わたしがRizのコラムを書く時に気を付けていること
Rizでは不登校で悩むお子さんや保護者の方のため、日々コラムを配信しています。センシティブなテーマが多いし、メッセージの伝え方によっては読者を深く傷つけることもできてしまいます。
書く時に気を付けていることについて、まとめてみます。
1. 親子で一緒に読める内容にする
Rizは、お子さんの味方にも保護者の方の味方にもなると決めています。だから親御さん向けの記事だからといってお子さんに見せられないことは書かないし、その逆も然り。
保護者の方が我慢していることやお子さんが封じ込めている感情でも、Rizを介せば伝えることができるのではないかなと思っています。というか、伝えなければいけない。
フリースクールはお子さんの味方であり、保護者の方の味方であり、そして学校や世間の方の味方でもあります。だからこそ、コラムは誰が読んでも傷つかず、誰が読んでも伝わる内容にしたいと思っています。
2. 子どもの感情を絞らない
例えば「学校に行けない日々が続いて、つらいですよね」というような表現。一見、子どもへの理解を示していて良いのですけど、わたしはRizのコラムでは使いません。
安易に感情や言葉を絞り込んでしまうと、その表現に引っ張られそうな気がするんです。「つらいよね」って言われると、なんだかつらい気がしてくる。元々はそんなこと思っていなかったのに。
実際わたしは不登校の期間ずっと悩んでいたわけではないし、むしろ学校に行かなくて済むことにホッとしていました。
同じ状況でも、人によって抱く感情は違います。絞ったほうがより伝わりやすい、響きやすい言葉になるのかもしれないけれど、それでもわたしは、「学校に行かないことで安堵している子」の存在を忘れずにいたいのです。
3. Rizの理念を絶対に守る
Rizには、「子どもが自分で選べる社会をつくる」という理念があります。行動の指針は常に「この理念に沿うかどうか」であり、コラムも変わりません。
言ってしまえば、「SEO対策としては有利だけど、子どもたちに届けたいメッセージじゃないよね」と思ったものは掲載しません。
わたしたちの言葉のすべては、子どものために存在しなくてはいけないと考えています。テーマや選ぶ言葉は違くとも、いつも目指している未来は一緒なのです。
4. 「安心」と「安全」を何より大切にする
お子さんはもちろん、保護者の方も安心でき、そして安全に過ごせる環境を守ると決めています。
だから不安を煽ったり、何かを追い詰めたりするようなメッセージは選ばないし、出典が不明瞭なデータは用いません。
分かりやすい言葉や数字は、簡単に人の心を動かします。良いほうへも、悪いほうへも。多くの人の注目を集めやすいのかもしれませんが、「広く届ける」ことよりも「正しく届ける」ことを大切にしたいと考えています。
5. 丁寧に書く
Rizは中高生向けのフリースクールですが、サイトを見る人の中には小学生の子もいます。それぞれのバックグラウンドは様々で、すべての人に当てはまる「当たり前」や「常識」はありません。
だから、とにかく丁寧に書いています。難しい言葉を使わないように、親しみやすい文体になるように、具体的にどうすればいいかを理解できるように。丁寧に丁寧に、言葉を紡ぎます。
また、例えば「両親」「親御さん」などの言葉は使いません。両親共に揃っているとは限らないし、祖父母や親せきの方と暮らしている子、里親の家庭や保護施設で生活している子もいるからです。
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どれだけ気を付けていても、やはり傷つけてしまう瞬間はあります。そのリスクを負う覚悟は必要。わたしも常に「この言葉は誰かを傷つけるかもしれない。それでも今、わたしが、この場で伝えなくてはならない」と思いながら書いています。
けれども、最大限の配慮をすることで、その傷を避けたり浅くしたりすることはできるはず。
だからこれからも、覚悟しつつ配慮しつつ、どこかで膝を抱えて苦しんでいる誰かのために、発信をし続けたいと思っています。