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映画「五等分の花嫁」

ひと昔前なら、ハーレム系のアニメ・コミック・ラノベなどというのは女性の嫌悪の対象だった。BL好きの腐女子やジャニーズなどイケメン集団大好きな人たちですら毛嫌いしていた。

ここ20年ほどのハーレム系コンテンツの礎を築いたのは今では自民党の犬となってしまった赤松健だが、彼の代表作である「ラブひな」(原作コミックは1998年〜、アニメ化は2000年)や「魔法先生ねぎま!」(原作コミックは2003年〜、アニメ化は2005年)を好きな男なんて気持ち悪がれたくらいだった。

ところが最近、フェミと呼ばれる人たちがこうしたハーレム系コンテンツのポリコレ配慮が一切ない前近代的な描写(たとえば、女子中高生を性的に描いたもの)を批判すると、「ラブひな」リアルタイム世代のアラフォー・アラフィフのオッサンや昭和で思考が止まっているバブル世代より上の連中のみならず、20代くらいの女性からも、「つまらないポリコレのせいで、フェミのせいで、表現の自由が侵害されている」と主張する声があがるようになっている。

さらにいえば、こうしたハーレム系コンテンツのスタッフに女性も多いことから、「フェミのせいで、女性の仕事が奪われている」と主張する者も多い。
実際、1月クールに放送されたアニメ「その着せ替え人形は恋をする」のクレジットなんて女性スタッフだらけだったし、さらに、このアニメのファンって女性の方が多いんじゃないかってくらいの勢いで、作中のヒロイン同様のコスプレをする女性ファンも結構いた。
個人的には女子生徒の性的な描写も多くて、着衣AVにしか思えなかったけれどね。

世界的には若者、特に女性の間でポリコレ的機運が高まっているのに、日本はそうした流れから取り残されていると言ってもいいくらいだ。
なんなら、昭和の感性に逆戻りしたと言えるかもしれない。

まぁ、彼女たちの親というのは、昭和で思考が止まっているバブル世代だから、そういう思考になっても仕方ないんだけれどね。
コロナ禍における自粛(飲食や外出、マスク、コンサートでの声出しなど)に批判的な2大勢力といえば、バブル世代と20代だが、この両世代が親子と考えれば納得だよねという感じだろうか。

ちなみに、自分はこういうエロネタありのハーレム系コンテンツは嫌いではないが、というか好きだ。

とはいえ、後進国マインドにおかされた他の大多数のオタクとは違い、公の場、たとえば、公共機関のポスターやキャンペーンに起用したり、一般紙に広告を載せたりするのはダメだと思うという立場だ。

勿論、フェミの連中が言うような全面規制はすべきではないと思う。

AV出演契約を巡る法整備の問題もそうだけれど、規制派の連中が言っていることって、実質、AV業界の人間は利益を得てはならない。AVでは性行為を直接描いてはいけないって言っているようなものだからね。アホかとしか思えない。

どうも、こういう問題になると、オタク側も、フェミ側も0か100の発想しか持てないのは謎だ。

何をやってもOKか、全てNGって考えなんだよね…。

何故、規制は必要ない。ただし、老若男女誰もが目にする公の場での露出は控えるという単純な考えを持つことができないのだろうか…。

この「五等分の花嫁」というコンテンツも若い女性に支持されているハーレム系コンテンツの一つだ。というか、風俗嬢にこれを好きな娘が多いよね。本当、最近の風俗嬢って、アイドル、アニメ、ゲームなどオタク趣味の娘が多い。ひと昔前の風俗嬢って、どちらかといえば、オタクを見下していたような感じだったのにね。

結局、オタ活する資金を稼ぐために風俗をやっている娘が多いんだろうね。
それで、男のオタクよりも女性オタクの方が市場に金を回してくれるから(男のオタクは風俗や水商売でオタ活の資金を稼ぐなんてほぼ無理だしね)、こうした本来なら男向けのハーレム系コンテンツですら、女子受けするような要素を取り入れているってことなのかな。

そして、実際に映画館に足を運んでみて驚いた。
明らかに他の深夜アニメの劇場版とは客層が異なっていた。

普通、この手のアニメ映画だと、上映開始後に入場する者や、上映中にトイレなどで席を外す者というのはほとんどいないんだけれど、そういうのが目立ったということは、非オタが多かったってことなんだろうね。

さすがに、日本の興行記録を塗り替えた「鬼滅の刃」なみとまでは言えないが、家族連れとか、小学校高学年の女子も見かけたし、「呪術廻戦」よりも客層は幅広いように見えた。あれだけ、キスしまくりの話だし、しかも、“彼女”の姉妹とキスするということは、近親相姦みたいなものだし、これが親子連れとか小学生のグループが好きな作品でいいのだろうかと思ったりもした。

やっぱり、日本人って、年々、ポリコレ的・倫理的視点が失われ、後進国マインドになっているような気がする。

そういえば、隣にいた小学校高学年女子の2人組みたいなのに、上映中、ジロジロ見られていたような気がする。もしかすると、「プリキュア」映画を見に来るキモオタのような扱いなのか?

てっきり、オタク向けコンテンツだと思っていたが…。

ところで、キスと言えば、主人公が自分のことを好きな5つ子と次々とキスをする場面が出てくるが、明らかに1人だけしていないのは何故?まぁ、ネット情報によると、ネズミのフリをして、“チューチュー”言っていたので、チュー(キス)をしたことにカウントされているらしいが、なんだソレって感じだな。

とりあえず、話はかったるかった。この手のハーレム系アニメの劇場版で2時間16分って長いよね…。「エヴァ」とか「ハルヒ」みたいな考察系なら分かるんだけれどね…。

あと、時系列的に、ちょっとおかしいのではと思うところも多々あった。

というか、学園祭のシーンを5つ子ヒロイン、それぞれの視点で振り返るのはしつこい!

そういえば、実写映画版「おそ松さん」を見た時にも思ったんだけれど、6つ子とか5つ子の長男とか長女って、年の離れたきょうだいのように、長子的性格ってあるのか?親から同時に同じように育てられているのだから、“お兄ちゃん(お姉ちゃん)らしくしなさい”みたいな育て方はされていないと思うのだが…。

ところで、この5つ子ヒロインは、主人公を呼ぶ際にそれぞれ、“ファーストネーム君付け”、“ファーストネーム愛称系”、“ファーストネーム呼び捨て”、“名字さん付け”、“名字君付け”で呼んでいるが、主人公が最終的に選ぶのが、“名字さん付け”というのは、いかにも保守化している日本人って感じがするよね。
まぁ、付き合うようになってからは、“名字さん付け”ではなく、“ファーストネーム呼び捨て”に変わっていたけれど。

あと、夢オチのようにも思わせる終盤はどうかとは思ったかな。

そういえば、劇場版なのに止め画だらけだったな…。映画としての出来は微妙と言わざるを得ないよね。

《追記》
本作の予告編では5つ子役の女性声優5人が顔出しでコメントしていたけれど、ずっとGSなので笑ってしまった…。
相変わらず、声優業界って複数名がインタビューとか舞台挨拶の場に登場した場合は特定の者(その時話している者にすら)をアップで映してはならず、グループで見せなくてはいけないというアホな慣習をムービーのカメラマンやディレクターに強要しているんだなというのを実感して笑ってしまった。自分が声優業界の取材をした24年前から何も変わっていないんだね。

声優業界におけるランク付けと、実際の人気は必ずしも一致しないのは当たり前だ。でも、声優業界はそれを公に見せたくないんだろうね。

個々のメンバーをアップにすることを容認すると、尺次第ではランク上位の者が全く映らないこともある。それは縦社会の声優業界としてはあってはならない。だから、話していようといまいと全員が平等に画面に映るようにすれば、上位の者の機嫌を損ねずに済むみたいなアホな配慮なんだろうけれど、そんなアホなことをしているから、いつまで経っても声優のギャラ事情が改善されないんだよ!


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