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花束みたいな恋をした

「花束みたいな恋をした」、何か若干、タイトルは短いが、語感がテレビドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」っぽいよなと思ったが、脚本:坂元裕二、主演:有村架純というのは本作と同じ組み合わせだから、そりゃ似たタイトルになるよねって感じだろうか。まぁ、「いつ恋」のような暗い話ではないけれどね。

それから、有村架純に“セックス”というワードを言わせているのは中々、興味深いと思ったが、乳首どころか乳房も見せないから、全然、性的な部分を感じないんだよね。それは、不倫ものの「ナラタージュ」や教え子と恋に落ちるドラマ「中学聖日記」(そういえば途中までしか見ていない…)でもそうなんだけれどね。そろそろ、アイドル女優的ポジションから卒業した方がいいのではという気もする。乃木坂46のメンバーですら、もっとセクシーな演技を見せているのにね…。でも、可愛いかすみんを見られるという意味では十分、満足できる作品だとは思う。ただ、映画自体の出来は微妙かな。

とりあえず、本作を一言で説明すれば、似非都民のサブカル信奉者の話って感じかな。地方出身者。あるいは、本人は東京生まれでも親が両方とも地方出身者みたいな人には、山手線の西側(池袋から五反田あたりのライン)より西しか東京と思っていないような連中が結構多い。

そういう人って、やたらとサブカル厨みたいなのが多いからね。ちょっと、劇団とかライブハウスのお手伝いをしたとか、超低賃金でイラストを描いたとか、ネット記事を書いたくらいで業界人風を吹かしているのも結構いる。中には単なるブロガーなのに、業界人気取りの連中も多い。

本作の主人公大学生カップルはまさにそういう人種だよね。男の方は地方出身で、イラストレーター志望だけれど、3枚1000円なんていうありえない額のギャラしかもらえない、要は騙されているだけの人。

女の方は両親が揃って広告代理店の人間のせいか、自分も業界人のつもりでいて、人気ブロガーのつもりでいる。

でも、結局、2人とも就活には苦労し、クリエイティブ職になんて就くことはできない。

男はクリエイティブ職を諦めたもののやっと就職できた所はブラック企業。ロクに休みもないから、好きだった映画や漫画、小説などに対する興味は薄れていってしまう。

女の方は給料は高くはないが、労働環境は悪くはない職場で働いていたが、バブルの時代から抜けられない人種の両親の影響か、クリエイティブ職への憧れを捨てることができず、イベント会社に転職する。そして、サブカルに興味がなくなったというより、興味を持つ時間がなくなった彼氏との溝が深まっていくって感じだからね。

まぁ、地方出身のクリエイティブ職志望だった人。あるいは現在、そういう仕事に就いている人には刺さるのでは?自分はダメだったが。

あと、こういうセミプロみたいな連中を安くこき使っている日本のクリエイティブ職現場に対する批判や、しっかり休めると言いながら、実際は残業・休日出勤だらけという業種を問わない日本の職場のブラックさ加減に対する批判というのは、介護職のブラックな現場を批判した「いつ恋」に通じる社会派な部分はあるのかなとは思う。

ところで、こういうサブカル厨のクリエイティブ職崩れの人たちって業界人ぶった言葉を使うけれど、アレ、鬱陶しいよね。特に著名人を“さん付け”して業界人ぶっているのが、一応、業界人の自分からするとイラっとする。しかも、芸能記者とか評論家のマネでもしてんのか知らないが、日本の著名人には“さん付け”なのに、海外の著名人は呼び捨てにしているのが、余計、イライラさせてくれる。あんたら、素人、もしくはセミプロは、普通に著名人は呼び捨てにしてればいいんだよって思う。まぁ、ワイドショーの悪影響だろうね。コメンテーターに芸能人が増えたから、街録で芸能人を呼び捨てにしているものが使いにくくなり、というか、インタビュアーのディレクターが“さん付け”で聞くから、答える方もそれに合わせて、“さん付け”になってしまうしね。

まぁ、日本の映画には珍しく、映画や小説のタイトル、一部の企業名、現役の作家や映画監督、ミュージシャンなどの名前が実在のまま出てくるのは評価できたかな。押井守本人が出ていたのには驚いたけれどね。権利関係をクリアにするだけの時間や予算の余裕があったのかな?

そういえば、製作委員会にTBS(本体ではないが)とテレ東といったキー局2局が一緒に入っているのには驚いた。TBSとテレ東は一緒に配信サービスをやっているから、その流れなのかな?あと、テレ朝自体は入っていないものの、朝日新聞も製作委員会に名を連ねている。まぁ、時間と予算はあるんだろうね。

そういえば、見ている途中で、本作に清原果耶が出ているはずだよなということを思い出した。でも、全然出てこないんだよね。もしかすると、気付かなかった?なんて考えながら見ていたが、まさか、あんなわずかな出番しかないとは思わなかった。それなのに、クレジット3番手だったことにも驚いた。というか、この作品、何気に豪華キャスト陣だよね。脇役やチョイ役にも色んな人が出ている。

ところで、本作のサブカル厨ウンチクで、カップルがイヤホンを片方ずつ耳に入れて聞いていることについて、あれは全然、音楽を聞いていることにならないという話がされていたが、アレには激しく同意する。本当、その通り。左右のどちらか片方でしか音が鳴っていないこともあるからね。

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