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雨を告げる漂流団地

Netflix作品の邦画大手3社(東宝・東映・松竹)系の劇場での上映の仕方というのは自分勝手なところがある。

海外作品は原則、配信バージョンがそのまま、劇場でも上映されるので、大手3社のシネコンで上映されることはない。今夏発表されたルッソ兄弟によるスパイ・アクション大作「グレイマン」はネトフリ洋画の劇場上映作品としては異例とも言えるチケット完売状態になったが、大手のシネコンで上映されることはなかった。

邦画作品でも、原則、配信バージョンと変わらないものであれば大手3社のシネコンでは上映されない。2021年公開の「ボクたちはみんな大人になれなかった」はミニシアターを中心にした興行となったし、来年2月に配信予定の「ちひろさん」は有村架純主演であるにもかかわらず、今のところ、新宿武蔵野館での上映予定しかないようだ。

アニメでは比較的、大手3社のシネコンで上映されたものもある。でも、それは無理矢理エクスキューズをつけて、自分たちがネトフリを排除していないよってアピールしているだけにしか見えないんだよね。
「日本沈没2020」や「攻殻機動隊 SAC_2045」は総集編映画だから、別もの扱いとなった。
「地球外少年少女」はネトフリでは一挙に全6話配信されたものを劇場では3話ずつの前後編にわけての公開となったから別もの扱いとなった。
「バブル」は内容はほぼ同じであるものの、配信版と劇場公開版では一部編集の異なる箇所があるので別もの扱いとなったってところだろうか。

本作「雨を告げる漂流団地」の上映館を見てみると、大手3社系の劇場は1館もない。都内上映館を例にあげると、シネコンは独立系のグランドシネマサンシャインと立川シネマシティ、チェーンはユナイテッド・シネマとイオンシネマだけ。あとはミニシアターといった感じだ。

スタジオコロリドの長編アニメ映画の前作で同じくネトフリ配信作品となった「泣きたい私は猫をかぶる」の都内上映館が座席数が50にも満たない下北沢トリウッドのみだったことに比べれば、マシにはなっているが、それでも、大手3社のシネコンはバージョン違いでない限りは、洋画だろうと、邦画だろうと、実写だろうと、アニメだろうと、上映する気はないということなのだろう。

毎年秋から年末にかけて、賞レースに絡みそうな作品を中心にしたネトフリ洋画の劇場上映が恒例イベントとなっているが(今年はまだ、「グッド・ナース」の上映しかアナウンスされていないようだが)、メイキングとかインタビュー映像をつけてプレミアム感を出せば、大手3社のシネコンでも上映してくれるような気がするんだけれどね。

まぁ、ネトフリとしては、そもそも、配信がメインで劇場上映はあくまでそのプロモーションなんだから、そのプロモーションが“本編”よりもプレミアム感満載というのはおかしな話だと思うのは当然だろうし、日本だけ特例措置を取ることに対して本社が許可する可能性も少ないだろうから、まぁ、大手3社のシネコンでの上映に拘る必要もないんだろうが。

そんなわけで本作を劇場で鑑賞したが、冒頭にもエンディングにもネトフリのロゴは出てこなかった。確かに劇場公開時の配給はネトフリではなく、ツインエンジンとギグリーボックスとなっている。つまり、ネトフリは「泣きたい私〜」同様、配信の権利を持っているだけということなのかな。「泣きたい私〜」なんてネトフリ映画のはずなのに、地上波で放送されているしね。

ここからは作品自体について語っていこう。

ぶっちゃけ、クソ映画一歩手前といった感じの出来だった。

言いたいことはなんとなく分かるけれど、同じことを何度も繰り返しているだけだし、矛盾点も多いし、ご都合主義だらけだからね。

というか、謎の人物が解体される団地が建てられた当初を知っているようなことを言っていたので、この人物が霊的なものであるということはすぐに勘づくことができた。まぁ、老朽化のため解体された団地の精霊的存在だとは最初の方では思わなかったが、遊園地のシーンで似たような精霊が出てきたことで、時代遅れとなり解体された建造物が精霊化したものであることがそのシーンで分かった。

でも、だったら、デパート跡に潜入したシーンにもそういう存在が出てこなかったのは何故?

それから、大雨で流されてしまうのは何故?

漂流の旅の目的地が精霊が集う島みたいなところだったのは何故?

百歩譲って、団地の精霊は自分が何者かを把握しきれていなかったような雰囲気だったから仕方ないとしても、遊園地の精霊は明らかに自分が何者か分かっていたよね。
じゃ、遊園地の精霊がその島におらず、廃墟と化して漂流していた遊園地跡にいたのは何故?

結局、破壊された環境の精霊が人間界に一種の攻撃を加える描写って、劣化版「羅小黒戦記」にしか見えないんだよね。

コロリドの長編は「ペンギン・ハイウェイ」も「泣きたい私〜」もツッコミどころ満載ではあったが、「ペンギン〜」はフェミ的視点ではNGだけれどフェチ描写が印象的だったし、「泣きたい私〜」はキャラが魅力的で、映像も美しかったし、何よりヨルシカの楽曲が良かった。

でも、本作では褒められるところがほとんどないんだよね。

今回、主題歌・挿入歌はずっと真夜中でいいのに。が担当しているが、それは単に「泣きたい私〜」はヨルシカだったから、今度は同じ夜好性のずとまよにしようくらいの軽い気持ちで起用したようにしか見えないんだよね。
ぶっちゃけ、夜好性はテレビ出演時やライブパフォーマンス時に顔出しするYOASOBIの人気だけが圧倒的となり、ヨルシカやずとまよはオワコンっぽい扱いになっているからね…。

それから、マックは実名で出すのに、ディズニーランドは実名で出さず、“フロリダのランド”という言い方をしているのが非常に気になった。

海外の映画やドラマでは実在の企業や商品名が出てくるのは当たり前だから、一応、外資系となるネトフリ配信作品もその基準に則って作られているはずなのに、ディズニーの名前を出さないということは本作は権利関係をクリアにできるほどの予算や時間に余裕がなかったのだろうかと思ったりもした。
あるいはネトフリにとってディズニーのDisney+は配信サービスにおけるライバル中のライバルだから、ディズニーの宣伝なんかしたくないと思ったとかね。

でも、終盤近くになって、遊園地の精霊が出てきたことで、そうなった理由を理解した。
昔ながらの遊園地には趣があるが、テーマパークにはそうしたものがないと言いたいから、つまり、ディズニー批判につながる展開だから、ディズニーの許可取りが難しいという判断だったのか…。

でも、細かいことを言うとフロリダのディズニーはランドではなくワールドなんだけれどね。

それにしても、こんな凡作には勿体ないと言いたくなるほど、ボイスキャストが豪華だ。しかも、この手の劇場オリジナル(ネトフリ配信長編含む)アニメ映画では当たり前のようになっている本業でない声優(要は実写作品に出ている俳優やアイドル、芸人など)を主要キャラに起用せず、7人の主要キャラ全てを本業声優が演じているんだからね。声豚とかアニオタも文句を言えないキャスティングだしね。
タカビーなお嬢様同級生が水瀬いのりで、彼女の親友のまじめなメガネっ娘女子が花澤香菜だしね。まぁ、花澤香菜を起用すれば、それっぽく見えるから起用しているフシもあるけれどね。
今年公開作品で言えば、「グッバイ、ドン・グリーズ!」もツッコミどころだらけの作品だったけれど、ヒロイン役に彼女を起用して、良作っぽく見せていたしね。


《追記》
ネトフリ作品の劇場上映は「グレイマン」を除けば、配信バージョンそのままだろうと、配信シリーズの総集編映画だろうと、ガラガラなのがデフォルトだが、本作を見に行ったユナイテッド・シネマ豊洲は結構混んでいた。というか、家族連れがやたらと多かった。現在公開中の映画でファミリー層が楽しめる作品というのは、夏休み映画として公開された「ONE PIECE」や「ミニオンズ」を除くと、これくらいしかないから、連休中にシネコンで見る作品として本作が選ばれたのだろうか?
そのせいで、入場ゲートが大行列となり、なかなか入場できなかった。ユナイテッド・シネマ豊洲にやって来る家族連れの親はかなりの確率で地方出身者だからマナーがなっていないんだよね。そのせいで、入場がスムーズに進まなかった。
それから、後ろに座っていた家族連れが席を蹴ってくるし、ずっとペチャクチャ話しているし、マジで腹立った!

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そういえば、明らかに児童ポルノ扱いされてもおかしくないようなシーンがあったな。小学生女児のシャワーシーンなんていらないだろ!

それから、「夏へのトンネル、さよならの出口」もそうだけれど、何故、夏休みがテーマの作品を9月に公開するんだよ?別に夏休みに強力な作品が公開されるからそれを避けたというのは、配給・制作サイドの勝手な都合でしかないんだからね。やっぱり、国産作品なんだから、作品で描かれている時期に合わせて公開すべきだと思う。

あと、「ゴーストブック」もそうだったが、最近、「ゴーストバスターズ」ネタの映画が多すぎる!

ついでにもう一つ。漂流団地で花火をやっていたが、どこで花火をゲットしたんだよ?

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