいらっしゃいました。
物価の違いもあるかも知れませんが、価格競争も激しい国ゆえ、消費者も安く購入でき、企業もその分、磨かれるのかも知れません。
バルセロナは街全体が建築美術館!
さて、仕事を離れて、バルセロナの観光の魅力にも触れておきたいと思います。
バルセロナと言えば、サグラダファミリアやカサ・ミラも有名ですが、
2階建て観光バスに乗って街中をめぐると、
新旧のデザイン性の高い魅力的な建築物が楽しめます。
デザイン系の方にもおススメの観光地です。
昼も夜も結構目立つのがジャン・ヌーベルが設計したという水道局トーレ・アグバール。かっこいいです。
スペイン料理は最も大好きな料理
海外視察の最大の楽しみのひとつと言えるのが地元の料理とお酒。
スペインはシーフードも、肉も、野菜も豊富で、
素材をオリーブオイルと塩で活かすところは日本人にとっても
相性のよい料理のひとつではないでしょうか?
昼間からサングリア、夜は生ハムとワインからスタート
シーフードもよいのですが、この旅でもっとも惚れたのが
ししとうの岩塩炒めと言えばよいのでしょうか?パドロンでした。
食事の度に、何回もお代わりさせていただきました。
ホテルではちょうど誕生日を迎えた僕に冷やしたCAVAのプレゼントが置かれていたのに感動しました。
Muchas Gracias! ありがとうございます。
さて、太陽がいっぱいのバルセロナでは、視察、グルメ、観光も楽しみ、
充電の上、いざ、ロンドンへ。精力的に歩き回る視察中は充電も大切です♪
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