無慈悲な光
去年、ピンク映画をR15+バージョンに修正した「眠れる森のミチコ」を見て以来、あべみかこというAV女優が気になる存在になっていた。
彼女が歌う“蜜柑”という楽曲のCDシングルを買ってしまうくらい、彼女に注目するようになってしまった…。あと、何本かAVも買ってしまった…。
まぁ、コロナは風邪論者みたいな感じの楽曲に参加した後に、彼女自身がコロナに感染した時には、“何やってんだ、こいつは?”って思ったけれどね。
そんな、注目の存在・あべみかこの「眠れる森のミチコ」以来となる映画作品となれば、チェックせずにはいられないと思い、本作を鑑賞することに決めた。
しかも、共演者の中には何本かAVを買ったことがある久留木玲もいる。そりゃ、見ずにはいられないよねというところかな…。
もっとも、本作は豪華AV女優共演作品ではあるが、ピンク映画ではないし、それどころかセクシー要素もないんだけれどね。まぁ、ち○ことかキスといった言葉は出てきたが…。
本作の元となった舞台は、“AV女優だって、きちんと演技ができる”ということをアピールすることを目的にしていたと言われている。
確かに世間一般的には、AV女優・男優のイメージは人前でエッチしているだけの人たちなのかもしれない。
でも、一昔前ならともかく、今はAVの撮影現場というのは人権が尊重されるようになっているらしく、ぶっちゃけ、アイドルのグラビアや写真集の現場の方が非人道的だという声もあるくらいだ。
そもそも、AVというのは、ただ、エッチをしているだけではなく、その作品やシーンごとにシチュエーションが用意されているわけだし、レイプのシーンだって実際にレイプ行為が行われているわけでもないし、女優と男優の性的な相性が悪くたって感じまくっているように見せなくてはならないんだから、そもそも、AV女優・男優に演技力は必要なんだよね。勿論、それ以上に精力や体力は必要だけれど。
なので、出演した8人のAV女優は、ヌードなしの本作でも、多少のバラつきはあるにせよ、皆、きちんとAV女優ではなく女優として演技を披露していたと思う。
特に、アルビノ体質でピュアな心を持つキャラクターを演じたあべみかこの演技は秀逸だった。さすが、ピンク映画ベストテンで主演女優賞を受賞しただけのことはある。
彼女は来年、AV女優を引退するそうだが、その後もピンク映画や一般映画での女優業は続けていって欲しいと思う。
ストーリーや世界観に関しては、AV女優に興味を持つ人だけでなく、ミニシアター系邦画好きな人やサブカル系の人にも見てもらえれば、もっと作品の良さが世間に広まるだろうなと思った。
というか、人権問題や家族の絆といったテーマも扱っているから、海外の映画賞や映画祭にだって参戦できる内容だと思う。
そして、結構、切なさでジーンと来るんだよね。後半はずっと、ウルウルしそうになっていた。
まぁ、回想・夢みたいなシーンとオチを除けば、ほとんど病院内の場面というのは、舞台発の作品って感じがするけれどね。
ただ、今回の特別上映を見に来た観客のほとんどは映画ファンではなくAV愛好家だから、普段、映画館で映画を見る習慣がないせいか、やたらと、上映中に携帯を点灯させているのが何人かいたのが気になったかな。
まぁ、AVの鑑賞は基本、“何かやりながら”の鑑賞だからね。自宅でオナニーしながらの鑑賞だったり、ラブホでイチャイチャしながらの鑑賞だったりするしね。特に自宅でオナニーしながらの鑑賞だと、ファスト映画ではないが、早送り鑑賞がデフォルトだから、そりゃ、AVばかり見ている人にはずっと、スクリーンを見ていなくてはならない映画館での鑑賞は苦痛かもしれないよね(既にDVDとかで鑑賞済みなだけかもしれないが…)。
ところで、今回は舞台挨拶つきの上映だったが、やっぱり、あべみかこは魅力的だよね。時々、久留木玲にも目移りしたけれど、それでも、ずっと、舞台上の彼女を追ってしまった…。
コロナは風邪論者でも、あべみかこだったら許せてしまえそうな気がするな。