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頭がいたい

「頭の頭痛が、痛い。」

 朝のウォーキングに出かけて五分、なにやら息子がおかしな表情をこちらに向けた。

「頭が痛くて、おかしなことを言った…。」

 わりと細かい事を気にする少年は、己の発言を恥じていらっしゃる。なんだ真面目だな、まだ子供なんだし、多少の言い間違いなんか愛嬌ですむんだからさあ、そこまで気にしなくてもよさそうなもんなのに……。

「ああ、頭が痛いってことでしょ、大丈夫ですか、…今日は風が冷たいからなあ、ウォーキングやめておく?」

 時節柄、無理は禁物だ。いくら家を出る時平熱だったからと言って、歩行中に高熱になることだってある。額に手をやると…うーん、熱くはないな……。昨日遅くまで起きてゲームをしていた影響か、はたまた起きて五分で家を飛び出した影響か。

「朝ごはんが欲しいから、コンビニだけ、行きたい。」
「りょうかい。」

 まだ暗いコンビニまでの道のりを、息子とともに歩きながら……昔を思い出す。

 頭痛が痛い、ね……。

 ―――頭痛が痛いから、掃除は明日にする
 ―――頭の悪いこと言うな!いいからさっさと掃除をしろ!

 ちょっとした言い間違いを、昔よく咎められたなあ……。

 ―――学校に登校しないといけないから、できないよ
 ―――はっ!学校に登校って!校が二つ並んでるじゃないか!おかしい事言うんじゃないよ!どうせ学んだところで頭が悪い発言しかできないんだ、掃除をしろ!

 ―――その時、前に前進するって決まってるから
 ―――前は一回でいいって何度言えば分かるんだ!同じ言葉を繰り返すな、みっともない!

 同じ漢字を繰り返したり並べたりすると、鬼の首を取ったように…責められてさあ。

 ―――返事を返さないといけないから
 ―――そのおかしな言葉遣いをやめろって言ってるんだ!日本語も正しく使えないやつが手紙なんか書くな!

 ミスに託けて、文通の手紙捨てられたりしたっけなあ。

 ―――最後の切り札は無遅刻無欠席だって先生が
 ―――先生がそんなことを言ったのか!その言葉はおかしいですよって教えて来い!

 自分のみならず、他人の失言も私に押し付けて憎悪の対象にされてさあ。

 ―――新年明けましておめでとうございます
 ―――お前の新年はもう終わったのか!ハッ、じゃあお年玉はいらんな!

 私は大昔、ことごとく自分の発言を修正されまくったのだが。
 ……おかしなことに、いまだへっぽこな発言をし続けている。

 たこ焼き一個下さいとか、たい焼き二つ下さいとか、靴下一個買いたいとか、箸一本ちょうだいとか。

 ―――たこ焼き一粒食うつもりか!
 ―――たい焼きは枚って数えろ、頭悪いね!
 ―――靴下の数え方も知らんのか!一生穴あき履いとけ!
 ―――箸は一本じゃ使えんだろうが!ちょっとは頭を使え!

 さんざん叱られ続けて、微塵も身につかなかったのだ。
 これはもはや…叱られ続けたから、身につかなかったのだとしか思えない。

 私は言い間違いや言葉のミスを頭ごなしに叱るのはよそうと心に決めて、もうずいぶん。

「ねえねえ、昨日臨時収入が入ったからさあ、今日はチキン二つかっていいよ♪」
「収入が、入った…?フフ……。」

 叱るどころか、反対に…微笑まれるように、なっとるがな!!

 ……子供というのは、いつの間にか大きく育つものなのだ。
 ……いつしか、己よりも知識を蓄え、親の過ちを笑って指摘できるほどに大きくですね……。

 私は、言葉の勉強をしないといけないなあと、しみじみ思いつつ暮らしているというお話ですよ……。


いやー、語彙力って身につかないものなんですね(違


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たかさば
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