【メタ勉04】メタバースのビジネスモデルとマネタイズ
執筆日 2022/5/14
企業においてメタバースを新規事業として取り組む際に最も難しいポイントである「ビジネスモデルとマネタイズ」にフォーカスして考察を進めます。
大前提として【メタ勉03】において「メタバースはネットビジネスである」という方向性の確認をしましたがマネタイズも現行の2Dインターネットと同様となります。言い換えるならば「来るべき3Dインターネット時代のビジネスモデルを考える」という視点で参考にして頂ければと思います。
以下が現行のネットビジネスの5大マネタイズ方法を整理します。
この事に加えて新しいテクノロジーが出てくる際、常に問われるのが、そのテクノロジーでなければ意味がない、つまり必然性のあるサービス内容やマネタイズ方法が必要になってきます。
例えば、メタバースの場合3D空間を必要とする事からサーバートラフィック負担が大きく、訪問者の受け入れに上限を設定します。となると現行の2Dインターネットのように大量にサーバーでトラフィックを捌くということができず、現行の概念のネット広告の定義は当てはまりません。ここポイントです。
また、物品販売を行なう場合においてもAmazonや楽天でクリック一つで購入できるものをわざわざ3D空間でアバターを動かして購入する必要はなく、向いていないといえるでしょう。
このように「3D空間の必然性」「アバターでのコミュニケーション」という二大特性を踏まえたサービスとマネタイズ方法が必要になるという点を考慮する必要があります。
では前述の
<ネットビジネスの5大マネタイズ方法>の
メタバース版を考察していきたいと思います。
広告促販
→大前提として、2Dデータが3Dデータになるという事はデータ量が10倍〜20倍になるという特性を踏まえる必要があります。この事は通信量に加えて、サーバーでの処理とコストの問題でもあります。
多くのメタバースは1台のサーバーでの人数制限の概念を持っています。Meta社の提供するHORIZON Venuesでも1つのワールドを構成するサーバーで許容している人数は大体50人くらいなのではないかと推測しています。*これは個人的観測です。
つまり現行の2Dインターネットは数を捌く事で広告ビジネスを成立させてきましたが、3Dインターネットは量より質を深める方法に行かざるを得ないという事です。
また2Dインターネットはデジタル広告というリアルとは違った新しい広告料金体系が採用されていますが、トラフィックを大量に捌くことができないという特性上、メタバースはよりリアルに近づいていく様な、リアルとデジタルの中間のような料金体系が形成されると思います。
3D空間に存在する屋外広告や壁にクライアントを付ける場合はリアルの料金体系が参考になるケースもあると思います。
ここでキーワードとして浮上しているのが「プロダクトプレースメント型広告」です。3D空間上に置かれるモノ、例えば車や自動販売機、テレビなどの家電、お酒やお菓子といった空間を飾るモノに実際のスポンサーを付けるモデルです。
例えば、日産はメタバースの中で乗車できる、EV車と全く同じデザインのデジタルカーを作成・販売することを計画しているそうです。
アフィリエイト
→3Dサービスの立ち上げコストと前述の3Dサービスの運営にサーバーコストが大きくかかるという特性上、成果報酬型は最も難しい領域ですね。ただ、メタバースの特性として、ワールドでの滞在時間が長くなると想定されており、今まで以上のユーザーデータが取れる可能性があり、何かこの部分に新しいマネタイズ方法が生まれる余地もあると思います。
コマースEC物品販売
→前述の通り、目的買いの商材はAmazonで十分で、わざわざメタバースで売る必然がないので向いていません。メタバースで売る必然となるコマースのキーワードは以下となります。
・タイプA=3D空間上で見ることができる。
→3D化された販売物を360度観点で眺めたり、さわったり、動かしたりする事で商品理解が進む商材。
・タイプB=アバターでの会話を必要とする。
→アバターに扮した店員とユーザーが相談や交流をする事で問題解決ができる商材。わかりづらい専門的な客単価の高い商材なんか向いてますね。
・タイプC=物質が介在しない「デジタルデータの販売領域」。写真やアート、アバター用のアクセサリーや服の販売などがこの領域に入りますね。
サービス課金
→最も相性の良いマネタイズ領域です。「占い」「コーチング」「英会話などの語学教育」「コンサル」「レッスン」などはアバター交流だけで成立するので向いています。特に女性向けは「顔出し」の準備や手間がなくなるので参加ハードルを下げる機能も有します。
→今後の主要コンテンツとなるワールド課金(*独自に作られた3D空間)へのチャージや入場料、体験料といったマネタイズが新しい方法として生まれます。
・従来と同様にフリーミアムサービス型がで必要な時に課金したり、月額課金メンバーだけが体験できるサービス、そして「投げ銭」といった支払い方法も相性が良いと考えられます。
以上、ざっと考えつくマネタイズ方法を整理してみました。ポイントはプラットフォームとの相性になってくると思います。アイデアがあったとしてもプラットフォーム自体がマネタイズの機能を有していないとこれらのアイデアも実現できません。
現時点ではVRchatにしてもClusterにしても決済機能は搭載していないですし、企業がこれらのプラットフォームでワールド開設するにも結構なコストがかかります。
同時に【メタ勉02】で解説した対象デバイスとマネタイズのマップのどこを狙うかによっても実現できる機能や手間が変わってきます。独自のビジネスアイデアを実施するにはゼロベースでメタバースを立ち上げるしかありませんが、オープンソース型プラットフォームのhubsなどを活用する事で独自の3D世界を作ることも可能です。
ポイントは「メタバースを作る」ということと「新規事業を作る」という事は別レイヤーの話であるという点です。
あくまでも優先順位は現状のマーケティング課題であり事業課題です。いきなり「メタバースを作る」ことを大前提にせずにまずは現在のビジネス課題を整理することが重要です。
その上で「メタバース=3Dソーシャルネットワーク」が課題解決の糸口になるのか!?という点を考察するところから始めましょう。
ではでは
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