ボス・ベイビー ファミリー・ミッション
ドリームワークスのアニメーション映画の配給権を20世紀フォックスが持っていた時代はほとんどの作品が日本では劇場未公開に終わった。
アカデミー長編アニメーション賞にノミネートされた作品どころか、日本でヒットした「カンフー・パンダ」シリーズの続編ですら劇場公開されないという異常事態だった。
2018年3月日本公開の「ボス・ベイビー」からはドリームワークスのアニメーション映画の配給権を東宝東和が持つようになり、なんとか日本でのドリームワークス作品の劇場公開が復活した。
とはいえ、「ボス・ベイビー」以降8作品あるドリームワークスのアニメーション映画のうち、日本公開されたのは、「ボス・ベイビー」の続編である本作を含めて、ちょうど半分の4本作しかない。
2019年12月に「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」、2020年10月に「トロールズ ミュージック パワー」、そして、2021年12月に本作と、年1本ペースでしか日本公開されていない。米国では基本、年2本ペースで公開されているので正直物足りないというのが実情だ。
しかも、「ボス・ベイビー」の1作目以外は全て続編ものだしね。
さらに、シリーズものでも、「クルードさんちのあたらしい冒険」や「スピリット 未知への冒険」のように日本公開が見送られた作品だってある。
また、2019年以降に日本公開された3作品は東宝東和の単独ではなく、ギャガとの共同配給になっている。
東宝東和としては、同じ米国のアニメーションスタジオであるイルミネーション作品の配給も担当していて、こちらの方は日本受けする作品も多いから、シリーズものですら日本でヒットするかどうか読めないドリームワークス作品は言い方は悪いがギャガに押しつけてしまえってことなんだろうね。
それにしても、前作から四半世紀ほど経った時代を舞台にした話という今回の設定、無理ありすぎでしょ?
前作っていつの時代の話だったの?仮に前作が現代だとしたら、今作は四半世紀ほど先の未来の話ということになるが、市民の暮らしは現在とそんなに変わっていないしね。
それから、見ていて思ったんだけれど、本作ってネトウヨが見たら“反日”って騒ぎそうだよね。
敵キャラはアームストロングという英語名ではあるけれど、やたらと、“サヨナラ”と言うし、配下には残忍な忍者集団を抱えている。そして、父親のことを米国人のように“ダディ”とは呼ばず、“パパ”と呼んでいる。それに、アプリを使って洗脳しようとするところなんて、自民党そっくりだ。
そういう様々な要素を考えると日本人を悪役にしているように思えて仕方ない。ドリームワークス作品の扱いが酷いことに対する仕返しだろうか?
そういえば、この悪役、「メン・イン・ブラック」みたいだった。
あと、前作に比べるとテンポがなんか悪い気もする。正直言って、夜勤明けで見たら睡魔に襲われるね。
それから、兄弟揃って小さくなったはずなのに赤ん坊になったのは弟だけというのは、ご都合主義すぎるのでは。
まぁ、全部が全部ダメってわけではないけれどね。音楽の使い方で面白いと思ったところはあったしね。
RUN DMCの“イッツ・トリッキー”とか懐かしい曲も聞けたしね。
あと、エンヤの“オリノコ・フロウ”が学校の懲罰房の洗脳ソングみたいな感じで使われているが、あんな使われ方でよく、エンヤ側が許可を出したよねと驚いている。
ところで、字幕版ではボス・ベイビー役は前作に引き続きアレック・ボールドウィンなのに、何の問題もなくしれっと日本公開されているのは謎だよね。
彼が主演とプロデュースを務めている映画の撮影現場で誤射が起こり、撮影監督が亡くなり、監督が負傷したのにね。
この事故(事件かもしれない)が起きた際は、米国では本作はとっくの昔に公開されていたけれど、日本ではまだだったんだから、普通だったら公開延期とか中止になってもおかしくない案件なのにね。
業界的には、助監督や小道具係が怠慢な仕事をしたとか、以前から仕事のやり方に問題があったみたいな形で決着をつけようとしているけれど、撮影時に銃を手にしていたのはアレック・ボールドウィンだし、撮影中に問題が起きた時に責任を取るのはプロデューサーなんだから、主演俳優でありプロデューサーでもある彼の責任は重大なはずだよね。
業務上過失致死とかに問われてもおかしくないレベルなのにね。
それなのに何の問題もなく日本公開するってことは、アニメーション映画なんて字幕版で見るのは一部の映画マニアだけだから、“犯罪者”がメインキャラで出ていても誰も気付かないだろうって思っているのかな?