駒田蒸留所へようこそ
本作はP.A.WORKSが手掛けた「SHIROBAKO」、「白い砂のアクアトープ」などに連なる職業ものアニメ、いわゆる“お仕事シリーズ”の最新作だ。
しかし、これまでの作品とは異なり、テレビアニメではなく、いきなり劇場用のオリジナル長編アニメ映画として作られている。
そうなった理由は明白だ。
本作は実在の企業や人物の設定をそのままではなく、多少アレンジを加えて描く、いわゆる朝ドラ方式で作られた作品だ。つまり、建前上ではフィクションとなっているのに、あまりも、パブ案件(インフォマーシャルとか企業VPと言ってもいい)のにおいがプンプンするからだ。ウィスキー業界の説明台詞だらけだしね。そりゃ、地上波のテレビ局は自分のところの利益にならない限りはそういうテイストの作品は敬遠するよね。
まぁ、ウィスキー関連企業をはじめ、多くの企業は手を加えられたまがいものっぽい架空の名前で出てくるのに、Googleだけは実名というのは謎だが。というか、これこそ本当にパブ案件なのかな?
しかも、ウィスキー蒸留所の若い女社長とこの企業とタイアップした(まさにパブ案件!)連載記事を書くことになるネット記者という2人の主人公を配置したせいで、トラブルが起きてもあっという間に完結してしまうというストーリー展開になりがちで、正直なところ、カタルシスはあまり感じられない。どちらか1人に絞って描いた方が良かったのでは?
まぁ、この記者の取材風景は面白かったけれどね。作中ではやる気のない記者の仕事ぶりみたいに描かれていたけれど、ネットメディアにしろ、紙媒体にしろ、テレビにしろ、原稿をまとめる記者やディレクターとは別にインタビュアーがいる場合(本作だと女社長)って、インタビュアーが大事なことを聞き忘れていない限りは、記者・ディレクターは今後のやり取りとかの業務的なこと以外は何も質問しないことはよくあるんだよね。本作を作った人たちはそういうのは知らないんだろうね。
確かに本作の記者は最初の方はやる気がなかったけれど、作中で描かれた取材のやり方は手抜きではないということを理解してもらえればと思う。
それにしても、早見沙織はどの役を演じても早見沙織だな…。別に演技が下手というワケではないんだけれどね。もしかすると、彼女は声優界のキムタクなのかな?
その一方で、アイドル声優扱いされている内田真礼は作品ごとに演技が異なるので、事前にどのキャラを演じているかチェックせずに見て、あとでエンドロールを眺めると、“あれが内田真礼だったのか!”と驚くことがよくある。本作は事前にどのキャラを演じているか知った上で鑑賞したけれど、やっぱり、彼女のパブリックイメージとは違うなと思った。
そういえば、高校生の飲酒シーンとかあったな…。まぁ、劇場用オリジナル作品だから、その辺はリアルに描いてもいいって思ったんだろうが。テレビシリーズでなく最初から映画にした理由には未成年の飲酒など酒まわりのしがらみを排除するとリアルでなくなるからってのもあるのかな。
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