探偵マリコの生涯で一番悲惨な日
伊藤沙莉というのは不思議な女優だ。
独特な声の持ち主というのは女優だろうと男優だろうとどうしても演じられるキャラクターが限られてしまう。
だから、橋本環奈はコミック実写化作品や福田雄一作品ばかりに出るようになっているし、土屋太鳳の出演作品はクソ映画ばかりになってしまう。
でも、伊藤沙莉はそうではない。一般的な美人や可愛いといったイメージとは異なるが、それでも童顔で愛嬌があるし、その辺にいそうな雰囲気を醸しだしていて親しみやすい印象があると思う。
一連のマクドナルドのCMは明らかにそうした彼女のイメージを活かしたものだし、テレビドラマで彼女が演じる役もその延長線上にあるものが多いように見受けられる。
それでいて、韓国系の血を引いていることや兄がお笑いコンビ・オズワルドの伊藤俊介ということも多少は影響しているのか、サブカルっぽいイメージもある。だから、ハシカンや土屋太鳳にはあまり縁のないミニシアター系映画にも出演する。なので、サブカル厨やシネフィルにも支持されている。
また、その独特な声のおかげで声優としても活躍の場を広げることに成功していて、普段は本業でない者が声優をやると、ブーブー、豚のように文句を言う声豚(声優好き)ですら、彼女を認めていたりもする。
本作は分類すれば、ミニシアター系・サブカル系に分類される作品だ。彼女の出演映画ではこのカテゴリーのものの比率が高めだし、しかも、映画だと助演作品が多いが本作は主演だから、伊藤沙莉という女優を知るには最適な一本と呼んでもいいのかも知れない。
と思って鑑賞に臨んだが、これはそんなにほめるような内容のものではなかった。
とりあえず、本体ではなくビデオの方ではあるが東映作品がテアトル新宿で上映されるのって珍しいなと思った。まぁ、新宿の話だからここで見るにはぴったりの作品なんだけれどね。
作品自体について語っておこう。
伊藤沙莉はタイトルロールのマリコ役だし、クレジットも一番手ではあるが、主演というほど出番はなかった。
というか、本作は全体を通してのストーリー(行方不明になった宇宙人とその宇宙人をさらった男の行方を探す)はあるものの、全6部構成になっていて、そのエピソードごとに中心となる人物が異なるので、マリコの出番が少ないエピソードもあるといった感じだ。それに探偵として何かを解決したというような場面も少ない(さすがに宇宙人問題は片付くが)。だから、推理ものとしての面白さはほとんどないといったところだろうか。
まぁ、ちょっとだけ通常よりは予算のあるゆるい深夜ドラマを6話続けて見たって感じかな。
それにしても、日本映画って、本作もそうだけれど、法律が変わったせいでヤクザが生きにくくなった。ヤクザの人権が奪われたみたいな主張をするのが好きだよね。何をほざいてんだかっで感じだね。
そういう主張をしたがるのはそれだけ、日本映画界にはヤクザやその関係者が多いってことなんだろうね。
しかも、このヤクザ連中は平気で外国人差別をしているのにこんな連中に感情移入させたくなるような作りにしているんだから腹が立つ。
それから、米国を敵視する描写も旧態依然とした古い左翼の考え方って感じで見ていて、ダサいなと思ってしまった。何故か、左翼ってヤクザ好きだからね。ヤクザって保守的なイメージあるのに…。
そんな政治思想を持ち込んでおきながら、作中に登場する事件を報道する新聞で殺害されたヤクザの名前が呼び捨てになっているんだから全くもって理解できない。マリコが15年前に関わった事件の話で、現在のシーンにはスマホが出てくるということは少なくともマリコが子どもの頃というのはとっくの昔に犯罪者の呼び捨て報道がなくなった時代のはずなんだけれどね…。
本作のスタッフは普段、新聞も読んでいないし、ワイドショー以外のテレビニュースも見たことないんだろうね。そういう連中が中途半端に社会問題を語るなって言いたくなってしまう。年金批判とか先行きのない日本社会とかの描写も中途半端なんだよね。
それにしても、よく竹野内豊がこんな役で出てきたよねって思う。
あと、乃木坂46の久保史緒里だが、ホスト狂いのキャバ嬢でしかも、ガチ恋が過ぎてホストを巻き込んで自死するという役をよく演じたよねって思う。しかも喫煙シーンまであるし…。現役アイドルが演じる役ではないね。
齊藤なぎさが=LOVE時代に「明日、私は誰かのカノジョ」でホスト狂いの風俗嬢を演じたけれど、相手にガソリンをまいて自分と手錠で繋いで一緒に死ぬなんて演技はしなかったからね。
そんななーたんですら、「明日カノ」出演から1年も待たずにイコラブを卒業したわけだこら、それを考えると、久保史緒里の乃木坂卒業発表は本当に近いんじゃないかという気がしてくる。
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