見出し画像

必要なのは「引っ張り合う」組織_仮説の手前 29

鈴木敏夫さんの『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』を再読しました。内容はジブリ映画が好きな人ならあの作品の裏側がわかって嬉しいですし、クリエイターなら(もしくはクリエイティブな仕事に携わる方なら)おそらく胃が痛くなるような内容かと思います。

宮崎駿、高畑勲という、稀代の天才をしても、世の中に作品を出すプロセスの中には立ち止まったり、時にあらぬ方に作品が走ってしまう。その様子がプロデュサーの鈴木さんの目を通して切り取られています。

クリエイティブを突き詰める人だからこそ、時に深く狭く入り込んで視界が狭まることはあると思います。だから「引き戻す」存在が必要で、それは書き手と編集者の関係を見てもわかることです。本書の鈴木さんはまさに「引き戻す」役割(時に後押しする役割)で、あの名作やこのヒット作も鈴木さんの引いた視点による「引き戻し」が功を奏していることがわかります。

これはおそらく、クリエイティブな仕事のみならず、基本的にはどんな仕事においても、いい意味で「引っ張り合う」関係が築かれた組織というのは、それが健全に対等である以上、うまく機能していると思います。この健全に対等というのが難しい。往々にして上下の関係ができてしまったり、片方の立場が封殺されたり、と組織内のパワーバランスが崩れがちです。

引っ張り合うのは1:1のこともあれば、複数の立場が引っ張り合うこともあると思います。前職でwebメディアビジネスをしていた時には、4つの立場で引っ張り合うことを提唱していました。

ここから先は

1,507字
確たる根拠はないけれど「そうかもしれない」と思うことは、日々の生活や仕事の中で結構あると思うんです。普段は通り過ぎてしまうそういう感覚が後々顔を出してはヒントを与えてくれることも。正解やノウハウばかりが並ぶSNSでは発言することに気が引けてしまう「なんとなく」を月に2回を目処に書き残していきます。読んだ方々にとって、日常の「小さな兆し」に気づくきっかけになれれば。

仮説の手前

¥300 / 月 初月無料

ありがとうございます。 サポートって言葉、良いですね。応援でもあって救済でもある。いただいたサポートは、誰かを引き立てたたり護ったりすることにつながるモノ・コトに費やしていきます。そしてまたnoteでそのことについて書いていければと。