映画『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら』
「バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら」というタイトルなのに、有村架純が出演するということにまずは疑問を抱いた。
ほとんどの役者が自身役で出演するメタ的作品なんだから、出演者は基本、脇役がメインの人、あるいは主役もやるが脇もやる人であるべきだと思う。役所広司や天海祐希は主演イメージが強いが、助演も結構あるから、この辺りの起用に関しては何の疑問も抱かない。
でも、かすみんは違うよね。彼女が人気女優として定着した時期は2015年あたりからだと思うが、以降に出演した作品を振り返ってみると、映画・ドラマ問わず、ほとんどの作品が主役かヒロイン役だ。そうでない作品でも、女優としてはクレジットのトップに立っていたりする。この期間で、ゲスト出演とかシリーズものに途中から参加した作品とかを除けば、これらに当てはまらないのは、ちょうど人気が定着しつつあった2015年春(映画「ストロボ・エッジ」と「ビリギャル」が公開)に放送されたドラマ「ようこそ、我が家へ」くらいかな。
そして、実際に本作を見てみると、かすみんの演じた役は脇役ではなかった。予告編を見た限りだとゲスト出演に近いように思えたが、演じていたのは主役とは言えないが、ナレーターも兼ねたストーリーの進行役だった。そりゃ、かすみんは名脇役ではないからね。でも、そうなら、本作のサブタイトルは違うよね。「100人の名脇役」ではないよね。「100人の俳優」とか「100人の役者」なら分かるけれどね。かすみんが本作で担当していた劇中劇でも主役というかヒロインというか、そういう立ち位置の役だったしね。タイトルに偽りありだな。
まぁ、本作で見せた先輩だろうとなんだろうと、男を呼び捨てにする。特に下の名前で呼ぶキャラ設定っていうのは良かったと思うけれどね。年下女子に呼び捨てされたいって願望を持つ男は多いと思うな。特に「ラブひな」を通過したアラフォー以上の連中の中には。
それにしても、本作の芳根京子は可愛い。これまでにも可愛いと思ったことはあるとは思うが、どちらかというと、演技面に対する注目が中心だった。でも、今回は完全に可愛いと思った。
ところで、本作は撮影所を舞台にした作品ということで、劇中でも指摘されているように「蒲田行進曲」や「キネマの天地」に連なる作品だし、洋画の近作でいえば、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」にも通じるものがあるのだと思う。だから、映画やドラマが好きな人。あるいは、プロ・アマ問わず、作品作りをした経験がある人なら共感できるし、笑えるし、泣きはしないが感動はできると思う。でも、テレビドラマの劇場版だから、日本アカデミーのような賞には無視されるんだろうねと思った。
それと同時に名前こそ出されてはいないがNetflixのような外資系配信会社が古き良き撮影所を取り壊し、自分たち専用のものにしようとしている悪役として描写されているのも、いかにも日本のテレビ局らしい発想だなとは思った。本作はテレ東深夜ドラマの劇場版だし、制作しているのはTBS系のプロダクションだから、キー局が2局も絡めば、テレビ放送のみならず、テレビ局主導の配信サービスの観点からしても自分たちにとっての脅威だから、そりゃ、敵扱いにはなるよねって感じかな。
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