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「育ちの良さ」の付け焼刃

 「育ちの良い」ふるまいをしています。
  
 食事のマナーが悪い人を反面教師に、
人前では食事マナーに気を遣っています。

 陰口や愚痴をためらいなく漏らす人を反面教師に、
なるべくフラットな目線で「都合」や「事情」を考えているふりをして発言しています。

 店員さんへの態度が悪い人を反面教師に、
店員さんには、笑顔と腰の低さを以て接するようにしています。

 飲食店で騒ぐ人達を反面教師に、
他のお客さんの迷惑にならない声量で会話するようにしています。
 

 私は、思うわけです。
 本当に育ちが良い人というのは、こんなこと意識しないんだろうなぁと。
 赤の他人を反面教師にし、人目ばかりを気にして、俗に「育ちが良い」とされる行動ばかりを意識的に取っている自分こそ、
いちばん「育ちの悪い」人間なのではないかと。


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