【論文レビュー】異動による組織再社会化はどのように捉えられるのか?:町支(2022)
本論文では、教員にとっての異動に伴う組織再社会化についてレビューされています。とはいえ、教員を対象とした組織再社会化に関する先行研究はないとして、それ以外の職種での組織社会化や組織再社会化をレビューしてくださっているので、組織(再)社会化に関心のある方にとってはありがたい論文と言えそうです。
4つの組織社会化
広義の組織社会化にはいくつかの概念が混在しているとして、著者は、学校教員の異動というイシューに関連して4つの組織社会化を以下のように区別しています。
箇条書きでまとめるとこのようになります。
入職前に行われる社会化は予期的社会化
入職後に行われる社会化は期間によって分かれ、短期的には(狭義の)組織社会化、長期的には職業的社会化
入職した後の異動後に行われるのが組織再社会化
各概念の定義を細かく理解することが重要ということではなく、それぞれの相違がどこにあるのかを把握することが重要です。というのも、同じような言葉を使っていても話し手によってどこに焦点を当てているかは似て非なるケースがあります。そのため、それぞれの概念がどのように異なるのかを把握し、その言葉を使っている人がどこに興味・関心があるのかを類推することが大事になってくるわけです。
組織再社会化の特徴
著者は組織社会化の中でも組織再社会化に焦点を当てて本論文を書いています。つまり、教員が初職についた後に訪れる異動においてどのように組織再社会化がなされるのかに関心があると言えます。
まず、組織再社会化の特徴として組織社会化のそれと同様のものとして、①学習、②成員性の獲得、③他者との相互作用、という3つを挙げています。その上で、教員による組織再社会化に着目した先行研究がないことを述べた上で、教員以外の組織再社会化で何が特徴として出ているのかを検討しています。
アンラーニングが重要
組織社会化と比べて組織再社会化において重要なこととしてアンラーニングが挙げられています。著者も引用しているように、この辺りの話は中原先生の『経営学習論』に詳しいので、深く理解したい方はお読みいただくと良いでしょう。