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舞台「六番目の小夜子」
特典付きチケットを買ったのに、1階席後方というのは納得がいなかない。しかも、特典のパンフレットはペラペラだし…。
新国立劇場 小劇場という小さなキャパでの上演だから、2階席(ここではバルコニー席と呼ばれている)以外は良席扱いということなのか?
1階席の前方限定だと、特典付きチケットなんて、わずかな枚数しか売ることができない。それでは利益が出ないから、1階席は全てプレミアム扱いにしようってこと?
そんなアコギな商売をするから、開幕2日目、しかも土曜日、しかも(繰り返しちゃった…)3連休初日なのに、当日券を販売するハメになるんだよ!
チケットが発売開始された頃はオミクロン株で騒ぐ前だったし、一般発売された頃でも日本ではたいしたことない扱いだったから、そうしたやり方に対する反発もあるんじゃないかな…。
ちなみに自分が本作を鑑賞しようと思った最大の理由は山内瑞葵(ずっきー)が出ているからだ。
現在のAKB48でチーム8メンバーを除いた中では一推しかも知れない。
見た目が好みというのもあるが、去年の春に見た舞台「フラガール -dance for smile-」で主人公の親友役を演じ、その演技が良かったので、さらに注目度が増したというのもあった。
そして、その時、今後は女優としてのずっきーにも注目してみようと思った。もしかしたら、川栄的存在になるかも知れないしね。
でも、その後に見た、演劇とライブをミックスさせた「AKB48 THE AUDISHOW」や、演劇とライブの2本立ての「マジムリ学園-LOUDNESS-」では演技が達者なようには見えなかった。
もしかすると、AKBという村の中では安心しきってしまって、言い方は悪いが、手抜きしてしまうタイプなのだろうか?もしくは、まわりのレベルに無意識に合わせてしまうのだろうか?なんて思ったりもした。
村外の舞台だと、まわりは普段一緒に仕事しない人ばかりだから緊張感を持ってやれるけれど、そうでないとだらけてしまうとか?
でも、「フラガール」には、AKBグループではないけれど、樋口日奈(乃木坂46)や安田愛里(ラストアイドル)といった同じ秋元系アイドルのメンバーも出演していたのだから、完全に村外の仕事ではないんだよね。
そう考えると、稽古やリハーサルの時間がきちんと確保されているか否かで発揮できる演技力に差が出ているような気もする。
村内舞台だと、所詮、イベントみたい扱いだし、ファンもオマケのライブの方が目当てだったりするからね。
そんなわけで不安材料を抱えながらではあるものの、ずっきーが出演する新作舞台を見ることにした。気づいたらチケット発売日になるまで、ずっきーが出ることを把握していなかったので偉そうなことは言えないんだけれどね。
ちなみに今回もずっきーは「フラガール」同様、主人公の友人役だし(厳密に言うとクレジット上で主演となっている女優が演じた役ではなくストーリー進行上のメインキャラの友人)、主演も「フラガール」同様乃木坂メンバーだ(今回は鈴木絢音)。
さらに、秋元康が設立した劇団4ドル50セントの団員も出ている。だから、完全に村外とは言い切れないのも「フラガール」と同様だ。
まぁ、来場する観客のほとんどは、乃木坂かAKBのファンだと思うけれどね。だから、開演前の場内アナウンスでもしきりに“声を出して声援を送るな”って言っていたんだろね。
コンサートやイベントのノリで演劇作品鑑賞中でも声援を送るバカが新国立劇場でもいたってことなんだろうね。コロナ前の話だとは思うが。
ずっきーの演技は今回は悪くなかった。
最初のうちはアイドル演技っぽい感じがしたが、途中からは見応えのある演技に変わっていった。特に自分の友人に裏切られたと感じてからの嫉妬心とか、何かに取り憑かれたりしてからの狂気を感じさせる演技とかは良かったと思う。
鈴木絢音の演技も全体としては良かったが、ちょっと、台詞をエフェクト加工したような箇所が多かったのは気になったかな。
ストーリー自体はツッコミどころだらけだった。
小夜子に指名される生徒は3年に1回しか出ないのに、現在の小夜子が次の小夜子を指名するという仕組みはおかしいよね。
高校というのは基本、留年でもしなければ3年しか滞在できないわけだから、たとえば3年生が卒業時に1年生を次の小夜子に指名したとしても、その次の小夜子はその後、2年しか在校できないわけだから、3年に1度の大役を果たすことができないわけだしね。
というか、今回の作品で描かれた六番目(6代目)の小夜子は2人いたわけだし、もう、デタラメな設定もいいところだ。
また、今回は二番目の小夜子の幽霊が出てきたらしいという話だが、じゃ、初代はなんだったのって話だし、さらに、この2代目はいじめられていたのは事実だが、命を落とした理由は自殺でも暴行死でもない。単なる(と言っては失礼かもしれないが)交通事故だ。無念の気持ちは分かるが、それで、代々の演劇部員や顧問に嫌がらせをするのは違うんじゃないかなって気もする。
それから、現在の転校生と不慮の事故死を遂げた二番目の小夜子が同じ津村沙世子という名前であることの理由も何も説明されなかったし、途中から、現在の津村沙世子の雰囲気が変わったのは二番目の小夜子に取り憑かれたせいなのかどうかも明確にされていなかった。
原作やドラマ版のファンはそういう曖昧なところが好きなのかもしれないが、個人的にはこういうのダメだ…。
まぁ、思春期の不安定な心情のメタファーなんだろうけれどね。
でも、時々、ゾクって感じる場面はあったから、ホラーとしては成功しているんだとは思う。
そういえば、これが2022年の初観劇作品だ。今年になって、まだ1週間ちょっとしか経っていないのにはやくも舞台を見てしまった。
コロナ前の2019年は11月、コロナ禍に突入した2020年は10月まで舞台を見ていなかったし、去年はだいぶはやまったとはいえ、それでも3月だったから、今年は好スタートといった感じかな。まぁ、アイドル主演舞台だけれどね。