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サッカーバカな俺が体育祭で本気で優勝を目指した話。

17年間サッカーしかやってこなかった僕が体育祭の中心メンバーとなり、本気で優勝を目指した話。
なぜ体育祭にここまで本気になったのか、本気で目指したことで得れた事は何なのか。
体育祭から一年以上経って、客観視できる今だからこそ話していこうと思います。

体育祭の中心メンバーになった理由って、なに?

2023年度の平塚江南高校(以後江南高校)の体育祭で、僕はAブロックの仮装責任者になった。
仮装とは、各ブロックごとに自由にテーマを決めて、それに合わせて音楽、フリ、衣装、道具を作り(音楽ならネットから音源をお借りする事が多い)そのクオリティで順位を決める種目である。

なぜ僕はこの種目の責任者になり、優勝を目指したのか?

(江南高校に入学したことある人ならわかると思うが)高校に入学して、即体育祭の練習が始まった。
どうやら、江南高校には「仮装」という種目があるらしい。正直練習はダルかったけど、ちゃんと練習して一年目の体育祭が終わった。

体育祭が終わった後、一時期YouTubeで湘南高校の仮装を見ていた。
いろんな年代やブロックの仮装を見るというより、ある特定の年代の特定のブロックの仮装ばかり見ていた。
なぜか?

湘南高校の仮装は、江南よりも予算も、
練習期間も、規模もデカい。
僕の周りに湘南高校出身の人がいて、その人から

その代のそのブロックの仮装は練習期間で観に来てくれた先輩に強くダメ出しされて、悔しくて泣いた人がいた。それでも頑張って、仮装で優勝した時は嬉しくて、その人だけでなくその人の親も泣いた
という話を聞いた。

美しいなって思った。

サッカーで、「ここが人生の変わり目になる」という90分があると思うし、試合や練習のために全力を尽くす事には変わりない。
ただサッカーは引退しない限り試合が終わった後も試合が続くし、大会が終わった後もまた大会が始まる。

でも仮装は、後にも先にも体育祭本番の10分しか
表現できる場と時間がない。

たった10分(江南高校は7分)の為に何ヶ月も考えて、話し合って、練習して、時には上記のように辛い思いをすることもありながら、それでも頑張って、全力で向き合って。
そうやって完成された10分間の青春に、
僕はサッカーとは違う美しさや儚さを感じて、
強く心を動かされた。


高1の冬に膝の大怪我をしたことで2年目の体育祭は練習にも参加する事が出来なかった。
でも先輩方は仮装の練習で僕にフィードバックのために上から映像を撮るという役割を与えてくれた。
どんどん仮装のクオリティが上がっていくのが上から見てわかってすごく楽しかった。
「これ絶対優勝すると思います!」
本番前日興奮してそう先輩に伝えたことを
覚えている。
ずっと上から他のブロックの仮装も見ていたから、僕の中ではそう確信していた。

僕の言葉の通りに、仮装は優勝した。
仮装だけじゃなくて、競技も含めて総合優勝した。
ブロック全体で優勝を喜び合えた事がすごく嬉しかった。


高1で「仮装の美しさ」を知って、
高2で「仮装で優勝する嬉しさ」を知った。

自分も仮装で、
自分自身と観ている人の心を動かしたい。
優勝を喜び合いたい。

そう思って仮装責任者になった。

「NO」が言えて、初めて「YES」に価値が出る

そうして、仮装の制作が始まった。
手始めに湘南高校の過去5年分の仮装と、江南高校の過去3年分の仮装を見て分析した。
いい仮装は何が共通しているのか、テーマは?流れは?陣形は?衣装は?フリは?道具は?音楽は?

順位が高い仮装には、これらに共通点があった。
よし、これならいい仮装が作れそうだ!
テーマも平家物語に決まった。
優勝出来るポテンシャルのあるテーマだ。
まずは俺が考えた流れを説明して...

僕が考えた流れは、周りの人にウケなかった。

当時の僕は、ハッピーエンドで終わらせたかった。
ハッピーエンドで最後行うフィナーレのダンスで派手に終わらせたかったからだ。
でも「平家物語は最後負けるからそれはきついし終わり方がテーマに合わない(意訳)」
と反対され、僕の件は却下された。
今考えるとど正論。

早速やりたい事が却下されて、当時結構萎えた笑
でも今考えると、
おかしい事はおかしいと言ってくれる仲間
がいて本当に良かったと思ってる。
何よりこのおかげで『いい終わり方』を思いつく事が出来た。

サッカーでも仮装でも、本気になると、視野が狭くなって、どうしても自分が正しいかどうかわからなくなってしまう事が多々ある。(この話は後々伏線になります。)

そんな時に助けになるのはおかしい事はおかしいと主張して毅然とした対応をしてくれる仲間の存在だ。

『自信を持て。道を間違えたら誰かが教えてくれる。だから自分を信じて、自分のやりたいようにやれ』

仮面ライダーオーズ22話 伊達明のセリフより引用

だからこそ、僕はこの言葉の通り自信を持ってやりたいようにやる事が出来た。なぜなら自分がおかしい時は仲間が止めてくれるから。そのくらい信頼出来る仲間に恵まれたから。


「NO」が言えて、初めて「YES」に価値が出る
この経験からそう感じて、以後しっかりと自己主張する事を意識する事になった。

組織において1番大事なこと

江南高校の仮装制作は大体高2の年明けあたりから始まって、高2→高3の春休みで音楽を選んだり、フリを考えたり、衣装のデザインを考えたり、道具の製作などの準備作業が始まる。

大体ここら辺で雰囲気がピリピリし始める。
あいつが来ない。こいつがちゃんとやんない。作業が進まないetc...


この時僕は何をしていたか。
大事な作業を行う傍ら、他クラスの教室に遊びに行っていた...


いや嘘です。敵情視察してました笑
まあそんな堅苦しいものじゃなくて、他クラスの人と談笑しながら、どこまで作業が進んでるか、どんな仮装になりそうかを確認してました。

ちなみに今だから言えるけどここら辺からもう既にDブロックとEブロックには目つけてました笑
この2ブロックは上に来るなって思ってました。
(AブロックとDブロックとEブロックが仮装TOP3でした。詳しい順位は後で話します。)


そんな他クラスの人とのコミュニケーションを取ったり、自分の経験を踏まえて感じた事。

それは
組織において1番大事なのは『雰囲気』

という事だ。

この時期の他クラスの人たちが話す事は大体作業に対する不満や愚痴だった。
それで終わるならいいが、それが爆発して人間関係に亀裂が入ったブロックもあった。

サッカーだって同じだ。「メンバーは揃っているのに雰囲気が良くなくて、上手くいってないチーム」を僕は沢山見てきたし、そうなってしまった集団にいた事もある。

『雰囲気』によって、
組織は化ける可能性があるし、
壊れる可能性もある。

じゃあ僕のやるべき事は何か。
『Aブロックのムードメーカーになる事』
とにかく絶対雰囲気を壊さない。壊させない。
そして組織の雰囲気を常にプラスに、ポジティブに持っていく。

体育祭に関わる人のほとんどが「乗り気じゃない」のだ。正直やらなくていいならやりたくない。
特に僕らはこれから受験生になるタイミングだったから、本当は準備なんかせず受験勉強したい人も多い。

そんな中、春休みの中わざわざ学校に来て、準備を手伝ってくれている。
心の底からすごい助けになったし嬉しかった。

だから、仮装の準備に来てくれた人には必ず感謝を伝える。作業が進んでいたら喜んで、褒めて、感謝を伝える。もしイラついてそうな人がいたらその人に自然と近づいて、愚痴を聞いて少しでも心を軽くしてもらう。
絶対に手伝ってくれる人を悪く言うことはしなかった。もちろん手伝わない人も悪く言わなかったし、無理やり手伝わせると言うことはしなかった。

「手伝ってくれている人に感謝する」
そのスタンスは絶対に崩さず、そして
自分ができる作業は全てやって、
一切手を抜かなかった。
「責任者のあいつがやってないから
俺もやらなくて良くね」
そう思わせないように、隙を見せないようにした。

高3になると下級生(以後後輩)が入ってきて、いよいよブロックとしての活動が始まる。そして5月くらいになると、後輩にフリを教えるフリ練が始まる。その時も同じスタンスで接した。

同級生も後輩も同様にわざわざ自分の時間を削って、乗り気でないのに練習に来てくれている。
だから練習では、落ち度やネガティブな言動を見せてはいけない。

とにかく褒める、感謝する、悪く言わない、隙を見せない。

推しの子っぽい言い方をすると、
みんなの前では「完璧で究極の仮装責任者」
でい続けようとした。

それでもミスする時もあるので、そういう時には誠心誠意謝った。

そうやってとにかく雰囲気を壊さない為に、さらに雰囲気を良くする為に行動し続けた。

初めて感じた「誰かの為に」が持つポジティブな力

『雰囲気』をより良くするためにとった行動の成果はだんだん現れてきた。

人間関係のトラブルは少なくなってきたし、後輩達も笑顔で練習に来てくれる人が多くなった。

そしてゴールデンウィークに転機が訪れる。

多分ゴールデンウィークは仮装準備の山場だ。
この時期に衣装の布が届いて、『布切り』が始まる。
届く布は文字通り布なので、縫ったら服になるように切っていかないと行けない。
ブロックの人数分全員。約120人。
これを3年生でやらないといけない。
僕は唯一衣装にはあまり関わらなかったから正直わからないところはあるけど、
かなりきつい作業なのは見てすぐわかった。
それ以外にも道具の製作も大詰めになるなど大変な事が多い。

大体各クラス多くて4〜5人で
その作業を行うのだが、
僕らのクラスは最大15人も
手伝いに来てくれたのだ。

それもたまたま1時間だけ、1日だけ
とかじゃなくて、ゴールデンウィークの間
毎日10人以上の人が手伝いに来てくれた。


実は布が届くのが遅れたので布切りをこの期間にあまり出来なかったのだが、
それでもみんな他の作業を手伝ってくれたことで作業がかなり進んだ。

個人情報のため
かなり強いモザイクをかけてますが、
多くの人が手伝ってくれてることは伝わると
思います。

前回のnoteに書いた通り、僕は「自分自身の為」に行動する事でいいパフォーマンスを出してきた。
「誰かの為」に行動する事は悪いプレッシャーになる。強い言い方をすると『呪い』と同じだ。
この仮装だって「自分自身の為に、自分がやりたいから』行動してきた。

でもこの瞬間から体育祭本番までは違った。
「ここまでやってくれてるみんなの為に絶対優勝する。やれる事全てやる。」
人生で初めて『誰かの為に』決意が固まって、より一層仮装に対して向き合う事が出来た。

時に残酷な「運」に対する向き合い方

そうやって『雰囲気』を作り上げて、決意も固まって、やれる事やり切って迎えた本番。
高1の時に見た湘南高校のあの仮装のように、
僕も儚き7分間に全ての青春を込めた。


結論から言うと、優勝出来なかった。
3位だった。

アナウンスが流れた瞬間に込み上げたのは
『入賞できた嬉しさ』ではなく
『優勝出来なかった悔しさ』だった。

何が足りなかった?どうすればよかった?


くじ引きで、仮装の順番が決まった。
僕らは1番だった。
1番最初は『基準』になってしまうから、優勝する確率は低くなる。


2位だったEブロックの仮装。春休みにクラスの人からフリを教えてもらった時、正直「ちょっと難しくね?」と思っていた。
けどやれていた。なんならフリが揃っていてめちゃくちゃ綺麗だった。
もちろんフリをすごく練習した成果である事は間違いない。ただEブロックは競技が1位だったから、他のブロックより運動神経がいい人が揃っていた。

1位だったDブロックの仮装。
衣装と道具類がめちゃくちゃ綺麗だった。
敵情視察(?)してたからこそ、このブロックのクオリティの高さは知っていたけど、本番になると特に大道具の迫力は凄かったし、その使い方のアイデアも素晴らしかった。

そしてどちらも仮装の順番が7番と3番。
有利な順番で発表できていた。

やる事はやった。
だからEブロックのように運動神経のいい人達が揃っていたら...?
Dブロックのように道具や衣装のクオリティにかけれる人がいれば...?
何より、くじ引きでいい順番を引き当てていれば...?

『運』が味方してくれれば...?


...



本当にそうだろうか?

確かにEブロックは運動神経がいい人が揃っていたと思う。でもフリを揃える為に休み時間でもマンツーマンでフリの指導をする事があったらしい。

僕は「どう思われるか」をビビってそこまで覚悟を持って踏み込めなかった。

Dブロックも、クオリティの高い衣装や道具を作る為に衣装の一部に制服を使うなど、予算を浮かす努力をしていたし、早い段階から大道具の製作に取り掛かっていた。

僕は衣装で予算を浮かす考えが頭になかった。
当時のAブロックは立て看板で優勝した。そのくらい美術の精鋭達がいたのに、大道具でそれを活かすアイデアを思いつかなかった。
小道具の製作に労力を削ぎすぎて、大道具にそこまで労力をかけれなかった。

僕らより上だった2ブロックも同様に仮装に対して並々ならぬ努力をしていた。

そしてAブロックの皆んなはこれ以上ないくらい
一生懸命やってくれた。主観にはなるけど、どのブロックよりも頑張っていたと思う。

僕は体育祭期間中みんなから「よく頑張ってるね」と声をかけられた。もしかしたら、僕が1番仮装に対して本気でやっていたかもしれない。

でも優勝は出来なかった。
僕は上記のようにやれる事はもっとあった。

結局、当時の僕の努力は、他の人の努力や運によって負けてしまう程度のものだったんだ。

最後に...


優勝はできなかった、目標は達成できなかった。
だけど、全力で向き合ったことで得れた経験や仲間の存在は大きかった。
何より、すごく楽しかった。

仮装の前にAブロックのみんなで円陣して、
そのど真ん中で
「みんなだったら絶対出来る!本番とにかく楽しんで!絶対優勝するぞ!」
って叫んだ時の一体感と、本番を迎えられた達成感は一生忘れられない思い出だ。

やり切ったので悔いはないし、
この経験は必ず人生の糧になると確信している。
関わってくれた皆さん、本当にありがとうございました。



...




という終わり方を、サッカーでは絶対したくない。

筑波大学蹴球部のnoteを見てみると、
こんな人が沢山いる。

『「プロになるor TOPチームで試合に出る」と決意してこの大学に入った。本気でサッカーをした。でもプロどころかTOPチームに上がることすら出来なかった。でも本気で向き合ったことでかけがえのない仲間に出会う事が出来た。』

これは仮装責任者時代の僕のことや、今三軍で出ていない自分の4年後の未来を表しているようで、
漠然と不安になる。


皆さんは、「努力は必ず報われる」と思うだろうか?

僕は体育祭の経験からそうは思わない。
本気でやったけど優勝出来なかったからだ。
「運が良ければ報われる」と思う。

じゃあ、運に左右されずに夢を叶えるなら
どうすればいいか?

論破王で有名なひろゆきさんは自身の著書でこう話している。

「努力で解決しよう」「頑張ればなんとかなるかも」と考えている人は、つねに両手が塞がっていてチャンスを取り逃がす。
「片手はつねに空けておけ」
これが本エピソードで1番伝えたいことだ。
(中略)
サッカー選手の本田圭佑さんは、こう言っている。
「みんなシュートの練習ばかりする。けれど、そのシュートにつなげるために、敵を抜いたり、いい位置にボールを持って行くことのほうが重要だ。それができて初めて、シュートを練習する意味がある。」
チャンスを掴む話と似ている。チャンスを掴む練習より、いつでも掴める状態にしておくことのほうが重要なのだ。

ひろゆき「1%の努力」より引用。
これ以外にもかなり参考になる内容ばかりなのでぜひ
買って読んでみてください。

僕はハッとした。
確かに僕は体育祭でめちゃくちゃ頑張っていた。本気でやっていた。
だからこそ視野が狭くなって、衣装や道具について工夫したり、そうやって考えたりする余裕がなかった。(伏線回収)

「本気で殴り合えば多分お前のほうが強い。
 だがお前は俺には勝てない。
 なーんでだ?
 お前には遊び心が無い。心の余裕が無い。
 張り詰めた糸はすぐ切れる、そういう事だ。」

『仮面ライダーキバ』28話紅音也のセリフより引用。

努力は最大限しながら、「今やってる努力は正しいのか?もっとやれる事はあるんじゃないか?」
と常に問い掛けれるくらいの心の余裕を持つこと。

これが、運に左右されず夢を叶えるやり方だと思う。
そのやり方が正しいと証明する為に、
今後も精進していこうと思う。


おまけ

今年の体育祭は、当時2年生だった後輩達が中心となって頑張ってくれました!
みんなの青春が込められた7分間は素晴らしいものでした。当時怪我をしていたから、みんなの仮装を見て凄く元気を貰いました!
随分前だけどみんな本当にお疲れ様!

(怪我についてはこちらの記事を見てもらえると詳しくわかると思います。)

後もしこれを読んでいて、
これからAブロックの仮装に関わる人へ。

多分僕の分厚い引き継ぎ書があると思います。
これは「仮装で優勝する為に」大事だと思った事が全て書かれている書です。
まあゆうても優勝出来なかったし、間違ったことも書いてると思うから、軽い気持ちで読んで、参考にできるところだけ参考にしてください笑

これから体育祭に関わる人はとにかく楽しんで
頑張ってね!応援してます!

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