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快適の定義と提示③         ーー 環境測定が大事 ーー

前回までのダイジェスト。
人間は温湿度に対する許容域が広い事がむしろ仇となり、個々人の「快適域」がある。実際に、温湿度、着衣、運動量等6個の要素を細かくパラメータ化して人間の感じる快適感を定量評価したPMV、PPD。これを活用したISOの快適の定義は「90%の人間が快適とする環境を快適とする(つまり10%の人間は快適じゃないかも。)」としている。
だので、そもそも「私たちの考える快適ってこうですよ。私たちの建てた住宅の快適の実績はこんな感じです。」という定義と提示が必要になるのだ。(文体変えた。こっちが書きやすいので以後こうするかと。)

「快適ってなに?」

こういう議論は単語を変えれば散見される。
「幸せってなに?」
「あなたにとっての幸せって?」とか、
筋肉注射でギャンギャン泣き出す同級生をみて、そんなもん痛いうちにはいらないだろ、と思ったりとか。(でも、タンスの角に足の小指を打って悶絶する痛みは万人の共感を得たりする。)
幸せ、痛み、美味さ、美醜評価などは相対的なのだ。
お金じゃ変えない幸せがあることはクレヨンしんちゃんでも語られそうなテーマだし、筋肉注射は相対的な痛みで足の小指は絶対的に痛い。
「快適」もその類、取扱注意案件なのだ。

空調を請けるということ

工務店は今まで安易に「新しい家は快適ですよ」と語り得る立ち位置にいたのだ。何故なら、空調(冷暖房・換気)を請けてこなかったから。
※換気は請けてきたと思うが、「排気」のみで、積極的に快適に寄与する設備とは言えなかった。

工務店は建物外皮の性能を上げることにはこだわり努力をしてきた。しかし、それだけでは「快適」にならない事が自明になっている。建物外皮はパッシブな要素であり、冷暖房・換気を駆使しアクティブに働きかけることにより「快適」が実現される。しかし、その最終的、且つ能動的に「快適」にする機器は「家電量販店さんでご購入ください。」としてきた。よって、快適にするための責任主体が分散した。

しかし、空調も請けて「快適ですよ。」と語り、デザイン、間取り等と等価で「なるほど、快適が3000万円の請負金額に入ってるわけですね。」とお施主様が了解した瞬間、「快適」の意味が弥増したのだ。

デザイン打合せ

そもそも、デザインについては工務店は細心の注意を払って打合せをしているはずだ。

色見本で打合せ

例えば、お施主様が「青いタイルを使いたい」と要望したとする。
どんな青なのか、群青色?ターコイズ?艶は?素材感は?など、細かく確認をするだろうし、曖昧ならサンプルを取り寄せて事前に確認をするはずだ。「青いタイルの定義」を図っているのだ。

本来「快適」も同様だ。
十人十色のお施主様の快適に委ねず、「私たち工務店が考える快適はこれです。」とその定義をしなくてはいけない。
どのように定義をするのか?
一番良いのは過去の物件の環境測定データを開示することだ。

環境測定例

室温、表面温度、相対/絶対湿度、日射熱量、CO2,消費電力等を計測し、それをマニフェストとして開示する。そうすることによって、
「私たちの過去の物件から言っても、外気が0℃ぐらいになる時でも各居室は一日を通して22℃ぐらいで安定しています。また、温度差は最大1.5℃ぐらいです。逆に言うと温度差は出るのでご理解ください。」
などの事実に基づいた語りが成立する。
それをうけて「1.5℃の温度差はどれぐらいですか?」とか「冬は過乾燥になるのですか?」などの更問いが生まれ、お施主様側に空調に対する理解と、限界の知識が深まる。
これは大事だ。
例えば「1.5℃の温度差は耐えられない。」とお施主様がつぶやいたとする。そして、空調側はそれに応える用意はある。つまり、VAVやVRVといった可変風量、可変冷媒システムで温度差を縮めることはもちろん、温度差を作ることもできる。(ご察しの通り、もちろんイニシャルコストは増大するが。)
マニフェストを示したことにより、お施主様から新たな疑問が出て、その疑問に対して、コストと効果の関係で最終的な空調仕様が決まっていく。つまり、先ほどの「青いタイル」の例えや、キッチン設備等を決めるプロセスと一緒だ。

デザインの打合せでは工務店はお施主様との間に誤解が生まれないような打合せを進めてきた。デザインやキッチン設備の打合せは今まで長い時間をかけて、工務店は行ってきたので、そのノウハウはある。しかし、空調を請けた歴史は浅い。よって、これからそのノウハウは蓄積されていく。空調を請け、より積極的に、アクティブに「快適」をお施主様に提供し、3000万円の請負金額に含ませる。で、あれば必ず環境測定を行いマニフェストとして快適の定義と提示を行い、お施主様に等身大の「快適」を理解してもらう。それによって、「心地よい住まいだ、家族も満足です。工務店さん、ありがとうございます!」そう言ってもらえるようになってほしい。

どうやって環境測定?

以上で、3回に渡って記してきた「快適の定義と提示」について終わらせていただくが、じゃあ、環境測定ってどうやってやるの?と思われたかと。
私はいままで、夏・冬ごとに環境測定を行ってきた。だので、そういった事にお困りであれば是非一度ご一報ください。ご相談にのります。
※なお、私の営業範囲は主に東海地方なので、それ以外の地域に関しては対応できない可能性があることを予めお伝えします。

連絡先 ㈱simsim問い合わせメール info@simsim-hevac.com

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