ダム・マネー ウォール街を狙え!
この映画はFOMC(連邦公開市場委員会)のたびにお祭り状態になるような経済ニュース大好きのネット民が見たら間違いなく気に入る作品だと思う。
本作で描かれたゲームストップ株騒動に関する知識が少しでもあれば確実に興味深く見ることができるはず。つまり、経済ニュース系のネット民には好まれるタイプの映画だということだ。
経済系の実話を映画化した作品には「ソーシャル・ネットワーク」や「ウルフ・オブ・ウォールストリート」、「マネー・ショート 華麗なる大逆転」、「スティーブ・ジョブズ」などといった賞レースを賑わせた作品があるが、そうした作品よりも遥かに面白かった。
本作を面白い作品にしている特徴の一つとして、コロナ禍の米国市民の生活をきちんと描いていることがあげられると思う。
職場で顎マスクをしないで話していると、上司から“マスクしろ”と注意される風景が米国でも繰り広げられていたんだということが分かるなど、2020年代初頭の米国の空気感を切り取った作品として後世の参考文献になるのではないだろうか。
また、日本ではいくら、岸田政権が投資をすすめても、投資はギャンブルという考え方が浸透しているし、そもそも、日本人には投資に回す余裕のある金なんてないから株の話をする人なんて、金融関係者とマスコミ関係者を除けば経済ニュース系のネット民しかいないが、米国では富裕層も中流も貧困層も普通に株投資をしているということが分かる作品としても見る意義のある1本だと思う。
そして、リーマン・ショックでそれまで以上に顕著になった米国の格差社会がコロナ禍でさらに拡大し、それがマネーゲームに勤しむ大企業や富裕層と株投資で少しでも生活を楽にしようとする中流・貧困層との対立の背景になったというのもこの映画を見てよく分かった。
海外の政治や経済、社会情勢などいわゆる外報ネタに興味がある人なら確実に楽しめる作品だと思う。
それから、ヒップホップを中心に次から次へとヒット曲が使われているので洋楽好きの人もめちゃくちゃ楽しめると思う。
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