白い砂のアクアトープ(1クール終了時点での総括)
2クール放送と発表されていたので、2クール目を見終えてから感想や批評は書こうと思っていた。
でも、2クール目のキービジュアルを見た瞬間、1クール目と2クール目は別作品として語らなくてはならないと感じ、急遽、1クール分終了時点での印象を記すことにした。
そう思った理由は2クール目のキービジュアルに風花がいないからだ!
主人公じゃなかったのか?
確かに、公式ホームページのキャラクター紹介や、番組のエンド・クレジットではトップに来ているのはくくるで、風花は2番手だ。
でも、少なくとも番組スタート当初のストーリー展開は明らかに風花の視点だったはずだ。
東京でのアイドル生活に挫折し、実家の岩手に帰る気も起きない、そんな風花がふらっと立ち寄った沖縄で水族館で働くという仕事を見つけ、館長代理のくくるらと接することで再び生きる糧を見つけようとしていくという始まり方だったよね(よくあるストーリーだけれどね)。
だから、単にくくる役の伊藤美来の方が、風花役の逢田梨香子より先にブレイクしているから、一応、格上ということで名前を先に出しているに過ぎないのだと思っていた。
あるいは、作中にたびたび百合的描写もあることから、W主演扱いにしているとか。
でも、いつの間にか、作品はくくる視点で話が進むようになっていった。
まぁ、風花が働くことになった水族館は8月いっぱいで閉館が決まっているという設定で、しかも、風花は夏休みが終わったら実家の岩手に帰るという約束を親としているのだから、どうしたって、話が水族館中心になるのは仕方ないことなんだけれどね。
そうした疑問を持ちつつも何とか視聴を続けていた時に、このアニメが2クールものだということを知った。そして、疑問はさらに深まっていった。
挫折を味わった女子が沖縄でひと夏を過ごすことで癒しを得るとともに、心の成長も果たし、東京なり岩手なりに戻っていくという話だと思っていたから、そんなの2クールも持つわけないよねって思った。
そうこうしているうちに、ストーリーは風花に芸能界復帰のオファーが舞い込むという展開になっていった。さらに自分の驚きは増していった。
うん?さんざん、くくるが主人公のような展開にしていて、2クール目は風花が東京で人気アイドルとして活躍していく話になるのか?
だったら、2クール目は、連続2クールではなく、1年後なり、2年後なりに、2期として放送した方が良かったのではないのか?
なんなら、タイトルも変えた方が良いのではないかとすら思っていた。
なのに、1クール最終話を見ると、水族館は予定通り閉館されてしまうし、くくるをはじめとする水族館スタッフの多くは、この水族館を閉館に追いやった悪者扱いされていた新たにオープンする水族館へ転職する方向で話が進んでいる。
そして、風花もいったんは実家の岩手に戻るものの、アイドル復帰のオファーは断ってしまう。
確かに、閉館するはずだった水族館の営業継続が決まり、新たにオープンするはずだった水族館がここでは支持されないと判断して撤退を決める。さらに、挫折したはずの元アイドルが簡単に芸能界に復帰してしまうどころか今までのアイドル時代よりも大きな仕事を手にしてしまうなんて結末になったら、ご都合主義もいいところだ。
だから、水族館も閉館し、風花も芸能界に復帰しないというこの終わり方は現実的であるし、多くの人が“まぁ、いいか”と妥協できる線ではあるとは思う。
でも、間接的にではあるもののくくるたちの水族館を閉館に追いやる(元々、老朽化していたし、そもそも、あの人数のスタッフで運営するのは無理があるんだけれどね)一因にはなっていた新規オープンの水族館を舞台に2クール目はストーリーが進行するってどういうことだ?
しかも、ほとんどのキャラクターがこの新たな水族館のスタッフに身分は変えているのもなんだけれど、一応、“続投”とはなっているのに、キービジュアルに風花がいないってどういうことだ?
1クール目でも、産休中のスタッフがゲスト出演的に出てきたけれど、2クール目では風花もそんな扱いになるってこと?
なんだかなって感じだ。
あんなに可愛い風花をこんな扱いにするとは…。
ぶっちゃけ、もっと風花を見たかった。まぁ、風花好きだから、この展開に文句を言っているって部分はあるけれどね。
個人的にはショートヘア女子って、あまり好きではないから、くくるには興味ないんだよね。まぁ、世の中のオッさんやオタクの中にはショート好きが多いようだが。
というか、あんだけ引っ張ったくくるの出生の秘密は、あんなにあっさりした謎解きで良かったのか?
何のひねりもないんだけれど…。
それにしても、ARCANA PROJECTによるオープニング曲“たゆたえ、七色”って、めちゃくちゃ良い曲だよね。
この曲の作詞を担当した田淵智也は、前クール放送のアニメ「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」のオープニング曲“おもいでしりとり”(DIALOGUE+)の作詞・作曲も担当しているが、これなんてアニソンとか声優とかアイドルとかいった狭いカテゴリーに関係なく、今年の邦楽を代表する神曲だしね。本当、田淵アニソンは名曲揃いだ。
2クール目もアルカナがオープニング曲を担当し、作詞も同じく田淵らしいから、作品自体には不安はあるものの、楽曲面では期待大ってところかな。