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尾崎豊を探して

 仕事始めの日にいきなりシフトの変更を言い渡され、今日が急遽休みとなった。休みの日に家でダラダラしていたら夜に眠れなくなり、明日のシフトに影響する。かといって、最近、バッテリーの減りが激しいスマホの買い替えとかすると時間がかかるから、そういうのは週の真ん中にポツンと1日だけある休みにはやりたくない。しかも、天気も悪かったし。

 なので、いつものように映画館に行くことにした。年末年始の休みの間に是非とも映画館で見ておきたい新作は一通り見てしまった。本当なら、新作の公開が増える今週末以降の休みの方が嬉しかったが、まぁ、いいやという感じで、11月から年明けにかけて公開された作品の中から上映中の作品で、なおかつ、上映時間が夜のみとかになっておらず、さらに、近場で見られるものを選ぶことにした。その結果、見ることになったのは「尾崎豊を探して」というドキュメンタリー。

 中高生の頃、どちらかといえば、尾崎豊は嫌いだった。理由は、不良とかヤンキーとか呼ばれる連中が尾崎のことを好きだったから。自分は不良とかヤンキーとか呼ばれる連中が嫌いだ。

妹の同級生の不良少女の彼氏と喧嘩したこともあるし、中学時代には、ヤンキー系の同学年の奴らと喧嘩し、教師に呼び出されたこともある。そうしたヤンキーの奴らかは、「何で、アイツの髪型はOKで、こっちは文句を言われるんだ?」なんてひがまれたこともある。高校の時には、喧嘩を売ってきた葛飾区議のクソガキの同級生に腹が立ち、こいつの喧嘩を買ったら、区議に媚を売るアホ担任のせいで、こっちだけ停学させられそうになったこともある。そのほか、クラスの窓をふざけて割ったこともあるし、中学時代の担任には「誰もやる奴がいなくても、アイツにだけは学級委員をやらせるな」と陰口を叩かれたこともあるらしい。

なので、何だ、お前も同類かと思われるかもしれないが、自分は不良とかヤンキーではなく問題児に近いんだよな…。ほぼ、いじめに近い待遇を受けたこともあるし、クラスの同調圧力に負けて、ある女子をバイ菌扱いする輪に加わってしまったこともある。どちらかといえば、スクールカーストで言うところの下層、もしくは、カーストにすら入れない存在が近いので、不良とかヤンキーではないと思うんだよな…。そんなわけで、不良・ヤンキーが好む文化も本人たち同様好きになれなかった。

「BE-BOP-HIGHSCHOOL」も中山美穂が出ているヤツしか見ていないし、BOØWYも当時は好きになれなかった。不良・ヤンキーが好きだからね。まぁ、「Marionette」は好きだったが。当時、同学年の間では、ヤンキー系がBOØWY派、一般層がレベッカ派、どちらにも入れない層がTM NETWORK派みたいな感じだったかな…。

そんなわけで、ガラスを割ったり、バイクを盗んだりするイメージの尾崎も好きになれなかった。その後、薬物の問題も発覚したし、やっぱり、ヤンキーが好きになる奴はロクでもないなと思ったりもした。

 尾崎を認めるようになったのは、ぶっちゃけ死んでからかな…。まぁ、この支配からの卒業というフレーズはネタにさせてもらったりはしたが、音楽的に評価できるようになったのは確実に死後だよな…。尾崎の死をはやめたのは墨田区のせいという贖罪の意味もあるのかな?

尾崎が倒れた時に搬送された墨田区内の病院(この病院自体はなくなったが、後継の病院は今も存在することから訴訟されると嫌なので実名は出さないが)は、ヤブとして有名だったからな。妹も入院した時に雑な扱いを受けたらしいし。

 で、そんな色々な思いが交錯する中、本作を見たが、一言で言うとクソだな!映像系サークルとかの学生・生徒、素人ユーチューバーが作った単なるマスターベーションの作品。あるいは、ディレクションを任されたばかりで、ついつい加工したくなってしまう新米ディレクターのVTR。そんな感じだな。

 編集が本当に酷い。曲をぶつぶつと中断して、その間に別の音声を入れるとか、イメージ映像とかグラフィック・デザインとかが脈絡もなく挿入されているし、本当、意味不明。

 それから、冒頭に現在の渋谷で女子たちが街録で「尾崎豊なんか知らない」と語っている場面が入っていたが、コレがその後の展開に全く活かされていない。てっきり、「何故、尾崎豊は他の他界したアーティストのように新しいファンを生むことができないのか?」みたいなのを切り込んでくれるのかと思ったら、その後は延々と意味不明な演出で過去素材が編集されていくだけだからな…。

これほど、早く終わってくれ!途中で出たいな…。という衝動に駆られる作品は滅多にないぞ。まぁ、最後まで付き合ったが、コレで入場料金が通常より600円(TOHOシネマズ料金)も高いなんて、ボッタクリもいいところだ!

 とはいうものの、中盤ちょっとは見所もあったけれどね。尾崎の体調が崩れていく瞬間とか面白かったしね。煙草とポカリと正露丸が並んでいる画は興味深かった。あと、イメージと異なり、やけに腰が低いなって時と、怒鳴りちらしている時があって、人を見て対応を変える奴だったんだな。つまり、典型的なヤンキー系縦社会の人間だったんだなというのもよく分かった。

それから、日本のドキュメンタリーだと、やたらと、映っている人間にボカシが入ったり、音声が加工されたりというのが多いが、きちんと映っていたのには感心した。もっとも、このドキュメンタリーを作っている側が、そういうコンプライアンス的な意識を持っているようにも思えないが。いくら故人とはいえ、未成年時代の尾崎が喫煙している場面を何の断りもなく入れているんだからな…。

そういえば、尾崎の音楽って、不良のイメージが強いせいであまり意識していなかったが、こうしてまとめて聞くと、佐野元春や浜田省吾と同じくブルース・スプリングスティーンのフォロワーだったんだなというのがよく分かるな。
 

それにしても、自分はいつになったら、この支配から卒業できるのだろうか…。

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