僕とUSB

※初めての投稿なので画像もなにも無い勢いだけの文章です。

今や80近い母親でさえ知っているUSB。(母にとっては携帯電話の充電設備としか思っていないが。)
USBが登場したのは1996年。当時まだパソコンも持っていない自分が知る由もなく、そもそもパソコンが家庭に普及する前の時代である。パソコン所有=そこそこディープなオタクなんて認識だったかもしれない。

時は1997年。当時高校生だった自分はパソコンが欲しかった。
厳密にいえばエロゲーがやりたかった。頭の中はエロでいっぱい。
それは次回書こうと思う。
しかし、パソコンは当時は高級家電。家電量販店で3~40万円を超えるものが普通だった。
パソコンが欲しくてアルバイトをしていたが、そこは高校生。
遊行費やゲームソフト、マンガにバイト代は飛んでしまい、月に貯金できる金額なんてたかが知れてる。2年間バイトを続けていたが、貯金額は20万円も無かった。高校生にとっては大金だが。
そんな中、当時あった家電チェーン、よつば電機でお盆期間にパソコンの抽選販売が行われた。
機種はPC9821V20。販売価格はなんと20万円。しかも、モニターとプリンター、パソコンデスクも付いてくるではないか。
これなら買える、少し足りない分は親から前借して、友人を呼び寄せ、ご飯を奢る形で8人集めて抽選に挑んだ。
結果は当選。ついに念願のパソコンを手に入れた。
これで念願のエロゲーができる。それは次回書こうと思う。

ゲームも満喫していたが、ゲーム以外にもいろいろできるのがパソコン。当たり前か。
まず初めにデジタルカメラを購入。1万円。ズームどころがモニターもフラッシュも付いてなく、撮影枚数は低画質モードで16枚。画質も20万画素無かったと思う。
それでも当時はそういうもんだと思い、とにかく写真を撮りまくった。
スマホで写真で簡単に取れる今よりも撮影していたと思う。
モニターがないから写真を撮ってはパソコンに取り込んで確認。
16枚の写真を転送するのに5分はかかったかも。
それでも1000枚は軽く撮ったと思う。

その後専門学校に進学し、絵を描いていた。イラストね。
当時の自分のイラストの描き方は、コピー用紙に線画を書いてそれをスキャナーで取り込んでパソコン上で彩色。当時からペンタブレットも売っていたが買わなかった。それは後述。
描いたイラストは当時主流だった大容量記憶機器、MOディスクに保存。フロッピーディスクも付いていたが、フロッピーディスクの容量は約1MB。作業中の画像ファイルの保存さえも困難だったのだ。

ゲームもエロゲーだけではなく、普通のPCゲームを遊ぶようになった。

ここで本題に入ろうと思う。
自分のパソコンにはUSBが付いていなかった。
ちなみに1998年頃から周辺機器と呼ばれるものにUSBで接続するものが増え始めた。
ちなみにUSBが付いていないパソコンでプリンターとスキャナーを接続しようとしたら、まずパソコンについている専用のプリンターポートにスキャナーを繋ぎ、スキャナーについてあるもう一つのプリンターポートからプリンターを繋がなくてはならなかった。
パソコン ⇔ スキャナー ⇔ プリンター
こんな感じである。
これは何が問題かといえばスキャナーの電源が入ってないと、プリンターが動作しないのである。
当時はプリンターやスキャナーの周辺機器はもとより、パソコン自体もすごく不安定だった時代だった。
原因が分からず、何度も接続を確認したり、パソコンの設定を確認したり、試行錯誤を繰り返した。
そして何よりも面倒なのは、試行錯誤のたびにパソコンを再起動しなくてはならなかった。パソコン起動後に接続してもパソコンは機器を認識せず、何よりも故障の原因にもなるので機器の接続はパソコンを起動する前、というのは当然の認識だった。
パソコンの再起動だって今の高速SSDなんて時代じゃない。
IDEという遅い規格にハードディスクだ。起動から動作が安定するまで数分かかるのはデフォである。
周辺機器にはそれぞれ独立して電源があるので起動する前にそれらの電源を入れておく必要があり、パソコンが起動してから周辺機器の電源を入れ忘れに気付いてやり直し、なんて事も多々あった。
試行錯誤にあたっては機器を認識するのに1日がかりで行うこともザラだったのだ。

そして当時のパソコンの周辺機器は今ではほとんど使われていない接続方法がたくさんあった。
まず前述したMOディスク。これにはSCSI(スカジー)という接続が必要だった。当時購入したPC9821V20にはSCSIを接続する端子は無く、専用のボードを購入して接続した。5000円くらいしたと思う。
そしてプリンターにはプリンターポート。
マウスやキーボードはそれぞれ専用の端子があり、それらに接続する必要があった。(今でも一部の自作PCのマザーボードには若干残ってるか)
ゲームのコントローラーはMIDI端子。MIDIとは、音楽信号(音階とか音の強弱)を制御するのに使われる規格である。音楽とコントローラーの関係性は分からないがそういうもんなのだろうと認識していた。これも当時のパソコンには搭載してなく、音源ボードを購入してそこについてあるMIDI端子に接続していた。当時1万円くらいか。ゲームコントローラー接続するだけなのに。
そしてRS-232Cポート。これはデジカメの画像を取り込むのに使用した。

つまり、自分のパソコンには6個のポートがあり、それぞれ違う周辺機器を接続するのに必要だったのだ。
これらの接続が絡み合い、時には干渉しあい、パソコンをどんどん不安定にしていった。なお、周辺機器には別で電源が必要なのでPCタップ(コンセント)も圧迫していった。

上述の通り、パソコンには多数の接続方法があり、それらがまあ複雑だったのは分かるだろう。

時は流れ、2000年。友人がパソコンを購入し、接続と設定を依頼された。
まずパソコンにモニターを専用の端子に接続。
その後、4つ付いていたUSB端子にそれぞれマウス、キーボード、プリンター、スキャナーを接続。
スキャナーとプリンターのドライバをインストール。おしまい。
あれ?なんか早くない?
スキャナーに至っては電源すらない。どうやらUSBには電源供給機能もついているらしく、スキャナーは電源がいらないらしい。
その頃はUSBって便利だなー、ぐらいの認識だった。
もちろん年月が経ち、自分が購入した頃に比べてもパソコンの性能も飛躍的に上がっていたが、自分のパソコンもメモリを増設したり、CPUを換装したりしていたので性能はそこそこあり、気にはならなかった。

それから少し時が流れその友人がゲームのコントローラーを購入した。
USB接続のコントローラーらしい。
友人はスキャナーのUSBを抜き、ゲームのコントローラーを差し込んだ。
その時は乱暴な接続するなー、いずれ壊れるぞ、なんて心配した覚えがある。
そもそもコンシューマー機じゃないんだからゲームコントローラー差し込んだくらいですぐに使えるわけじゃないのに。コントローラーのドライバーのインストールとか必要じゃないの?
パソコンのモニターに表示されるセットアップ完了の文字。
なにやら当時のOSであるWINDOWS98にはゲームコントローラーがサポートされており、接続しただけで全て自動で処理してしまった。
その後、その友人はパソコンの電源は入ったままコントローラーを抜き、スキャナーを差し込み、雑誌のスキャンを実演してくれた。
スキャン速度が速い!!自分のスキャナーの数倍のスピードで取り込んでいる。
どうやらUSBは自分が使用しているプリンターポートの数倍の転送速度があるらしい。もちろんスキャナーの性能の違いもあるが、そんな一言では片づけられない程快適さには差があった。
ペンタブレットを接続して絵を描いていた。当時欲しかったが、なぜかUSBタイプしか売っておらず購入しなかったのだ。もちろん電源はUSB給電である。
コンセント周りもすっきりしていた、パソコン周りもすっきりしているような気がした。

なんなんだ、USBって。
当時パソコンユーザーにとって当たり前になりつつあったUSBだが、そもそもパソコンにUSBが付いていない自分にとってはあくまでも接続規格の一つにしか過ぎないと思っていた。
しかし、改めて目を向けると、周辺機器のほとんどがUSB接続に代わっていた。
自分のパソコンについていないUSB。改めて調べてみたら1997年に購入した自分のパソコン、PC9821V20の次の世代からUSBが搭載されるようになったらしい。つまり転換期に乗れなかったのだ。
当時のUSBはまだまだ途上で満足に使えるような代物ではなかったらしいが、それでも搭載しているとしていないでは天と地ほどの差がある。乗り遅れたことが問題なのだ。(それを言えば、PC9821自体を購入したのも世の中から大きく乗り遅れることになるのだがこれも後々)

USBを渇望した。みんな持っているのになぜ自分のパソコンだけないんだ。
ファミコンを買ってもらえなかった子供の気分である。
当時すでに働いていたので、給料はもらっていたが、安月給で一人暮らしをしていたので、むしろ親のすねをかじっていた学生の頃より金は無かった。
パソコンを新調する余裕は無い。今のパソコンをもう数年使い倒さないといけないだろう。
USBに執着していた。これさえあれば何でもできるとさえ思った。
当時営業職をしており、他の会社のパソコンを見るたびにUSBがあるかないか確認していた。USBがあるないで勝手に会社のランク付けをしていた。USBが付いていないパソコンを置いてある会社を勝手に下に見ていた。もう訳が分からない。
仕事で行った音楽学校のエレクトーンにUSB端子が付いていたときは先方の話が頭に入ってこなかった。なぜエレクトーンにUSB?パソコンに繋ぐの?何のため?(エレクトーンの演奏をUSB経由でMIDIデータでパソコンに送るらしい。今にして思うとあのおばちゃんすげえな。)

後に念願かなってパソコンを購入。ついに我が家にもUSBがやってきた。
厳密にいえばプレイステーション2とかにもUSBは搭載しているが、あんなのただの飾りだからノーカウント。
様々な機器がUSB1本で接続。分かってはいたが、快適この上ない。
今ではパソコンには10を超える機器がUSBで繋がれ、空きがないと不安なので、5個以上のスペースを常に残すようにしている。
自宅のリビングと自分の部屋のコンセントにはUSB端子も増設した。
スマホやタブレットの充電ぐらいしか使い道無いけど。
車にもUSB機器を4個接続できる。これも充電くらいしか使用しないけど。

30代くらいまでの人は多分当たり前のようにUSBは身近にある存在だと思う。
もはや第2のコンセントともいえるだろう。
そんなUSBに取りつかれ、今でも家電を見るたびにUSBを探してしまう悲しき人間が生まれてしまったという事実も忘れないでほしい。

それにしてもUSBが登場して25年以上たつのに今でもバリバリ現役の仕様なのがすごいな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?