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2020年エンタメを個人的に振り返る

今年は新型コロナウイルスの影響で例年なら楽しんでいたものが楽しめくなったケースが結構あった。

自分がほぼ毎年楽しんでいたイベントでは、隅田川花火大会のように開催されなかったものもある。また、フェスでは、世間一般的な音楽好きとされる人たちが歓喜するフェスではないかもしれないが、自分は毎年、TOKYO IDOL FESTIVAL(TIF)とすみだストリートジャズフェステイバルに足を運んでいたが、今年はいずれもオンライン開催になってしまった。

個人的にはオンラインLIVEというのはどうも好きになれないので、今年はどちらも参加しなかった(すみジャズは配信がうまくいっていないのをチラッとだけ見たが)。

有観客のライブや演劇をDVDやブルーレイ、テレビ放送で見たり、映画館などでのライブビューイングで鑑賞したり、ネット配信で視聴するのは嫌いではないし、映画館での上映やテレビ放送、DVDやブルーレイのために無観客で行ったパフォーマンスを収録したものを見るのも嫌いではない。(ここまで前者)

でも、無観客で行ったライブや演劇の配信はリアルタイムで見るのも、後追い配信で見るのも好きじゃないんだよね…。(ここまで後者)

前者の中にだって、配信されているものがあるんだから、一緒では?それって、単に配信嫌いの老害の発想では?と言われてしまえば、それまでなのだが、やっぱり、臨場感が違うんだよね…。

前者に含まれる無観客パフォーマンスというのは、映像ありきのものだから、そういう演出のもとに映像収録されているが、後者の無観客パフォーマンスというのは、有観客パフォーマンスの代替品としてやっているに過ぎないから、どうも見ていてしっくりこないんだよね。

まぁ、演者や演出側が無観客のパフォーマンスに慣れていないというのが要因と思われるので、来年以降は洗練されていくのかもしれないが。

 なので、コロナ禍になってからの無観客配信ライブでアクセスしたのは、サザンオールスターズだけだった。もっとも、コレは仕事の合間にチラ見しただけというか、仕事のためにアクセスしただけなので、能動的にアクセスした無観客配信ライブは実質ゼロと言っていいかもしれない。

そのほか、例年なら楽しんでいたのに、今年は楽しめなかったものとしては、以下のものがあげられる。

●美術展鑑賞

映画館で鑑賞する映画やホールなどで鑑賞する演劇、コンサートと違う美術展ならではの利点といえば、上映・上演開始時間にしばられることなく鑑賞できるということ。勿論、美術館・博物館の営業時間内での話だが。

そして、映画館で鑑賞する映画やホールなどで鑑賞する演劇、コンサートは、スタートしたら、もう自分は何もできない。このシーンをもっと見たいとか、このシーンはパッと見でいいやと思っても、過ぎゆくままに鑑賞するしかない。

でも、美術展は大混雑していて、列を作って順番通り見なければいけないような時を除けば、原則、自分の好きな順番、好きなペースで見ることができる。お気に入りの作品、例えば「睡蓮」はじっくりと10分くらい眺めていてもいいし、そんなに興味のない作品だったら、10秒くらいで済ますこともできる。

こうした時間にしばられない鑑賞ができるので、ふと、時間に余裕が出た時。例えば、仕事の合間とか夜勤明けとかで、1時間ちょっと空き時間があるみたいな時に、ふと美術館や博物館に行って鑑賞できるというのが美術展の最大の利点だと思う。

ところが、緊急事態宣言解除後は、多くの美術館・博物館で、密を避けるという名目で時間を区切った予約制が導入されてしまった。

これじゃ、映画館へ行ったり、舞台やライブを見に行ったりするのと同じになってしまうんだよね。

にもかかわらず、映画や演劇、コンサートに比べれば所用時間は短い。わざわざ、1時間ちょっとのために予約してってなると面倒だよなというのが本音かな。しかも、美術館・博物館って、結構、不便な場所にあるのが多いから、他の用事とハシゴしにくいんだよね。ハシゴしやすいのは、上野にある各ミュージアムと渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムくらいかな。

なので、今年は美術展に行くことはなかった。多分、年に1度も美術展に行かなかったのって、00年代初頭以来な気がするな…。多分、2003年あたりからは、毎年行っていたと思うんだよな…。

 

●洋楽ライブ参戦

多分、洋楽アーティストのライブを見なかったのは、15年ぶりくらいかな?まぁ、コロナ禍になって洋楽アーティストが来日しなくなったからね。邦楽アーティスト、特にアイドルやアニソン系は平気で有観客ライブを再開しているけれど、米英のアーティストの中には2021年いっぱいは有観客ライブは無理って考えている人もいるからね。来年ももしかしたら、これはないかもしれないな…。

 

●HKT48ライブ参戦

単独、フェス、イベント等問わずHKTのライブを一度も見なかった年というのはHKTがデビューした2013年以来初めてかな。正確には2013年はAKB48のコンサートにもうけられたHKTコーナーで見ただけで、きちんと見たのは、翌年のTIFが初めてだけれどね(単独ではその年の秋に見たのが初めて)。

まぁ、変な病気が中国で流行っているらしいくらいの認識だった今年はじめに、メンバー(みくりん)のソロコンは見ているし、秋にメンバー出演のコント劇は見ているけれど、グループとしてのものは見ていないんだよな…。

ところで、みくりんのソロコンを見た年初の時期というのは例年、リクアワを含めたAKBグループのコンサートをTDCホールで集中的に行うシーズンでもあるんだよね。

そして、大抵、この一連のコンサートに参戦した辺りで体調がおかしくなるんだよね。2年前なんか、参戦直後にインフルエンザに罹患したしね…。

差別するわけではないけれど、AKBグループのコンサートには中国からわざわざ、このために来日してくるファンもやってくるからね、多分、そこで色んなウイルスをもらっているんだろうなって思う。

だから、コロナが中国発で世界に蔓延していったっていう情報を最初に知った時は、まぁ、そうだろうねとしか思わなかったんだよな…。

そして、ふと思い出した。AKBのライブもフェスとかリクアワも含めれば、2013年以来毎年見ていたのだが、それも今年はなかった。つまり、AKBグループは会いに行けるアイドルではなくなったってことですね。

 

●腕立て伏せ・ストレッチの回数減少

例年は、泊まり明け勤務で家にいない時とか、帰宅が遅くなり翌日のことを考えると早く寝た方が良い時、それから、体調不良の時を除けば、ほぼ毎日、腕立て伏せやストレッチなどのメニュー(最低5分はかかる)を日課にしていた。

でも、今年はコロナ禍で免疫力を高めるために、体力を温存しなくてはいけないとの思いから、ちょっとでも風邪のひきはじめのような症状がある時や、疲れ気味の時、睡眠不足が酷い時、時間に追われている時はメニューをやらないようにした。その結果、明らかに体重は増え、贅肉も増え、健診にも引っかかった…。

 

●ビルボード誌年間チャート掲載号購入停止

約30年間、ビルボードの年間チャート掲載号を購入していた。90年代の頃は高かったけれど、山野楽器でも年間チャート掲載号に限らず、ビルボードは普通に買えたんだよな…。00年代になると、入手できる店は減ったが、それでも、タワレコの新宿か渋谷に行けば、年内には買えないこともあったが、何とかゲットはできた。

しかし、10年代になると店舗での購入はほとんど不可能に近くなり、タワレコオンラインを利用して購入するようになった。

ところが、去年は店舗どころかタワレコオンラインでも取り扱いがなくなってしまった。なので、仕方なく米国のビルボードの通販ページから直接購入することになったので、送料がとても高かった…。

本来なら、今年も去年と同じパターンにするはずだったのだが、コロナ禍となり、海外から配送されるものがいつ届くか分からない。そして、感染状況が深刻な米国から“紙製品”を取り寄せるのはウイルス付着の観点からも怖い。なので、約30年の慣習をやめることにした。

そもそも、ここ何年かの年間チャート掲載号って主なチャートのみフル掲載で、それ以外は、詳しくはネット版を参照してくれと表記してあるものばかりだった。だから、これを機に無駄なものの購入は排除していくのも手かなとは思う。

そして思う。こういう、“詳細はネット版で”商法で紙媒体の文化は廃れていくんだよなと…。日本の紙の雑誌も読むところないの増えたしね…。

 

ということで、コロナの影響で映画が公開延期になったり、劇場公開予定だった作品が配信オンリーになったり、演劇やコンサート、イベントが中止・延期になったりしたし、コロナに感染して命を落とす芸能人は国内外に相次いだし、国内ではコロナ禍で今までのような仕事ができなくなってしまったことに起因したと思われる自殺者も出てしまった。本当に暗い一年だったのかもしれない。

そんな中で数少ない明るいエンタメニュースといえば、コロナで世界が騒ぐ直前のアカデミー賞授賞式での「パラサイト 半地下の家族」のアジア映画初の作品賞受賞というのがあったが、コロナ禍になってからということでいえば、「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」の超記録的な特大ヒットということになるのだろうか。

でも、コレって「千と千尋の神隠し」がこれまで持っていた日本の興行記録を塗り替えるほどの作品とは到底思えないんだけれどね。

いや、面白いと思うし、感動はするよ。でも、映画じゃないよねって、正直思う。

こういうことを言うと、鬼滅のファンは“これだから映画マニアは”とか“老害だから良さが分からないんだ”みたいに批判してくるのは重々承知しているが、そういう属性とか世代間闘争の話にするのは違うと思うんだけれどな…。

テレビドラマやテレビアニメの劇場版のほとんどは、映画マニア的な視点で語れば、映画ではなくテレビスペシャルだと思う。面白い、面白くない問わずね。「コナン」や「ワンピース」、「ドラゴンボール」あたりの劇場版なんて完全にそうだし、実写の「踊る大捜査線」や「トリック」もそう。

でも、今回の「鬼滅の刃」の映画はテレビスペシャルにすらなっていないんだよね。

一応、上記に名をあげた作品や、今年のヒット作でいえば、アニメなら「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」、実写では「今日から俺は!!」、「コンフィデンスマンJP」なんてあたりは一応、その作品だけでもストーリーが通じるようにはなっている。

でも、「鬼滅の刃」は、この映画単体では成立しないんだよね。そもそも、テレビシリーズだって、新たな任務(=今回の映画で描かれる案件)に赴いたところで終わってしまっている。つまり、テレビシリーズも、それだけでは完結していない中途半端な作品だったりする。

まぁ、海外ドラマ、特に米国作品は、人気がある限り、予算がある限り、スタッフやキャストとの契約が拗れない限り、何シーズンも続くのが定番だから、シーズン終わりの最終エピソードが、中途半端なところで終わることが多い。それと同じといえば、同じなんだと思う。

日本のテレビアニメは深夜放送が中心となり、1クール、長くて2クールで終わってしまうようになったが、原作のエピソードにはアニメ化されていない部分も残っているので、海外ドラマのシーズン制のように、いくらでも続編が作れるような終わり方をして、2期以降、あるいは劇場版に繋げるという手法が増えていったという面もあるのではないだろうか。

そんな大人の事情で、途中から始まり途中で終わる作品、要はテレビアニメの1エピソードに過ぎない作品に対して、多くの観客が「今まで見た映画・アニメで最高の作品」と絶賛していることに映画マニア、アニメ好きとしては違和感を抱かずにはいられない。

勿論、テレビアニメやテレビドラマの劇場版ではない映画だって、「ロード・オブ・ザ・リング」のような3部作として作られた作品の真ん中なんていうのは途中で始まって、途中で終わるわけだし、「スター・ウォーズ」シリーズなんかは、途中で終わる「帝国の逆襲」がシリーズ最高傑作と言われていたりする。

さらに遡れば、昔の連続活劇の時代には、クリフハンガーと呼ばれる演出で、気になるところで終わり、次回作を見させるようにさせていたわけだから、単なるテレビシリーズの1エピソードのような構成が必ずしも問題とは言えないのかもしれない。

また、全米歴代興収で上位に複数作品をランクインさせているマーベル映画(このうち、「アベンジャーズ/エンドゲーム」は世界興収では歴代1位)もほとんどがテレビシリーズ的な途中で始まり途中で終わる作品だから、シリーズものやテレビシリーズの映画化でも、単体で楽しめる作品でなくてはいけないという考え方は世界的にも古い思想と思われるようになっているのかもしれないな…。

おそらく、「鬼滅」や「アベンジャーズ」を面白いとは思っても映画とは思えない世代がアラフォーからアラフィフくらいで、それより上は完全に否定派。それより下は、この素晴らしさが分からない人を老害扱いする全面肯定派って感じになっているのかな。

そして、映画マニアやアニメオタクが鬼滅に対して批判的になる理由には、鬼滅を絶賛する人たちに、「あなたたち、ロクに映画もアニメも見たことないでしょ?」っていう感情を抱いてしまうことなんだろうと思う。

実際、鬼滅を絶賛する人って、不思議なほど、他の映画やアニメ、コミック、アニソンに興味を持たない人が多いんだよね。

だから、過去の記録的大ヒットとなった作品を「鬼滅」が追い抜くことに対して、映画マニアやアニメオタクは疑問を呈したくなるんだよね…。

ところで、テレビアニメの劇場版には、総集編を除くと、①シリーズの続編(1話完結ものだとテレビスペシャル的なもの)②スピンオフ、プリクエル③パラレル系などのタイプがあると思う。

映画として評価されやすいのは、どうしても③のタイプになりやすいと思う。普段は自宅や幼稚園など生活拠点での日常生活の話が中心の「クレしん」だが、映画では、SFやホラーの要素を加えた(ホラーはたまにテレビでもやるが)パラレル・ワールド的世界が舞台になっているので、普段のテレビ版を見ていない人でも純粋に映画として見ることができるから、毎回、「クレしん」映画は批評家や映画マニア、サブカル系の連中の批評の対象になりやすいんだとは思う。

同じ生活拠点から飛び出してスケールアップした話が展開される系の劇場版でも「ドラえもん」が批評家や映画マニアなどの批評の対象にならないのは、元々、「ドラえもん」がSFだからというのはあるのかもしれない。

②のタイプは基本、シリーズに対する知識がないと楽しめないファンサービス的なものが多いが、ごく稀に「ユーフォニアム」のスピンオフ「リズと青い鳥」のように、これまでのシリーズに関する知識がなくても純粋に映画として鑑賞できる作品もあり、そうした作品は批評家や映画マニアの評価の対象になることもある。

でも、①のタイプってのは、基本、批評家や映画マニアには映画扱いされないんだよね。テレビシリーズと同じことを多少、スケールアップしてやっているだけなので。だから、「ルパン三世」の劇場版2作目「カリオストロの城」が名作とされているのは異例中の異例だと思うんだよね。

まぁ、アメコミ映画でいえば、サム・ライミ版「スパイダーマン」の2作目、「ダークナイト」3部作でいえば2作目の「ダークナイト」みたいに特定の作品だけ、そのジャンルのファン以外にも広がる高評価になることがあるが、それみたいな感じなのだろうか。

「コナン」や「ワンピ」の映画がいくら大ヒットしても、批評家や映画マニアに無視されるのは、テレビスペシャル+αのαの部分がないからで、「カリ城」には、それがあるってことなのかな?まぁ、αが何かは人によって見方が違うとは思うが。

という話を長々したが、途中から始まり、途中で終わる。要はテレビシリーズの1エピソードを見たにすぎない。たまに、テレビドラマでシリーズ中盤で、普段より放送時間を延長した回があったり、長期放送シリーズでは夏休みとか年末年始に重なると前後のエピソードと連なるスペシャル版が放送されたりするけれど、それと変わらないんだよね。

だから、これを映画として絶賛している人たちを見ると“あんたら、映画をまともに見たことあるの?”って言いたくなるんだよ。まぁ、鬼滅信者からすれば、そういうことを言ってくる映画マニアやアニオタがウザい老害なんだろうけれどさ。

 そして、映画業界のなりふり構わない姿勢も鬼滅批判したくなる要因の一つになっているとは思う。

 やっぱり、コロナの感染拡大には鬼滅の記録的大ヒットは影響していると思うんだよね。一人で見に行った場合は別だけれど、友達や彼氏・彼女、家族と見に行けば、その後、飲食に行くわけで、そこで長々とマスクをはずして、飲食しながら映画の感想を話すわけだし、若者ならその勢いでカラオケに行くだろうし、カップルならラブホに行くでしょ?そりゃ、飛沫感染するでしょって感じかな。

そして、映画館も緊急事態宣言下とその前後も含めた数ヵ月間は営業を休止させられたし、緊急事態宣言解除後もしばらく、座席は市松販売だった。だから、前年度より大幅な減収になってしまっている。

その分を鬼滅で少しでもカバーしようとするのは商売としては正しいあり方なのかもしれないが、でも、もうちょっと、感染症対策に気を使おうよって思うかな。入場時の検温というのは結局、対策しているアピールにしか見えないんだよね。

本気で対策しているなら、いくら大ヒット作だって、全席販売はしないし、フードの販売もしないと思うんだよね。

そもそも、きちんと消毒するのなら、休憩時間は従来より長くしなくてはならないはずなのに、ビフォア・コロナ時代とほとんど変わらない上映スケジュールになっているからね。しかも、鬼滅に関しては、過密と言っていいほどの上映スケジュールになっている。

そして、これだけ感染者数が増えてきているのに、鬼滅の上映回数を減らすとか上映を中止するとか、そういう声が全く出てこない。金になれば、どうでもいいと思っているようにしか見えないんだよね。

よく、鬼滅は映画界の救世主と主張する人が映画業界にもマスコミにも多いけれど、自分は全くそうだとは思わないんだよね。

鬼滅の恩恵を受けるのは、配給会社でいえば、本作の配給元である東宝とソニー系のアニプレックスだけだし、興行でいえば、東宝・東映・松竹・イオン・ユナイテッド・東急といったシネコンを運営している大手だけ。

邦画の独立系や作品供給が絶たれているハリウッド系の配給会社やミニシアター系の劇場は全然、回復していないんだよね。それを映画界全ての救世主みたいに呼ぶのは違うんじゃないかなと思う。

そもそも、前述したように鬼滅信者は他の映画に興味を持たないから、映画館で他作品の予告を見ても、その作品を見に行かないんだよね。延々と鬼滅をリピートするだけだからね…。

これが過去の記録的大ヒット作品との違いなんだよな。今年は劇場公開が続々と見送られたけれど、ここ最近、ディズニー映画のヒットが続いていたのは、ディズニーの大ヒット作品を見に来た観客がディズニーの別作品の予告を見たことによる部分も大きいと思うしね。

2016年の「君の名は。」の記録的大ヒットの後に「聲の形」や「この世界の片隅で」といったテレビアニメの劇場版ではない、劇場用オリジナルのアニメ映画のヒットが相次いだのもそうした流れだと思う。

それから、過去の記録的大ヒット作品の時には、同時期にも多数のヒット作が出ていたが、鬼滅ではそういうのがないんだよね。

コロナ禍で作品の供給が不足しているのもあるが、それでも、海外から比べれば十分なほどの作品が上映されているのに、目立ったヒット作品が少ないというのは結局、鬼滅以外の映画に興味ない人が鬼滅の記録的大ヒットを支えているんだと思う。

普通なら本命作品が混んでいて見られなくても、映画館に行くという予定を立てた以上は二番手、三番手の鑑賞候補作品を見ようとなるから、記録的大ヒット作品が出ている時は他のヒット作品も出やすいんだよね。でも、鬼滅信者は他作品に興味がないから他のヒット作が出にくいんだよね。

1982年の年末の「E.T.」の時は、「汚れた英雄」、「ウィーン物語 ジェミニ・YとS」、「ランボー」、「愛と青春の旅だち」があった。

1997年夏の「もののけ姫」の時は、「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク 」、「スピード2」、「スター・ウォーズ旧3部作特別篇」、「エヴァ」があった。

1997年の年末の「タイタニック」の時は、「メン・イン・ブラック」、「エアフォース・ワン」、「セブン・イヤーズ・イン・チベット」があった。

2001年夏の「千と千尋の神隠し」の時は、「A.I.」、「パール・ハーバー」、「猿の惑星」、「ハムナプトラ2」、「ジュラシック・パークⅢ」、「ポケモン」があった。

2003年夏の「踊る大捜査線2」の時は、「ターミネーター3」、「パイレーツ・オブ・カリビアン」、「ポケモン」、「HERO(ジェット・リーの方)」があった。

2009年の年末の「アバター」の時だって、「カールじいさんの空飛ぶ家」や「ワンピ」がヒットしていた。

でも、鬼滅にはそういうのがない。10月以降の公開作品で興収15億円以上をあげたのは「STAND BY ME ドラえもん2」だけ。しかも、かろうじて20億円台前半って感じだから、全然、映画業界の救世主ではないんだよ!

グチはこのくらいにしておくけれど、鬼滅マンセーに対して批判的になるのは、映画好きとしては当然のことだと思う。一言でいえば、他の作品に対する配慮がない。これに尽きるかな。ファンはもちろん、鬼滅以外の作品の上映回数を減らして接触機会をなくしているシネコンもそう。

そして、ここからはガラリと変わって今年の音楽界も振り返ってみたいと思う。こちらは十代ニュース形式で紹介する。

①新型コロナウイルスの影響でアーティストが音源ではなくライブ活動で収入を得るというここ最近の稼ぎ方ができなくなった

そして、これに関連して

②新型コロナウイルスの影響で接触系アイドル商法が事実上の終焉

AKB48が今年、CDシングルをたったの1作品しか出せず、存在感がなくなり紅白出場もできなくなったのは、その象徴。

握手会などの接触系を含むイベントの参加券や、ライブなどの先行申込券などを付けてCDを大量に買わせる手法がコロナによりできなくなったのは当然。

かといって、そのかわりにCDシングルを売りまくったのが、ストリーミングどころか、CSの音楽専門チャンネルでMVをフルコーラスで流すことにさえ消極的なジャニーズ勢で、結局、接触系イベントがないだけで、複数枚購入させる商法には変わらないんだから、本当、日本の音楽界ってダメダメだよなとは思う。

③BTS、韓国勢初のBillboard HOT 100首位獲得

「Dynamite」という楽曲に関しては、本当、今年を代表するヒット曲の一つであり、ネトウヨがよく言う捏造されたヒットでは全くないと思う。

英語歌唱曲なので、これまでのBTS曲には興味を持たなかったラジオ局やリスナーが飛び付いたことによって長期的なヒットになったのは間違いないと思う。

ただ、続く韓国曲「Life Goes On」は「Dynamite」同様、初登場1位を記録したものの、翌週には、一気に28位まで下降し、さらに、その翌週にはトップ40内から消えてしまったというのを見ると、BTS人気というものが、K-POP好き以外には依然として浸透していないと言わざるを得ないのではないかなとは思う。要は、リリースに合わせて、せっせと、ダウンロードしたり、YouTubeでMVを見たり、ストリーミングで再生したりして、ポイント稼ぎをしているコアなファンの組織票以外は稼げていないということだからね…。

90年代末から00年代半ばくらいのラテン系アーティストが国際市場向けに英語で歌うけれども、その曲をシングルとして切る時にはスペイン語バージョンもリリースするということをやっていたが、それと同じように、コアなK-POP好き向けの韓国語バージョンと、国際市場向けの英語バージョンを両方出す戦略でいけば米国市場での一般層へのアピールも広がるんじゃないかなとは思う。

というか、日本市場向けでは既にそういうことをやっていたわけだしね。まぁ、最近は日本向けは日本オリジナル曲の楽曲にするK-POPアーティストが増えているけれどね。それは、K-POP好きの日本のファンは中途半端な日本語バージョンを聞くくらいなら、オリジナルの韓国語バージョンの方がいいって人が増えたことにもよるとは思うが。

④マライア・キャリー「恋人たちのクリスマス」、リエントリー後に再び首位獲得

リリースから25年となった2019年の暮れに遂にBillboard HOT 100で首位を獲得したことには驚いた。でも、今年の年末に再び首位になった事にはそれほど驚かなかった。まぁ、今後も毎年クリスマス・シーズンが来るたびに首位は取らなくても、トップ5内には確実に入るようになるとは思っていたので。でも、チャート・マニア的にはチャビー・チェッカー「ザ・ツイスト」以来となる、“一度首位を獲得した楽曲がチャート圏外に消え、その後、リエントリーした際に再び首位を獲得する楽曲”になったことには興奮せずにはいられない。ここまできたら、次のクリスマス・シーズンにも首位を獲得し、史上初となる“一度首位を獲得した楽曲がチャート圏外に消え、その後、リエントリーした際に再び首位を獲得するケースが複数回ある楽曲”になってほしいと思う。

まぁ、この曲は前回のクリスマス・シーズンの際に首位の翌週にチャート圏外に消えるという史上初の快挙も成し遂げているんだけれどね。

こういうチャートになるのも、ストリーミングによる音楽鑑賞が当たり前になり、古い音楽も新しい音楽と同様に聞かれるようになっている。しかも、若い世代が古い音楽も聞くようになったからなんだとは思う。

あと、10年くらいすると、歴代のチャートイン週数記録の上位はクリスマス・ソングばかりになりそうだな。ビルボードがクリスマス・ソングのリエントリーを認めるようになってから、毎シーズンのようにランクインしている常連曲が多いからね。だいたい、1シーズンで5〜6週くらいのエントリーとすれば、まぁ、イマジン・ドラゴンズの「レディオアクティヴ」が現在は持っている最長ランクイン週数87週をマライアのこの曲が追い抜くのは8〜9年後辺りなのかな?

⑤Billboard HOT 100首位獲得曲29年ぶりに20曲台に

ちょうど20曲だけれど、今年の全米ナンバー1獲得曲は久しぶりに大台に乗ることができた。80年代末には30曲以上のナンバー1ヒットが生まれていたんだから、それから比べれば全然少ないけれど、まぁそれだけチャートが活性化するようになったということだから歓迎すべきだとは思う。

91年末に今でいうところのフィジカルのセールスポイントを重視するする集計システムに変更して以降、98年末にエアプレイポイント重視の集計システムに変更しても、2005年にダウンロードのセールスポイントを加算するようになっても、その後、ストリーミングのポイントを加算したり、YouTubeの再生回数のポイントを加算したりするようになっても、長期エントリーが増えるようになり、それに伴い首位獲得曲の平均首位獲得週数ものびてしまっていた。

結局、90年代以降、ジャンルの細分化により誰もが知る音楽というのが減ってしまい、専門のジャンルでヒットしてから他のジャンルにクロスオーバーしてヒットするというパターンが増えたのが長期エントリーの要因の一つではあった。

そして、ここ最近の主流となっているストリーミングというのは、能動的に新曲をチェックしない限りは、既に好きになっている音楽を延々と繰り返し聞く傾向が強いのも事実である。ラジオであれば勝手に新曲が流れてくるし、フィジカルであればショップで新作がディスプレーされるから目につくが、ストリーミングだと、自分がよく聞くアーティスト、よく聞く楽曲に関連したオススメ以外は目につきにくいからね…。

でも、こうやって米国では20曲ものナンバー1ヒットが生まれるようになったってことは、能動的にストリーミングを利用する人が増え、ミュージック・シーンが活性化してきているってことなんだろうね。

日本はいつまでも、「打上花火」とか「シェイプ・オブ・ユー」が年間チャートに入っているような状況だからな…。というか、やっと、ストリーミングによる音楽視聴が市民権を得たくらいのレベルだしな…。米国のようにシーンが活性化するのはまだまだ先かな…。

⑥欅坂46、櫻坂46に改名

欅坂は「平手と愉快な仲間たち」と揶揄されていて、結局、平手が脱退(アイドルなのに卒業と言わないのはアーティスト風を吹かしていると批判されても仕方ないよね)したら、欅坂という名前は消滅するのかよと笑ってしまったが、もっと笑ってしまったのが、改名しても、音楽性が変わらないことだった。何のための改名なんだろ…。まぁ、衣装は明るくなって、イメージは良くなったとは思うけれどね。

⑦E-girls解散

コロナの影響で、有観客ライブをできないまま解散となるのは不運としか言えないよな…。 まぁ、金髪豚野郎と一部で言われていたAmiというファン以外にもアピールできるメンバーを脱退させてしまい、E-girlsもソロのAmiもその後、パッとしなくなってしまったというのはあるよな。

そして、Ami脱退後の顔だった鷲尾の事実上のソロ ・プロジェクトとなってしまったFlowerまでもが解散となってしまったことによって、鷲尾の印象も薄くなってしまい、本当、ここの運営はバカなんじゃないかと言いたくなる。

まぁ、E-girlsの人気が出たタイミングって、KARAや少女時代が停滞した頃だったので、K-POPもどきのサウンドやダンスで人気を集めることができたが、邦楽アーティストの悪いくせで人気が出ると汎用型邦楽になってしまうんだよね。だから、K-POP風の音楽が好きな人には全然アピールしなくなった。

そこへきて、TWICEやBLACKPINKなど、K-POPの新潮流も出てきて、気付けば、落ち目になったって感じなのかな?

ちなみに一番好きなE-girls曲は、「Mr. Snowman」。次が、「ごめんなさいのKissing You」かな。

⑧アダム・シュレシンガー死去

コロナで多くの著名人が国内外で命を落としたが、50代の人でも亡くなるというのは衝撃的だったな。彼が所属していたファウンテインズ・オブ・ウェインは実質的には「ステイシーズ・マム」の一発屋だったが、個人としては、「すべてをあなたに」や「ラブソングができるまで」といったサントラ仕事ではコンスタントに成功を収めたよなという印象を持っていたかな。

⑨エンニオ・モリコーネ死去

まぁ、映画ファンなら彼の作曲した映画音楽には多かれ少なかれ影響を受けているよねって感じかな。それにしても、「ニュー・シネマ・パラダイス」のあの有名な愛のテーマが実はエンニオではなく息子の作曲作品だということを知らない人が多いよね…。

⑩エディ・ヴァン・ヘイレン死去

ハード・ロックやヘヴィ・メタルという音楽にかぶれた人間なら彼の死にショックを受けない人はいないよね。あえて、彼のキャリアの中で一曲だけ選べと言われれば、サミー時代(1期)最後の曲「ヒューマンズ・ビーイング」かな。バンドって、メンバー間の関係がうまくいっていない時に傑作ができることがあるが、これはその分かりやすい例って感じかな。

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