記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

BanG Dream! It's MyGO!!!!! 後編 うたう、僕らになれるうた&FILM LIVE

テレビアニメの総集編映画の後編。この「 It's MyGO!!!!!」というテレビアニメが画期的だったのは、ガールズバンド、アイドル、DJ(ガールズに限らずボーイズもそうだが)といった音楽ものアニメのお約束の展開にならなかったことだ。

この手の作品の基本ストーリーはだいたいこんな感じだ。

①あるキャラクター(必ずしも主人公とは限らない)がグループ結成を思い付く

②呼び掛けに賛同してくれる人がなかなか現れないorメンバーに迎え入れたい人がなかなか応じてくれない

③発起人の熱意に応えて加入者が現れる

④スカウトを続けるがなかなかメンバーは増えない

⑤何とかメンバーが揃う

⑥なかなかまとまらない

⑦ライブやフェス出演、オーディションなどの目標ができて一致団結

⑧理由はさておき、解散やメンバー脱退の危機を迎える

⑨危機を乗り越え実力もアップ

⑩成功するか否かはさておき、ひとまずの目標であるライブやフェス出演、オーディションをこなす(失敗してもメンバーは一致団結しているので今後に向けた期待が高まるハッピー寄りのエンディングになる)

「 It's MyGO!!!!!」は⑥の状態のまま、一致団結することなく目標に突き進み、その過程で解散の危機に陥り、にもかかわらず実力は多少は上昇する。そして、ひとまずの目標を終えても、メンバー間の関係は改善しないまま、ストーリーを終えるという展開となった。

そんな画期的なストーリー展開の作品なのに、中の人たち(ボイスキャスト)が現実世界で顔出ししてライブ活動を続けているというのはなかなかシュールなものではあるが…。

ただ、こうした非定番展開というのが最近のトレンドになりつつあるのかも知れない。

劇場オリジナルのアニメ映画「きみの色」は男女混合バンドの話だ。メンバーの中にはほぼど素人の者もいるのに、何故かバンド活動は順調に進み、キラーチューンと呼べるような楽曲まで生み出してしまう。そして、ひとまずの目標である文化祭でのライブパフォーマンスを成功させる。ところが、これでバンドは解散してしまう。

上記のフローで言えば、③の後がいきなり⑩になったようなものだ。

タイパとかコスパという言葉が定着して久しいが、かつての敵が段階を踏んで友になるような展開はまどろっこしいと思われているのだろうか。



テレビシリーズで追ったストーリーを改めて総集編映画で見直して思ったことはやはり、重い話だということにつきる。

というか、MyGO!!!!!のメンバー5人全員性格に難がある(!が5つの理由、ちゃんと作中で話していたんだね…。すっかり忘れていた)。

燈:陰キャ
愛音:自分が原因で留学に失敗し帰国したことをごまかすために楽器も弾けないのにバンド結成話を持ち掛ける
楽奈:気まぐれ(そう言えば、祖母が有名なライブハウスのオーナーだったこと、ちゃんと作中で言っていたね…。すっかり忘れていた)
そよ:前にいたバンドを再結成するために結成話を持ち掛けた愛音を利用
立希:燈との関係を続けたいからバンドの結成話を利用

中でも性格が悪いのがそよだ。というか、悪役と言っていいと思う。そのそよのバックボーンを振り返る形で本作は始まった。前編は楽奈の過去の場面(新規追加シーン)でスタートしたが、発起人の愛音やボーカルで事実上の主人公の燈以外のメンバーのことも知ってもらおうという配慮なのだろうか。

まぁ、色々言ったけれど感動はできるんだよね。メンバーがバラバラになり、解散の危機を迎えていた中、燈がソロでポエトリーリーディングをはじめ、それが話題となり、それに賛同して伴奏に参加するメンバーが一人一人と増えていき、気付けば全員揃い、そして、ポエトリーリーディングではなく、歌唱になっていく描写なんて泣かずにはいられないからね。

あと、テレビシリーズの最終話は事実上、BanG Dream!シリーズの次のテレビアニメである「Ave Mujica」のエピソード・ゼロのようになっていて、せっかくの画期的なストーリー展開で大絶賛できるものになるはずだったガールズバンド・アニメの終盤を汚してしまったが、本作の終わり方は良かったと思う。他の音楽アニメのようにメンバーみんな一致団結とはなってはいないが、一応和解はしたというところで終わっていたしね。

そして、サブタイトルにあるFILM LIVEの部分についても触れておこう。

予想通り、エンドロール終了のオマケ映像としてライブ映像(アニメだから当然、本当のライブではないが)が流れるだけだった。しかも、3曲分という短くはないが長くもないという尺だった。まぁ、とりあえずはメンバー全員が復帰してライブを何とか成功した後の後日談的な設定のライブなのかなという気はした。






いいなと思ったら応援しよう!