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「バーチャル蠱毒」と私の変遷。

これは、「バーチャル蠱毒」における私の記録です。そんな柄でもないと思っていた私が、限界オタクに変遷するまでの。

Twitterに散発的に残してきた内容と一部重複しますが、感情が鮮明なうちにひとまとめにして書き残しておくことにしました。

※この記事を読みに来てくださる方は、恐らくバーチャル蠱毒が何なのか既にご存知だと思うので、説明は割愛します(ただでさえ記事が長いので)。もしご存知ない方でも、バーチャル蠱毒で検索をすれば、分かりやすいまとめ記事がいくつも見つかります。

※個々のオーディション参加者を示す場合にはその愛称で、キャラクターそのものを示す場合にはそのキャラ名称のみで表記します。


■スタートダッシュ期間

Vtuberを熱心に追っていたこともある私がバーチャル蠱毒を知ったのは、こんな話をTwitterのTLで見かけるようになった頃でした。

当初の私はただの傍観者で、誰かの配信を見るまでにすら至っていません。

TLに出てくる話を元に、自分でもバーチャル蠱毒の情報を多少追ってはいましたが、「いやーこれはなかなかしんどい企画だなー。単なる公開オーディションのはずが、こうも見え方で変わるんだなー」と思いながら眺めているだけでした。

オーディション参加者の一人である林5様(九条林檎 No.5)が、バーチャル蠱毒の傍観者を沼に引きずり込んで、当事者に仕立て上げ始めたのもこの頃です。

ただ、私はバーチャル蠱毒のことを呟いたりはしていなかったので、直接遭遇することはありませんでした。

※この頃にバーチャル蠱毒について何か呟いていたら、もしかしたら私は生粋のディナー(林5様の夕食候補の総称)になっていたかもしれません。


■予選前期

傍観者だった私が視聴者にステップアップしたのが、この時期です。

最初に私の興味を引いたのが、遅れてきたラスボス、魔王と呼ばれていた富次郎(雨ヶ崎笑虹 No.12)でした。

富次郎はスタートダッシュ期間中に機材トラブルに見舞われたため、本格的に活動を開始したのは予選からでした。にも関わらず、その持ち前のトーク力で一気に注目を集めたらしいのです。

というか、そもそもなぜ愛称が富次郎なのか。

私は富次郎の配信を見に行きました。

そして「この子は面白くて楽しくて元気な子だな」という印象を持ちました。どんどん面白い話題が飛び出してくるマシンガントークだが、それでいて聞き取りやすい。ところどころで出てくる可愛い笑い声や照れ声。

私は富次郎のTwitterアカウントをフォローして、ニコ動やYoutubeに上がっていたアーカイブも一通り試聴しました。

そして「他にもこんな魅力的な子がいるのかな、何人か他の配信も見てみようかな」と考えました。実際に見てみると、どの子にもその子ならではの個性や戦い方、そして魅力がありました。

結果として、私は他にも何人かのTwitterアカウントをフォローして、配信を見るようになりました。

※もちろん、60人に及ぶオーディション参加者全てを追うことは物理的にできません。シビアな言い方をすれば、たまたま目についた子の配信をちょいちょい掻い摘んで見ていたということです。


この時点では、私は匿名のゲストアカウントで配信を見ていました。

Showroomで行われるこのオーディションは、主に有償無償のギフトなどで得られるポイントの総計で競います。匿名のゲストアカウントでは、このポイントへの寄与はできません。

そして積極的に寄与するつもりも、あまりありませんでした。

バーチャル蠱毒で生き残るのは、各キャラ12~13人のオーディション参加者のうち、たった1人ずつの勝者だけです。勝者以外を本気で推していた場合のショックの大きさは、想像に難くありません。

なので、私は特定の誰かに入れ込むことはしないようにしていました。


■予選後期

誰かに入れ込まないなりに、何か形に残るもので彼女達の応援をできないかと考え、予選が終了する前にこんなドット絵を描きました。

オーディション参加者の個々の愛称は出していません。見る人によって、それが誰であるかを自由に決められるようにしたかったからです。


誰かに入れ込んでいるつもりはありませんでしたが、思い返してみれば、富次郎の配信を一番よく見ていました。理由はシンプルで、私にとって、とても楽しくて、とても元気になれる配信だったからだと思います。

当時富次郎は、雨ヶ崎笑虹の中で2位の位置につけていました。予選での当確順位は5位のため、予選突破はまず間違いありません。また、3位との差もかなりあったため、このまま2位で予選通過するだろうと思っていました。

実際には、そうはならなかったのです

予選終了直前の追い上げにより、富次郎は3位に転落していました。予選は通過できていますが、もし当確順位2位の本選で同じことが起きれば、彼女は本選を勝ち抜けないかもしれません。

バーチャル蠱毒の恐ろしさの片鱗を垣間見たところで、存外に自分がショックを受けているのだと自覚しました。私は既に、富次郎に入れ込んでいたのです。

そして、大分前に見かけた、ある言葉が朧げに思い出されました。

原文を探してこれなかったので正確ではないですが、確か「お前が推しの娘を応援しなければ、その娘は消えてしまうかもしれないぞ」みたいな内容だったと記憶しています。

もちろん勝負事であれば、全力を尽くしても負けることはあるでしょう。しかし、もし全力を尽くさずに負ければ、そこには後悔しか残りません。

もしこの先、富次郎が本選で負けたとして、何もしてこなかった自分を後悔したりしないだろうか?

自問自答の末、富次郎を本気で応援していくことに決めました。

ここに来てようやっと、私はバーチャル蠱毒の当事者になったのです。


■インターバル

予選と本選の間にあるこのインターバルは、私にとっては丁度よい準備期間でした。

Twitter連携でShowroomのアカウントを作り、無償ギフトの効率的な稼ぎ方を調べ、有償ギフトの入手に必要なSGの購入準備を整えました。


■本選前期

早速私は、富次郎の配信でギフトを投下するようにしました。

Showroomの特徴として、有償ギフトの投下は、誰が何をどれだけ投げたか、とても分かりやすい表示になっています。

私の投げた有償ギフトが、推しの富次郎に気付いてもらえる。その上、推しの富次郎に名前を呼ばれてお礼を言われる。

実際にお礼を言われてみると、それはめちゃくちゃ嬉しいものでした。

※荒んだ現代社会に生きていると、誰かにお礼を言われる機会はそんなに多くない。そんな私のような人は結構いるのではないでしょうか……。

ただ、この時点ではコメントチャットには参加していませんでした。富次郎の配信ならではの定型文(「バッファロー!」「フリーメーソン」など)にも全然参加していなかったはずです。

タイミングを計りつつ、ギフトの投下を、黙々と続けました。


また、富次郎が企画した12時間連続配信に合わせて、支援のドット絵を描いたりもしました。


■本選中期

この頃になると、予選敗退者が新しいアカウントを作ったり(いわゆる「転生」)、元の個人アカウントに戻ったりして、活動を開始していました。

敗退したからといって跡形もなく消滅するわけでもなく、ファンは敗退した子達に付いたままで、集約と煮詰まりが起きない。もはや蠱毒が蠱毒の体を為さなくなっていたのです。

仮にオーディションに敗退したとしても、富次郎が望めば何らかの活動手段はあるでしょう。

そういった複雑な要因はありますが、それでも富次郎が雨ヶ崎笑虹を目指している以上、それをできる限り応援するというつもりでいました。


競い合いのバーチャル蠱毒の中であっても、友情が育まれることが多々あります。富次郎の場合であれば、トュエル様(九条林檎 No.12)の話は外せないでしょう。

トュエル様は残念ながら予選を突破できませんでしたが、本選開始後もまれに富次郎の配信に遊びに来てくれていました。配信にトュエル様が現れると「尊い」「キマシタワー」などの歓声が上がります。

そして、「キマシタワー」に続いて実際にタワー(1本10,000SGの、Showroomで最も単価が高い有償ギフト)が立つこともありました。

私も1本だけタワーを立てたことがあります。確かその時に初めて「キマシタワー記念」というコメントチャットを打ちました。

ただ、この流れでタワーが立つと、ノリと勢いで有償ギフトの乱舞が起きてしまいがちです。多額の有償ギフトをあまり好まない富次郎のためにトュエル様が遊びに来るのを抑えていたという話もあり、そこは申し訳なかったと思います。

ともあれ、これ以降私はコメントチャットも少しずつ打つようになり、より本格的にバーチャル蠱毒に関わるようになっていったのです。


■本選後期

本選最終日、富次郎は雨ヶ崎笑虹の中で2位をキープしていました。1位とは僅差、3位とは予選終盤の頃よりも大差がついています。


ところで、富次郎は元々「三戒」なるものを掲げて活動していました。

多額の有償ギフトをあまり好まないというのも、富次郎がお金の大切さを身に染みて知っていて、リスナーに無理をさせたくないという想いが特に強いからなのです。

その富次郎が、本選最終日の配信で、ある約束と確約をしました。

それは「今日は一人二万円以上の課金は禁止。もし見つけたら、私は負けたとしても転生しません」というものでした。

後に富次郎自身も言っていましたが、まずお金を使ってでも悪意を実現したい人がいたらアウトです。悪意に遭わず、リスナー全員がその約束を守ったとしても、3位以下からの猛烈な追い上げによる逆転負けがあり得ます。

1リスナーでしかない私でさえ緊迫していたので、当人である富次郎のプレッシャーは相当のものだったでしょう。

ともあれ、その制限に引っかからない範囲のSGが残っていたので、私としては制限超過の心配はありません。チャットコメントで場に参加しつつ、小分けにしてギフトを投げ続けました。

富次郎は当確の2位通過で、最終審査に進出できました。富次郎との約束を破る者は、最後まで現れませんでした。

ここから先は企業との面接です。リスナーは関与することはできず、結果を待つのみとなります。

※最初期は面接の結果は公表されない予定でしたが、その後公表されることに変更されています。


■最終審査前

間もなくバーチャル蠱毒の全てが終わるというこの時期に、参加者全員のこれまでの健闘を称える意味合いで、再びドット絵を描きました。

※個人的に、この絵はすごく良く描けたと思っています。


■最終審査

結論から先に申し上げると、雨ヶ崎笑虹に選ばれたのは、富次郎ではなくSnowちゃん(雨ヶ崎笑虹 No.6)でした。

Snowちゃんは殆どの期間において雨ヶ崎笑虹の1位を死守していた子で、その努力と実力は間違いなく本物です。富次郎推しの私から見ても、納得のいく結果ではありました。

(一抹の希望は捨ててはいなかったので、もちろん悔しいと思う一面もありました)

結果が出た夜、富次郎は配信を行いました。富次郎は富次郎として面接に臨んだことの報告、リスナーへの感謝の言葉、思い出振り返りなどの後、富次郎は最後にこう言い放ちました。

これで終焉? 冗談じゃない

私の物語はここから始まる

ああ、富次郎は最高のエンターテイナーだ。そして今後も、富次郎は富次郎らしく活動を続けてくれる。本気で推していて本当に良かった。

心からそう思いました。


■最終審査後のひと騒動

最終審査後、いくつかの不穏な情報と、それを元にした憶測などが飛び交いました。このオーディションの参加者達の行く末が心配になる状況です。

同時に、自分の中の、ある変化にも気付かされました。

私はあまり他人に心を動かされる方ではないと思っていました。実際、ごく一部の親しい相手を除いて、他人にはあまり興味を持たずに上辺の付き合いだけで済ますことが多くありました。

そんな私が、本来であれば何の接点のない配信者でしかないはずの、彼女達の行く末を案じているのです。

特に最推しの富次郎に対しては、多くの人に元気を分け与えられるような仕事ができるようになってほしい、夢を実現してほしい、幸せになってほしいと、そう願っているのです。

文字通りの一喜一憂で、「ああ、私の心はこんなに動くものなのか」と驚かされました。こんな一面がまだ自分にはあったとは、想像だにしていませんでした。

限界オタクの限界とは、こういうことなのでしょうか。だとすれば、確かにこれは限界です。


そんなやきもきする状況の中、公式からあるイベントが告知されました。


■極after

極afrer……ではなく極afterは、オーディション予選通過者による後夜祭、という位置付けのイベント配信のようです。その上で、最後には重大発表を行うとのこと。

ファンの収束と煮詰まりが起きないこのシステムの欠点を考えれば、重大発表の内容はおおよそ予想は付きます。

そして遂に、極afterの開催日になりました。

彼女達はみんな、楽しそうにしていました。本当に楽しそうに。

その中には私が全然追えていなかった子達もいました。その子達もまた、個性的で魅力的でした。ああ、バーチャル蠱毒は何て勿体ないイベントだったんだ、と改めて思いました。

デスゲームなんて何のその。みんな強くて逞しかった。


なお、重大発表の内容は

大方の予想通り、オーディション敗退者の転生を公式に行う、というものでした。


■そしてこれから

今は色々と状況も落ち着いてきていて、あとは公式転生プロジェクトによって富次郎が本格的に活動再開するのを待つばかりです。

※新生富次郎の器のデザイン画が待ち遠しい……。

本来デスゲームのはずだったバーチャル蠱毒が終わり、その後の不安もある程度払しょくされたことで、自分の心境にも更なる変化が生じました。

今までは富次郎を応援するだけでほぼ手一杯だったのですが、ここに来て他の子達も応援できる心の余裕が生まれてきたのです。

最終審査で選ばれた子達、公式転生を待つ子達、それとは異なる道を選んだ子達。

もちろん人の興味は永遠には続かないものではあるし、全てに目が届くわけでもないけれど、何らかの形でまだまだ彼女達も応援していきたいなと、そう思っています。


……ただ、私の最推しはあくまで富次郎です!

三戒の精神を忘れずに、一日一日をしっかり過ごしていきながら、新生富次郎の再誕を心待ちにしています。

明日ももーっといい日にしようね、富次郎!

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