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動き出す浮世絵展 TOKYO
これまでに見た美術展で一番酷かったのは単なる物販イベントだった「春夏秋冬/フォーシーズンズ 乃木坂46」@国立博物館だと思っていたが、それよりもクソなものに出合えるとは思わなかった…。
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まず、会場の寺田倉庫への最寄り駅からのアクセスが決定的に悪い。チケットを見ると2つの最寄り駅から4〜5分と書いてあるがとてもではないが、そんな時間では到達できない。通路の案内も不親切なので何度も行ったり来たりしたが、おそらく、この展示会の主催やハコ(美術館とはとても呼べるものではないのでこの呼称にした)のスタッフは自分の足で歩いて会場入りしたことないのではと言いたくなった。
しかも、1階の入口と2階のロビーの行き来も不便だ。狭い階段をのぼりおりしていくしかないって、バリアフリー対策をしようという気も全くないようだ。自分の帰り際にすれ違った親子連れがいたが、子どもが大変そうだった。
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また、たいして混んでいないのに、なかなか展示フロアーに入れさせてもらえないのも意味不明だ。テーマパークのアトラクションじゃないんだから。
というか、美術展ではなく、アトラクションとかアニメの上映会のノリで企画されたイベントなんだろうなとしか思えない。
美術展なのに、主催側が決めた順路でしか鑑賞できない=逆行してはいけないなんてありえない!どんな順番で見てもいいのが美術展だろ!
そして、映像の基となった浮世絵は壁の花としてこっそり飾られているだけ。アホなカップルはこれをふさいでいた。映像はオマケで浮世絵の展示をきちんとしてくれていると思っていたが、作品の方がオマケとはね…。
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最近、美術展の運営には金がかかるという理由で美術ファン以外の集客に力を入れるというか、美術ファンの怒りを買うような展示会が多いけれど(音声ガイドの声優起用など)、ここまで悪化してしまったとは…。
結局、美術にそんなに思い入れのないカップルやOL、外国人観光客の映えスポット提供のイベントでしかなかった。
映像メインならまだ、プラネタリウムのように30分くらいの映像化した浮世絵を垂れ流ししてもらった方が良かった。
この酷い内容で当日の大人料金が2700円だからね…。コロナ禍以降、確かに世界的な物価高や円安などで美術展の運営に金がかかるという理由で入場料は高騰していて、決して安くない映画より高いというのは当たり前になってしまった。でも、国立西洋美術館で開催されている「モネ 睡蓮のとき」ですら2300円(常設展示及び常設展示会場内の企画展も見られる)なのだから、これはぼったくりでしょって思う。