白米が好きすぎて
息子が成長期である。
……ただし、横方向に!!!
どちらかと言えば食が細く、好物のキノコばかり食べていてひょろひょろとしていた時代をマッハで通り過ぎた彼は、ただいま絶賛増量期に突入している。
おかずと共に食らう白米のうまさを知り、肉のうまさを知り、野菜の爽やかな食感を知り、卵の優しい包容力を知り、脂の持つ魔性の魅力に気が付いてしまい!!
「デブって言われた……(。>д<)」
……これは由々しき事態!
消費カロリー数を増やして、身を引き締めていかねばなるまい!
かくして、毎朝息子とともにウォーキングに行くことになった。
学校のある日は片道20分の場所にある大きな公園に行き、ぐるっと回って帰宅してから学校へ。学校のない日は緑道とよばれる全長10キロのウォーキングコースへ。
ぷよぷよはしているものの、その両足はボチボチ凛々しく引き締まり、身長も伸び始めてきては、いるのだが…。
くう、全然丸っこいフォルムがシャープになっていかないんですけど……。こんなに運動してるのに、なんでや……。
「そりゃあ帰りにたらふく食べてるからじゃん!!せっかく消費したカロリーを補充してたら減るわけないじゃん!!」
ダイエットに成功し引き締まった体をゲットした娘が、いつになく厳しいことをおっしゃる。
まあねぇ。確かに、食べ過ぎては、いる。
平日、ウォーキング帰りに、ごほうびと称してコンビニのチキンを買って帰る事になっている。
休日、いっぱい歩いたご褒美に、牛丼屋で牛丼の頭大盛りと半熟卵を二つを食べてから帰ることにしている。
「今成長期だし…、食事減らしてたら丈夫な体が作れないと思ってさあ。あんまり食事制限したくないんだよ。」
さすがに、小学生のうちから朝食はプロテインだけとか、ダメだろうと思うんだよね。ある程度体が成長しきってから絞るんだったらそれでもいいと思うんだけどさあ……。
娘は育ちきった高校生の時に、朝食をプロテインに置き換えて、炭水化物少なめのウォーキング多めにして、減量したんだよね。
「今の状態はね!運動量に対してプラスマイナスゼロどころか、プラマイプラプラなんだよ!!せめてご飯のおかわり無くすとかしないと!!」
むう、確かに娘の言う事も一理ある。
息子は間食をしないタイプなので、ご飯の時は思う存分食べさせるのがデフォだった。幼児の頃の貧弱な時代を知っていると、ついついいっぱい食べられるようになったのは良い事だと思ってしまうという背景もある。
「そうだなあ、ちょっとご飯を減らして、代わりに野菜を増やして様子を見ようか。」
「はい……。」
小さな茶碗を用意して、ご飯はその一杯だけにすると決めた息子。
あまりにもご飯が好きすぎて、食事の最後のお楽しみとして、デザート感覚で米を食べるようになってしまったじゃありませんか。
野菜をバリバリ、おかずをもりもり食べたのち、丁寧に一口一口、味わうようにして白米を口に運ぶという…、実におかしな作法がですね。
それほどまでに、白いご飯が好きなのですか……。
息子は、横に広がってから縦に伸びるタイプだったらしく、中学にあがる頃からぐんぐん見た目が変わっていったわけですけれども。
いまだに、おかしな食べ方は続いていたりする。
「君、もう太くないから普通に食べれば良いのに。」
「これでいいよ。」
今さら三角食べを指導するのもなあ……。
嬉々として、白米を丁寧に口に運ぶ息子を見ながら、私はご飯のおかわりをしたのであった。
食が細い子が食べるようになると、思わずたくさん食べさせたくなるのが親心というものでして…。