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Aldiousからまたボーカルが脱退…

また、Aldiousのボーカルが脱退した…。
短期的なサポート・ボーカリストを除いても、ボーカルの脱退は今回で3度目だ。
さらには、ドラマーも交代しているし、ギタリストの産休時や、活動初期のサポート・メンバーも含めれば、脱退したメンバーの数はかなりのものになる。

メンバー・チェンジが相次いでいるのは、いかにも、ハード・ロック/ヘヴィ・メタル的だが、その一方で、このジャンルの中でも今、日本で最も稼ぎ頭となっているガールズ・メタル(ユニット系や男女混合バンドも含む)の世界が心身に影響を与える非常に過酷なものだということも改めて実感する。

正式なボーカリストに関していえば、3人ともフィジカル寄りかメンタル寄りかはさておき、健康上の理由による脱退だからね…。

日本のHR/HM市場をガールズ・メタル・バンドが支えるようになって久しい。いまだに、BURRN!はガールズ・メタル特集の増刊号をコンスタントに出しているし、そのブームは10年以上続いているといっていいと思う。

そのムーブメントの礎を築いたのは間違いなくAldiousだ。
2010年に彼女たちが1stアルバム『Deep Exceed』をリリースした頃から嬢メタルという言葉とともに、ガールズ・メタル・バンドのブームは巻き起こった。
嬢メタルの嬢というのは、キャバ嬢からきている。ガールズ・メタル・バンドのメンバーの多くはキャバ嬢のような衣装を身につけているからだ。Aidiousに関していえば、キャバ嬢だけでなくメイドもいるけれどね。

こうしたバンドのライブに一度でも足を運んだことがある人なら、嬢メタル・バンドのファン心理はお気に入りのキャバ嬢や風俗嬢を指名するものに近いというのは否定できないと思う。

そういう意味でアイドルやアニソンの現場に近いといえるのではないだろうか。

元々、ドルオタやアニオタにはメタル好きが多いから、HR/HMとは親和性が高いしね。

しかも、ビジュアルだけでなく、HR/HMバンドとしての歌唱力、演奏力をきちんと持っているのだから、それは人気になるよねって感じだしね。

ただ、こうしたブームというのは、自分はアイドルではないという思いを持っているアーティスト側にとっては精神的・肉体的な負担も大きいのではないかとも思う。

だから、Aldiousは人気上昇期にボーカリストの交代劇があったのだと思う。

それでも、シーンが活性化していたから、ボーカリストがRamiからRe:NOに変わっても、Aldiousはシーンのトップランナーとして走り続けて、人気を加速させていくことができた。

人気のピークは2013年だと思う。2代目ボーカルにになって初のアルバムとなる3rdアルバム『District Zero』はオリコンのアルバム・チャートで初のトップ10入りを果たしたし(現時点で唯一のトップ10ヒット)、両A面シングル“Dominator/I Don't Like Me”も自己最大のヒットとなった(個人的にはパワー・バラードの“I Don't Like Me”は、どのメンバー編成の時とか関係なく最も好きなAldious曲だ)。

そして、自分が現時点で唯一となる彼女たちのライブを見たのも、この3rdアルバムのリリース直後、両A面シングルのリリース直前という脂の乗った時期だった。

しかし、年が明けた2014年からAldiousは失速というか迷走というか、そうした状況に陥ってしまう。

要因は2つあると思う。

1つは、ガールズ・メタル・バンドのムーブメントでAldiousに次ぐ二番手のポジションだったCyntiaが2014年1月にリリースしたアニソン・タイアップ曲“閃光ストリングス”で自己最大のヒットを放ったことだ。

そして、もう1つは、当初はアイドル・グループの単なるグループ内ユニットだったBABYMETALが1stアルバムを2014年2月にリリースし、国内でブレイクするとともに、海外でも注目されるようになったことだ。

元々、嬢メタルの現場のノリというのは、アニソンやアイドルのライブに近いものがあったから、そうしたアニソンやアイドルに近いガールズ・メタルが供給されれば、ファンは当然、そちらに流れていってしまう。

だから、AldiousもCyntiaのように、メタル要素の薄い“die for you”などのポップな楽曲を発表するようになってしまった。

しかし、彼女たちのビジュアルに惚れてはいても、あくまで、HR/HM的な歌唱力や演奏力を評価していたファンからすれば、そんなのは邪道中の邪道でしかない。

だから、Aldiousは“die for you”を含むトリプルA面シングルを自己2番目のヒット曲としたにもかかわらずHR/HMファンからの支持を失ってしまい(それは、この曲が従来のファン以外からの支持もあったということなのかな)、失速へと向かうことになってしまった。
同様に一足先にポップ路線に走っていたCyntiaもHR/HMファンからの支持を失い、2017年には活動休止となってしまった。

そして、その2017年にブレイクしたのがLOVEBITESだ。ビジュアル面で受けるタイプであるのは勿論のこと、AldiousやCyntiaよりもキャバ嬢的イメージは抑え気味だから、そういうのが苦手な人でも受け入れることができる。

また、海外でもライブ活動を行っているし、楽曲も英語歌詞であることから、Aldiousをアイドル・バンド扱いしていたようなゴリゴリのメタル野郎にも支持される。
当然、“いくら海外で人気があるっていってもベビメタ は自分で曲を書かないし、演奏もしないでしょ?と”ベビメタを見下す層にもささる。

要は80年代でいうところのラウドネスやVOW WOW、E・Z・Oのような存在になりつつあるわけだから、そりゃ、あっという間にガールズ・メタル・バンドのフロント・ランナーになってしまうのは当然だよねという気もする。

だから、正直なところ、Aldiousにオワコン臭が漂ってしまうのも仕方ないところだとは思う。

そして、ボーカリストは3代目のR!Nに交代となった。Re:NOはアイドル出身だったが、彼女はアニソン出身だ。
しかし、正式加入後、再録アルバムを2枚出しただけで、オリジナル・アルバムを出すことなく脱退となってしまった(配信でシングルは出してはいるが)。

コロナ禍で活動が思うようにできなかったってことも影響しているのだろうが、やっぱり、アイドルやアニソン・アーティストとして自分にスポットライトが当たる活動をしてきた人には、バンドの一員として扱われることに対して不満を抱いてしまうのだろうか?

メタルではないけれど、赤い公園は元アイドルの2代目ボーカリストはうまくいっていたと思うんだけれどね…。まぁ、赤い公園はギタリストの自殺で解散となってしまったが…。

確かに、アイドルやアニソンというのはメタルと親和性が高いジャンルだから、歌唱力のあるアーティストをスカウトすれば、メタル歌唱にはまることも多い。
でも、メタル歌唱ってのは心身ともに過度のストレスを与えると思うしね。しかも、ライブは大爆音だから、耳にも負担が大きい。

次のボーカリストは、アイドルやアニソン界ではなく、有名・無名問わず、バンド界隈から募集した方が良いのでは?

でも、初代のことを考えると、それもよろしくないのかな…。

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