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俺、生まれ変わったら【ジグソーパズル】になってしまった…
……俺は、ジグソーパズル。
50×75cm、2000ピースの、壮大な風景画デザイン、フレームあり。
昔、俺は人間だった。
名前は忘れたが、気の短い男だった。
何らかの事故で命を落としたとき、俺は願った。
「生まれ変わったら、ジグソーパズルになりたい」
そう願ったのには、理由(わけ)がある。
俺には嫁さんがいて、ジグソーパズルを趣味としていたのだ。
顔も、名前も、姿も、何一つ覚えていないのに…罪悪感だけは忘れられなかった。
嫁を愛していた事と、完成間際のジグソーを蹴散らして嫁を泣かせた事だけが、いつまでも心に残っていた。
願いが叶ったのだと喜んだ瞬間は、確かにあった。
だが、しかし。
―――うわぁ…めんどくさくなってきた!!
俺は、ええカッコしいの学生に買われた。
見た目を良くする事に一生懸命な、中身のない男だった。
俺は願った。
「一刻も早く、生まれ変わりたい」
そう願ってしまうのは、当然である。
チャラくて女の尻ばかり追いかけている学生は、毎日違う女を家に招き入れて俺を組み立てるのだ。
日替わりで女がやってきては、ピースをはじいてイチャイチャしまくる…地獄でしかない。
恐ろしい願いをしてしまった事と、願いが叶ってしまった事が、いつまでも心をえぐり続けた。
……短気な自分に組み立てることができなかったのだから、せめて誰かに組み立ててもらいたい。
―――フン、こんなもの!!!
俺のピースを2~3個つまみ上げて捨てたのは、地味な女子だった。
いわゆる陰キャ系の、恨みがましい目をした女だった。
俺は願わずにはいられなかった。
「失くしたピースに気づいて、メーカーにはがきを出して取り寄せてくれよ…」
そう願ったのには、理由があった。
前世で同じような悪さをしていた事もあり、一度も完成したジグソーパズルにお目にかかったことがなかったのだ。
俺がジグソーパズルになれば…誰かに完成させてもらえば…、許されるような気がした。
許してもらえずに逆切れして…すべてを失ってしまった後悔が、いつまでも心をえぐり続けている。
……果たして俺は…完成に至ることができるのだろうか?
―――これが完成したら、結婚しよっか
こんな軽薄な男が、結婚などするはずがない。
目ざとい女が、完成させてなるものかとピースを捨てていく。
完成が間近になると、わざとらしく俺の上に転がって崩すやつもいる。
俺の願いは…叶わない。
ブチ切れた女が、俺を集めて、火をつけた。
俺の体が、ぶすぶすと…燃えていく。
ああ、次に・・・生まれ変わったならば。
おれは・・・
・・・
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