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ブレッドウィナー

本当、カートゥーン・サルーンの作品はすごいなと実感。そりゃ、欧米の映画賞レースを賑わせるよねと言った感じかな。

個人的には実写でもアニメでも男装ものは好きではないが、本作は気に入った。「ムーラン」も好きだが、通じるものがあるのかな。まぁ、どちらも軍事的な話だし。

宗教によって、男尊女卑の世界になっているのに、その宗教を女性も信じているというのはイスラム教だけの話ではなく、女人禁制の多い日本の仏教や神道の世界にも通じるし、キリスト教だって、女性の活動が100%認められているとは言い切れないしね。なぜ、それなのに女性の平等と信仰の自由を同時に訴えるのか、無神論者の自分には理解しがたいとも思った。

一番すごい演出だと思ったのは、父親が戦争で片脚を失っていることを分からせるシーンかな。最初は座っているから分からないんだけれど、イスラム的な掟に従って難癖つける連中に促され立つところで片脚がないことが分かるのは見事な描写の仕方だと感じた。これが、後の父親の無実の逮捕や、主人公たちが地雷地帯を歩くシーンにもつながるしね。

それから、お話を語る場面になると画が切り絵調になるのもよくできていると思う。そりゃ、賞レースで評価されるよね。社会性も、演出も、技術も見事だもんな。

とりあえず、「ブレッドウィナー」も見たし、年内公開の海外アニメーション映画で興味があるのは一通り見終えたかなって感じ。国産はまだ何本か見たいのが残っているが。それにしても、今年は本当、公開が遅れたものも含めて、海外アニメ映画の上映が多かった。そして、良作も多かった。

※追記 併映の短編「レイト・アフタヌーン」が泣ける!

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