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室井慎次 敗れざる者
織田裕二が出ないのに、いくらスピンオフとは言え、「踊る大捜査線」シリーズを復活させる意味はあるのだろうかと正直なところ思う。
それに過去のテレビドラマ版や劇場版の名場面を回想シーンとしてたびたびインサートする構成や、過去作に登場した人物に関連した事件が発生したり、その関係者が登場したりという展開もあざとすぎる。
本作は「踊る」関連としては実に12年ぶりとなる新作だが、その間に再放送などで新規ファンをつかめなかったからこうしたオールドファンに媚びた内容となったのだろう。
実際、映画館で入場開始を待つ観客を見ていると自分と同世代か年上の人ばかりだった。
それから、テレビ版が放送開始となった90年代後半や、2作目の劇場版が記録的な大ヒットとなった2000年代前半ならともかく、あと数ヵ月で20年代前半が終わろうとしている時期に公開される映画とは思えないセンスの古いギャグが連発されるのには呆れてしまう。
そして、最初から連続公開の前後編であるということは明らかにされているとはいえ、かなり中途半端なところで終わりというのは映画としてはどうなんだろうかと思う。
でも、これがクソ映画かというとそうでもない。
隠蔽体質の警察組織に対する批判もあるし、時の流れについていけない老害になってはいけないというメッセージも感じ取れる。
そして、その一方で、ヤクザにも人権はあるとか、加害者の家族を守れとか主張する弁護士やマスコミに対して、それでは被害者は泣き寝入りするだけだ、そんなのはおかしいということも訴えている。
また、子どものやることは全て許せという考えは良くない。悪いことをしていると察知したら、きちんと警戒し、タイミングを見計らって注意しなくてはいけないということも伝えたいようだ。
そう考えると、左右どちらも批判しているわけだから、非常にバランスの良い作品だと思う。
洋画、邦画問わず、ここ最近の作品で左右双方を批判している作品なんて、これと「シビル・ウォー アメリカ最後の日」くらいしか思い浮かばないくらいだ。
まぁ、中途半端なところで終わったので、きちんとした評価は後編を見てからにしたいと思う。
とりあえず、TOHOシネマズの幕間に流れる映画情報でフラフラしながらナビゲートしていてだらしないなとしか思えなかったし、大先輩の海外セレブを呼び捨てにしていて何様のつもりなんだと腹が立っていたし、という感じでイメージの良くなかった福本莉子の演技に初めて感心することができたのはこの映画を見て良かったと思えることだろうか。
あと、この前編では出番は少ないし、ぶっちゃけ、登場シーンを全てカットしても話はつながる程度の存在だったが、丹生ちゃんが可愛いかった。後編は出番も増え、ストーリーにも大きく絡んでくるのだろうか?
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