32日
32日とは、1日というくくりが32回続いた時に使用される、32番目の日。
ひと月というひとくくりは、長くても31日までしか存在しない。
通常、32日という存在は、世間に出回る機会がほとんどない。
だがしかし、32日は、この世界に存在している。
例えば、観察日記…今日で32日が経過。
例えば、ダイエット持続中…今日で32日が経過。
例えば、とある幼虫のふ化に成功…今日で32日が経過。
ひと月というくくりの中に入れなかったというだけで、日にちというものは続いていく。
1日を過ごし、次の日を迎えるたびに、日にちというものは積み重ねられていく。
ひと月という考え方は、一般的な常識があってこそ、成り立つものである。
この世界は、誰かの決めた一般常識がまかり通っている、ただそれだけなのだ。
この世界で生きる自分は…、常識を取り入れて生きている大多数の中の、一部だ。
自分は、自分ではない誰かが定めた規律のもと、平凡に暮らしている。
自分は、自分ではない誰かが強いるルールのもと、平凡に暮らしている。
自分は、自分ではない誰かが作り上げた模範のもと、平凡に暮らしている。
この世界で、自分は多数の人々に混じって生きている。
……だが、しかし。
自分は、世間一般の民衆に属しているが、そのものであるかと言えば、疑問だ。
自分は、ごく普通の一般人として暮らしているが、そのものであるかと言えば、疑問だ。
一般常識に準ずる部分はあるが、逸脱する部分もある。
常識の範囲内で収まる事が多いが、はみ出すこともある。
……どっぷり常識に浸かっている自分でさえ、この調子なのだ。
常識にとらわれず、己の道を行くものもいるはずだ。
常識など知った事かと、己のルールを貫くものもいるはずだ。
世間一般において、ひと月というくくりが31日で終わったとしても……、32日、33日、34日と続いていく誰かがいないとは限らない。
そういう意味でも、32日は……、この世界のどこかに存在していると思うのだ。
ただでさえ、このところ……、異世界転移や多次元世界、パラレルワールドという認識が高まっている。
32日を過ごしている誰かが、32日を迎えている誰かが、32日を楽しみに待っている誰かが……、いないと言い切ることなど、できない。
32日が存在していないなど…言えようはずも、ない。
だから私は、ここで……、口を閉ざすことにした。
……今まで、ありがとう。
では、また……いつか、どこかで。
問:結局何が言いたかったのか? 答:すべてはある、以上