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温故知新OMソーラー

現在の家作りに求められる「快適・省エネ」についての技術的ポイントを
工務店側の視点でご紹介。


そんなこんなで先日OMソーラーさんにお仲間の工務店・設計さんと訪問した。
私もお付き合いは10年以上になる。
特にパッシブエアコンというダクト式空調を100棟以上、設計・施工で携わってきた。

これはAC能力が4.0kwと5.6kwの2種類。
断熱等級6以上の性能(ηAC=1.0ぐらいとする。また延床35坪以下とする。)の住宅だと、住宅全体で4.0kwぐらいの冷房能力があれば、十分冷やすことができる。ただ、ダクト式ACはこの4.0kwのジャンルが「帯に短し、タスキに長し」となる。
例えば、ダイキンのパッケージエアコン「スカイエア」でダクト式空調を組む場合、一番小さいサイズで5.0kwとなり、やや能力をもてあます。

で、おなじダイキンのハウジングエアコン、アメニティビルトインなら
4.0kwの能力があるのでよい。

で、一般的に4.0kwの能力だと風量が700m3/hとなる。
で、このアメニティ4,0も風量はおよそ700m3/h。
と、なるとダクトや吹出口などの圧力損失も加味した実効風量で設計すると
35坪の住宅に対してやや「風量不足」となる。
「能力は足りるけど、風量不足」
この感覚はダクト式空調をやってないとわからないかもしれない。
「勝負に勝って、試合に負けた。」的なやつ。

そしてパッシブエアコン。
こちらは4.0kwで900m3/h。
よい風量。勝負にも試合にも勝てそうな気がする。

さらに大きな特長がある。
それは系統が3つあること。
系統?
ダクト式エアコンは吹出側で複数のダクトが接続できるようになっている。

ダイキン・アメニティビルトインの吹出口

例えば、アメニティビルトインの吹出口はφ150のダクトを3本接続できるようになっている。そして、それぞれのダクトがそれぞれの部屋・空間を冷却・加熱するが、その全ては個別では動かない。「今から右端のダクトルートだけ風量を大きくしよう。」とか「真ん中だけ設定温度を変えたい。」ができない。つまり、「系統が1つ」しかない。
これを一般的にCAVという。
※アメニティはφ150×3の他にφ125×4、φ200×2の接続も可能だがすべてCAV。

対して、パッシブエアコンは吹出側に3本のダクトを接続する点は一緒だがそれぞれのダクトごとに風量調整、温度調整が可能だ。
つまり3系統。

https://passivaircon.com/

で、通常パッシブエアコンは1系統を2F(個室)に。1系統を1F(LDK)に。そして、残りの1系統を床下にもっていく。
これも大きな特長。
床下にもっていった系統は、冬、1Fの床をほんのりと温めてくれる。
床下エアコンのように。これがとても快適。
創業以来、基礎内(床下)に太陽熱由来の温風を送り続けたOMソーラーらしい発想なのだ。まさに温故知新。
ま、太陽熱由来ならパッシブだけど、実際は電気代を払って得た熱に由来するので、アクティブ。でも名前はパッシブエアコン。
アンビバレント、分裂症的。
アクティブにしてパッシブ、禅問答的。

は!さらっとパッシブエアコンに言及するつもりだったが、殊の外、紙数を使ってしまった。
それだけ特長的だということ。
念のためお伝えすると、私はパッシブエアコンをはじめ、アメニティビルトイン、パッケージエアコン、デンソーVAVなど、いろんなシステムを物件に合わせて提案してきたので、パッシブエアコンを殊更に推しているわけではない。繰り返すが特長的だ、ということです。

で、OMソーラー。
その社屋は何度言っても素晴らしい。
永田昌民さんの設計。
広い敷地内には秋山東一さん設計のモデルハウスや
シンケンさんが設計したモデルハウスもある。

浜名湖を望みくつろぐ建築関係者

モデルハウスからは浜名湖が望める。
天気がよいと、日頃のささくれだった心が癒されて
無料で空調設計をしてあげたくなる。
(単なる例え)

その場で改めてOMソーラーさんの原点、屋根集熱システムを眺めた。
シンプルでまさにパッシブ。
効果も実証済みでよいシステムだなと思う。
その場にいた仲間と一緒に「やはりいいな。」とうなった。

https://omsolar.jp/technology/floor.php

OMソーラーが誕生したころと比べると、建物性能はとてつもなく向上している。よって、今にあったOMソーラー2.0があり得るよな、と思う。
まさに温故知新。
故きを温ねて新しきを知る、の精神でどんな空調システムがあり得るのか
考えていきたいと思う。



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