劇場版 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…
テレビシリーズは全く見たことがないが、内田真礼や鬼頭明里、水瀬いのりが出ている劇場公開作品はつい見たくなってしまうので見てしまった。
配給会社のロゴが出る前にオマケ映像が流れたので、また、テレビアニメの劇場版でよく見かけるネタ系のマナーCMかと思ってしまったが(実際、キャラが映画館にいるシーンから始まっている)、これはどうやら、かなり大雑把ではあるもののテレビシリーズのダイジェストらしい。果たして、本作の上映時間にこの部分はカウントされているのだろうか?
そのダイジェストらしきものを見れば、主人公が悪役だったということは分かるが、この劇場版ではスタート時点で既に悪役要素はなくなっているのでこのタイトルはどうなんだろうかと思った。
ストーリーは中世の欧州のような地域を舞台に魔術が普通に日常生活にとけこんている世界で繰り広げられる典型的な転生もの・なろう系の展開なので、正直なところ退屈に感じてしまった。
ただ、主人公の“悪役”令嬢を演じた内田真礼の演技力には関心してしまった。彼女は本当、作品ごとに全く異なるアプローチの演技を披露するんだよね。クレジットを見るまで彼女と分からない時もあるしね。アイドル声優のイメージがあったり、におわせ騒動で炎上したりしたけれど、演技力は同世代のアイドル扱いされている女性声優の中ではピカイチだと思う。本作でも主人公以外にもの脳内キャラ5人を演じわけているし、本当、すごいと思う。
一方、早見沙織って何を演じても早見沙織だよね。そういえば、内田真礼とは「駒田蒸留所へようこそ」でも共演していたが、同作の内田真礼は本作の内田真礼とは別人だったのに対して、早見沙織はどちらの作品でも早見沙織だったからね。別に演技が下手と言っているわけではないんだけれど、どのキャラの声を聞いても早見沙織にしか聞こえないってのはどうなんだろうかと思う。
鬼頭明里も声ですぐに彼女だと分かってしまうタイプの声優だけれど、早見沙織と違って、それぞれのキャラはちゃんと別人格に聞こえるんだよね。「英雄王、武を極めるため転生す」ではきちんと、王様が転生した女性キャラの赤ちゃん、幼児、美少女騎士時代を演じわけていたからね。
映画監督で言えば、内田真礼はあらゆるジャンルの作品を手がたく作り上げるジョエル・シュマッカー。早見沙織はホラー映画中心のウェス・クレイヴン。鬼頭明里は色んなジャンルに手を出すが何を撮ってもその人らしさの何とか節が出てしまうスティーヴン・スピルバーグといったところなのだろうか?スピルバーグだけ存命の人だな…。