「パラサイト 半地下の家族」モノクロVer.
都内の映画館再開後の記念すべき最初の鑑賞作品に選んだのは、アジア映画初のアカデミー作品賞受賞作品となった「パラサイト」の白黒版。
このバージョンを見て思ったことはいくつかあるが、何よりも、優れた作品はカラーだろうと、白黒だろうと、カメラワークや、色彩感覚、美術、衣装などのセンスが素晴らしいということを改めて認識した。
その一方で、大きく印象が変わった点もあった。
オリジナル版では、半地下家族の妹、金持ち家族の娘、タイプは違うが、どちらも可愛いなと思ったが、このバージョンではあまり、インパクトがない。それに対して、金持ち家族の妻の印象は圧倒的に増していた。何というか、美しさ、エロさがかなり増大している。
ところで、オリジナル版、白黒版問わず、多分、アジア人の観客なら金持ち家族が会話の中に英語を混ぜるのを見てイラついたと思うが、会見で横文字を入れたキャッチフレーズを入れたがる小池に対してイラっとするのって、まさに、これと同じ現象だよなと思った。
それから、本作における弱い者が弱い者を叩くというブルーハーツみたいな描写は、まさに、正社員とか自営業者という肩書きを持っているだけで、全然、アベノミクスの恩恵を受けていない。それどころか生活が苦しくなっているのに、自分が負け組だと認めたくないから、派遣労働者とか生活保護受給者、在日外国人なんかを反日と叩いている人たちともかぶるよなとは思った。そして、そういう格差社会の描写は白黒になったことで、より鮮明になったように感じた。結局、半地下家族が一線を超えてしまった要因は、金持ち家族による庶民のニオイ差別だからね。ニオイというのは、4D上映みたいなものを除けば、映像では表現するのが難しいから、映像の情報量を減らしたことによって、ニオイ差別に対する怒りというのが分かりやすくなった部分はあるのかもしれないなと思った。
とりあえず、この作品を見もしないで、アカデミー賞受賞やヒットは、韓国人や反日パヨクの捏造なんて言っている人間は今すぐ自分が無知の塊のネトウヨだということを自覚してほしいと思う。韓国政府や韓国人に対する好き嫌いを抜きにして、この作品は評価されるべき映画だと思う。